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湯船に浸かり
うつらうつらしていたら
突然誰かが部屋に入ってきた気配を感じ
バスタオル胸元に巻いて飛び出すと

消したはずのルームライトに薫る
わたしの大好きな秋桜のアレンジメントに
添 ....
両の人差し指でぱたぱた
ニワトリが餌でも突いているようで
思わず吹き出しそうになるけど

なにやら真剣に打ち込んでいる
あなたの横顔
見方によっては男らしいとも言えそうで

古いやつだ ....
天涯孤独だからさ…
それは、あなたの口ぐせ

帰るべき家があって
待っていてくれるひともいる

それなのにどうしてそんなことを言うのだろう

こころの空白を満たそうと
終わりの無い旅 ....
世の中には支えるひとと
支えられるひとがいる

支えるひとは暗い海に胸元まで浸かり
力の限り支え続け

次々と押し寄せる荒波に揉まれては
やがて力尽き海の藻屑と消える

支え続ければ ....
好きとか嫌いとか
そのような感情と同じ速度で
五月の空はわたしのこころを蝕んでゆく

そして陽射しに揺れる葉桜が
散り行く先など知る縁も無いように
他者への憎しみを
こころの襞奥に抱え込 ....
「ねえ、良いだろ?」

何が良いんだかと思いつつ
とりあえず
あなたの左腕にしがみついてみる

押し付けた胸のふくらみに気づいたらしく
慌てふためく様子が可笑しくて

かまととだとか ....
また後で携帯にメールでも入れるから

あなたの去った
バスルーム
鏡に映るのは恋に疲れたひとりのおんな
乱れきった髪が物語る
しがみつこうとしてしがみきれなかったものへの思い

シャワ ....
ひとは指折り数える

その日の訪れを確かなものにしようと
指を折り
心に刻み込む
自らの身体に刻み込む

いつの日か死は必ず訪れることを知っている
それでも
死に往く日まで知ろうとす ....
わたしを手渡されたときの
あなた
ちょっと驚いたように目を丸くしてたよね
ぎこちなく両手で受け取ってくれて
すなおにお礼を言ってくれた

わたしは
この日のために生まれてきたようなもの
 ....
虫のいどころでも悪いのか
いつまでも押し黙ったままで
あなたはテレビの画面を眺めるでもなく
そっと箸を置く

テレビのなかには
つまらないギャグに笑い転げる顔があり
テレビのそとには
 ....
多摩川に架かる鉄橋を渡りきる頃
メールの着信を知らせる携帯の光が走る
両親も恋人と認める彼からのメール
簡潔な朝の挨拶に優しさ溢れる短いことば

先輩は幸せ過ぎるから

傍から見ると憂鬱 ....
いつもと同じ場所から何ら変らずに
初日がひょいっと昇ってきただけなのに
「ありがたや」と皆で拝んだりする

昨日までの日の出とどっか違うのかな

江戸時代の「つけ」とかの借金って
支払期 ....
ふたりで仲良くはしゃぎながら
飾り付けなんかして
これが幸せなのかなと思ってみたりした
去年のクリスマスナイト

今年も飾ってみようと
押し入れの奥から引っ張り出してはみたけれど
背高の ....
ねこって可愛い
飼いねこは飼いねこらしく
ノラねこはノラねこらしい顔しているよ
やっぱし育ちなのかな
ひとに媚びるのうまい飼いねこがいて
いじらしいほどノラなねこがいる
そんなねこって
 ....
りんごを食べたら
なつかしい故郷の味がした

と言ってはみたものの
この街で生まれ
この街で育ったから
故郷らしい故郷なんてどこにも無いんだけど

でも、不思議なんだよね
ひとくちか ....
わたしって
よく道をたずねられる
どこかやさしげにみえるのかな
近藤さんの朗読した「夕焼け」って作品大好きで
繰り返し読んだりしたけど
登場する娘さんのように
「やさしい心の持ち主」なんか ....
口ぐせになっている
おとなも
こどもでさえも
何かと言えば口にする

死ぬほど頑張ったのか
どれだけ努力したと言うのか

口にすればするだけ
逃げていってしまうものがある

それ ....
良くできたうめぼしは
故郷の懐かしい味がする

すっぱさのなかから
忘れかけていたものが顔をのぞかせて
こんなんだったよね
と問いかけてくれるような

ほどよく皺くちゃで
秋アカネの ....
はじめてラブと出逢ったのは
新宿歌舞伎町にあるペットショップ
狭い檻のなかで怯えるように震えていた

あなたの瞳をみつめた瞬間から
ラブ
わたしたちはあなたの虜になってしまう

思わず ....
寝苦しさに目を覚ますと
やはりホリデーインの一室に泊まっていた
わたしの隣では
脇臭く寝相の悪いやつが
馴れ馴れしくいびきをかいていた
エーチャンのニューグランドホテルは
わたしのこころの ....
いつだって君はそうなんだ
本当は塩ラーメンが食べたいくせに
なんでもいいよと答えてみせる
そのくせ
味噌ラーメンを食べたあと
必ずこう言うんだ
塩ラーメンが食べたかったのに


アイ ....
君がいるから僕は存在する
誰もが羨望する
誰もが欲しがる君の姿
ショーウインドの特等席で
いつも輝いている
値札なんて不要だよね
君の価値はお金にはかえられないから
要はハートだってこと ....
陽だまりのベンチで
あなたの姿を見つけたよ
何気ない仕草のひとつひとつから
幸せのあり方を掬いだしては
これで良いのだと
ひとり頷くあなたの姿
大きな卵でも抱きかかえるように
胸の前で孤 ....
本当の暗闇と出会う
それって
なかなか難しい
ひとつひとつの灯火を消しても
寝付けぬ夜に何処より話し声が漏れて
この街の闇は仄かに明るい
本当の暗闇
それは遠い日の感触
胎内にいたとき ....
秋が訪れれば またひとつ
目じりに刻まれる年輪のようなもの
早いもので開け放した窓の外では
秋の虫たちが鳴き始めている
この様に季節が巡るのであれば
歳を重ねてしまうのも致し方無い事
抗っ ....
わたしが生まれ育った郷里では
要らぬものを裏山に投げた
村外れを流れる川に流した
囀る野鳥の気配に誘われて
ひとり裏山を彷徨えば
要らぬものは朽ちて土となり
夕餉の支度でも始めたのか
潜 ....
わたしがサミーラと知り合ったのは
見知らぬ国への好奇心と
ちょっとした向学心
辞書を引き引き書いた拙い手紙を
赤と青の縁飾りも可愛い封筒に入れて
生まれてはじめての海外文通
切手一枚でつな ....
どうしても捨てられないものがある
幼い頃母に買って貰った運動靴
靴入れの奥に今も大切にしまってある
いつかあなたもシンデレラになるのかなと
七歳の誕生日に買ってくれた運動靴
そういえばこの季 ....
どんな蝶でも蜜を求める花に
好き嫌いがあるように
あなたの望む花と
わたしのなりたい花には
どうしても相容れないものが
あるのかも知れない
たとえば地味目なおんなのひとがいて
百人のおと ....
とうとう動かなくなってしまった
トパーズ色した わたしの鍵
普段持ち歩いているバッグの中で
かさこそ這いまわりながら
わたしの吐き出す
あのひとへの恨みとか辛みとか
どうしようもない思いを ....
シュガー・ソレイユさんの恋月 ぴのさんおすすめリスト(35)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ゲリラなひと- 恋月 ぴ ...自由詩23*08-9-5
古いひと- 恋月 ぴ ...自由詩18*08-6-7
支えられるひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*08-6-1
支えるひと- 恋月 ぴ ...自由詩28*08-5-25
五月のひと- 恋月 ぴ ...自由詩34*08-5-19
断わりきれないひと- 恋月 ぴ ...自由詩27*08-2-27
揺れるひと- 恋月 ぴ ...自由詩24*08-2-22
数えるひと- 恋月 ぴ ...自由詩28*08-2-17
甘いひと- 恋月 ぴ ...自由詩23*08-2-12
ささくれたひと- 恋月 ぴ ...自由詩23*08-1-29
確められないひと- 恋月 ぴ ...自由詩31+*08-1-12
「生まれ変わったね」と君が言ったから一月一日はリセット記念日- 恋月 ぴ ...自由詩22*08-1-3
それぞれのクリスマスナイト- 恋月 ぴ ...自由詩9*07-12-23
ねこのはなし- 恋月 ぴ ...自由詩30*07-12-3
りんごの詩- 恋月 ぴ ...自由詩31*07-11-28
手の鳴る方へ- 恋月 ぴ ...自由詩30*07-11-24
- 恋月 ぴ ...自由詩24+*07-9-25
うめぼしの秘密- 恋月 ぴ ...自由詩42*07-9-3
ラブの秘密- 恋月 ぴ ...自由詩20*07-8-27
チャイナタウン- 恋月 ぴ ...自由詩28*07-1-31
アイ・マイ・ミー- 恋月 ぴ ...自由詩36*07-1-27
Face_2_Fake- 恋月 ぴ ...自由詩36*07-1-7
生きぬく力- 恋月 ぴ ...自由詩46*06-12-4
永遠ということ- 恋月 ぴ ...自由詩43*06-10-11
こころの力- 恋月 ぴ ...自由詩34*06-9-3
見えない力- 恋月 ぴ ...自由詩28*06-8-28
サミーラ- 恋月 ぴ ...自由詩30*06-8-3
捨てられない運動靴- 恋月 ぴ ...自由詩47*06-8-1
百合の花のように- 恋月 ぴ ...自由詩33*06-7-16
エフィメラ(或いは邂逅)- 恋月 ぴ ...自由詩27*06-6-1

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