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イチコが僕の家にやってきたのは
今から十年余り前のことでした
四月の暗い雨の日でした
皆が雨で桜が散ってしまうと
嘆いていた日でした
当時住んでいたアパートの玄関 ....
地球という天体を覗いてみれば
数多くの星が輝いている
だけど僕が知っているのは
その中のほんの一握りだけ
輝きながら消えた星
輝けないまま消えた星
すべては同じ場所へ還る ....
「たいへんよくできました」
というスタンプがどうしても
自分のノートに押されたかった
先生にノートを渡しても
いつも「がんばろう」とか
「あとひといき」ばかりだった
同じクマのスタンプなの ....
ブロック塀の向こう側から
笑い声が聞こえてきたので
穴からこっそり覗いてみたら
子ども達がビー玉で遊んでいた
その笑顔は輝いていて
太陽よりも眩しかった
あれはもう10 ....
いくつ部屋に散らばった欠片を
集めて抱きしめれば
キミと同じ感情を共有できる、
今日の喜びを昨日の悲しみを
どれだけ集めれば
キミと寂しさを判り合える、
いつか違う鼓動 ....
君がもう少し 元気になって
君がもう少し 毎日を楽しく過ごせて
君がもう少し
近くに いてくれたら・・・
そんな欲張りな願いを 思ってしまった
自分に 思わず苦笑する
そんな願 ....
住宅街を
奥へ奥へと
入っていくと
だんだん足が浮いてくる
足をつこうとして
何度も何度も足踏みしながら
歩いていくのだけれど
なんだかおかしいな
どこが自分の家なのか
本当はよくわ ....
凍えてしまえば
つもるものに
かけられる冷気にも
なれてしまって
記憶をなくしていくことだけが
自分へのやさしさ
ぬくもりにさえ 気を許さなければ
白い唇のまま 冬に 終えたのに ....
人の流れに逆らって 夜の隅で
束の間の休暇を 弄ろう
僕達は あまりにもお互いに貪欲で それでいて
お互いを 労わりすぎるから
いつも 触れるか 触れないかで 離れてゆくけど
今日だ ....
たぶん僕はずっと幻を見ていたんだ
他人同士が仲良く集まって
微笑んで喋っているその内側で
交錯する真の思いを見抜けずに
見えない糸で操られた世界
そう僕はマリオネット
幻の ....
あなたの声が聴きたい
かつて私を魅了した神秘的なあの{ルビ詩=うた}を
あなたの声を聴かせて
そしてまた私を夢の世界へ{ルビ誘=いざな}って
あなたの声は
私の梢を揺らす一陣の風
あな ....
とりあえず色んなものを書いてきました
最初は恋愛ものが多かったかな
書きやすいってのもあるし
それなりに受けも良かったので
難しい言葉を羅列しただけのもあったな
別に大して意味なんてない ....
すべてが無に帰ろうと一方通行している
俺は震えて世界の端にぶら下がっている
いつか見た
そして凍えた思い出は
風に乗って北から流れてくる
自分であり続けることの難しさを
....
雨が降るから傘をさす
雨あがるから傘とじる
雨が降るから傘をさす
雨あがるから傘とじる
そんな日々に疲れたぼく
雨が降るから傘をさす
雨あがるけど傘をさす
雨 ....
疲れた身体を横たえて
ひっそり眠る午後の一時
モノクロームの夢の後
窓辺に花が覗いてた
ここは僕のオアシス
すべての道に繋がる入り口
生きてるという勲章を誇りに
明日 ....
17歳の春を覚えている
高校二年の春休みの夜
死に気づいた
いつか死ぬんだ
そう思って
胸が締まって
吐きそうになった
生きたいと思った
僕の意識が
僕のカタチが ....
かいちゃんはまだ歩けない
もうすぐ一歳と五ヶ月になるのに
まだ歩かない
だけどハイハイはとっても上手
ものすごいスピードで突進して来る
逃げるのだってとっても上手
おむつ替えや着替 ....
どこにも行かないで
そばにいてみつめて
月も凍えるこんな夜は
誰もが人恋しさに震えながら
星の{ルビ運命=さだめ}に想いを寄せるの
流星がスパークしながら
落ちて行くわ涙のように
....
全能でないが故のモザイク生活
喜びと哀しみが交互に訪れる
ここまで歩いてきた道
それは誇り
それは恥
つじつまを合わせながら
裏通りでつまずいたり
表通りで ....
悪夢に魘され 目を覚ます
暗闇に 君をさがしても 見つかるわけもなくて
僕はイヤな汗を背中に残したまま 少しだけ熱い額に 手を翳すのだ
泣かないで。どうか。僕の愛で 君の身体はもう守 ....
何だかなって空を見上げたら
雲がゆっくり流れてるだけ
僕って小さな生き物が
1人で悩んで眠れない日々は
この空からしたら
すっごく小さな事なんだなって
そう思うとね
ちょっと寂しいよ ....
あなたを探して落ちた罠
{ルビ迂闊=うかつ}だわ
あなたしか見えなくて
自分で仕掛けた罠に落ちるなんて
あなたの視線に縛られて動けない
逃げ出せばどこまでも
あなたの姿が私を追って来る ....
静まりかえった夜明け前
部屋からは見えない表通りを
鮮やかな色の洋服を着たピエロが
にこやかに微笑みながら
ボールを転がし
歩いている
深夜の主役
涙は止まらないけど ....
暗い夜道を独りきり歩く
ビルディングの四角い隙間から
零れ落ちる白い光の柱
あの中できっと誰かが呼吸をしている
そう思うとなぜか悲しくなって
紺碧の夜空はどこまでも続くのに
どうして僕 ....
{引用=あたいはあの人がほしいんだ}
ぼこ ぼこ ぼこっ
ゆらめく光の波動
何千もの泡、泡
誰も訪れる者はない森の湖水
光すら通さない水底には
主が住んでいる
{引用 ....
ちょっと遠くまで 一人旅してきます
行き先はブルゴーニュ地方 はじめて行きます
街の真ん中にある ノートルダム聖堂の
ケルト信仰と錬金術に関係があるって噂の 漆黒のマリア像に
....
君の街に雪が降ったとニュースで聞いた
君はどうしているだろう
僕の街にはまだ雪の便りはないけど
日に日に冷たくなる風の冷たさに
雪の気配を感じているよ
君が学校を辞めたと風の便りで聞いた ....
私たちはふだん
地球の反対に住んでいるので
会うには 大陸や 時間や お金や
たくさんのものを越えなくてはなりません
仕方ないので
手っ取り早く待ち合わせ
....
ねえ…
ここはどうしてこんなに暗いの?
もう、戻れないの?
なんで、私は独りなの?
けしてよ、私なんて。
なんで、生きてなきゃいけないの?
いやだよ、一人なんて、
世界なんてもう見えない ....
愛する人よ
私は今愛を告白しようと思うのです
物憂い黄昏の中を
あの偉大な日輪が沈んで行くように
私の心はあなたへと傾いて行きます
そしていつしかあなたの愛の中へ
すっかり肩まで浸かっ ....
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