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一番目の男が言った。
「彼はいつになったら来るのだらう?」
「いや、彼はもう行ってしまったのさ」
と、二番目の男が言った。三番目の男は黙ってゐた。
「それを残して行ってしまった」
三人の男達 ....
大学に登校する途中
「月の光」のメロディのハミングを聴く
それに和して口笛を吹く
いつの間にか背後に二頭立ての馬車
御者は中学生くらゐの美しい少年
促されて乗り込むと、先客二名
中年の男と ....
「鬼婆の髪を見に行きませんか」
ローカル新聞社の記者から電話があった。
「或るお寺にですね、鬼婆の髪があるんですよ。そのルポを書いていただかうかと」
「インチキなんぢゃないの。拝観料とか取るのか ....
朝早くにジョギングしてゐたら、急に雨が降ってきた。
最近の天気予報は、まったく当てにならない。
雨宿りするために歩道橋の下に駆け込むと、女が立ってゐた。
真っ赤なキャミソールを着た、痩せぎすの若 ....
子猫が一匹死にました
罪なき子猫よ
おまへの為に詩を書かう



公園の駐車場に、三匹の子猫が居付くやうになったのは一ト月ほど前
母猫の姿はなく、生後まもなく捨てられたのに違ひない
 ....
休日に公園で本を読むのが好きだ。
園内では、緑を眺めることより他にすることがないから、読書に専念できる。
解し難い本を繙(ひもと)くのは公園に限る。

今一つの楽しみは、公園に巣くふ野良猫たち ....
今朝はとても寒かった
来週は立春だといふのに、何といふ寒さだらう
あまりに寒かったので、私の舌は凍りついてしまった
物言へぬ詩人に存在価値など無い

―――死んぢまへ!―――

実に冷た ....
凍りかけてる湖水のほとりで
ゆらゆらゆれてるあれは何?

あれは仔牛の頭蓋骨
あれは仔牛の頭蓋骨

ポッカリ開いた眼窩から
無常があふれ出てゐます

冬冬冬冬(トウトウトウトウ)
 ....
毎週末、私は長期入院してゐる祖母を見舞ふ。
今朝の祖母は、あまり調子が良くない様子で、口数も少なかった。
私は、いつものやうに、ポータブルトイレの処理をしたり、入れ歯を磨いたり。

一通り世話 ....
湯せんにかけて
やはらかくなった冬の月に
銀河のアラザンをちらし
薔薇色の粉砂糖をまぶし

僕がひとかじり
君がひとかじり

 微炭酸の夢が
 恋人たちの舌の上を
 ゆるりゆるりと ....
或る若き詩人に

   §

意味のある人生とは何でせう?
食べて、仕事して、セックスして、寝る。
これこそが、意味のある人生です。

詩は無意味です。
詩なんか、なくとも生きてゆけ ....
ショッピングセンターの、ひとけの無い屋上駐車場に、子どものすすり泣く声が響いてゐる。
・・・と言ふと何やら怪談めいて聞こえるが、そんなロマンチックな話しではない。
誰が泣いてゐるのかと思へば、可愛 ....
寝て食べて
ちょっと甘えて
イヤなことスグに忘れる
猫の幸せ

好きなもの
陽だまり
うたた寝
マッサージ
カリカリ
ほら穴
トカゲのしっぽ

愛嬌をふりまきカリカリせしめた ....
冬めきてラディゲ読む夜の重さかな

幻滅と悔い残してや恋の冬

この星に我ひとりなり冬の雨

黙々と落ち葉掻きやる白痴かな

吸ひ殻と誇り捨てたり枯れむぐら

老媼の叫び響くや空ッ ....
「ちょっとお聞きしますが・・・」
生まれて初めて職務質問を受けた。
近所にある、簡易郵便局に寄った帰りのことである。
先日、防災用のごく小さな貯水池で、子供が溺れて死んだのだと言ふ。まだ、事件か ....
先達て、めづらしくチャットをした
WEB詩人の集まりだった
しばらく話してゐたら、かう言はれた
「三州さんは病気ぢゃないから」
ちょっと待てよ
だから何だ?
詩と、病気とは、何の関係も無い ....
お気に入りのサングラスが壊れてしまった
ブリッジがポッキリと折れてしまった
捨ててしまはうかとも思ったが、やはり修理に出すことにする

大晦日だった
歩くにつれ、わらわらと人が湧いてくる
 ....
月がポキリと折れてゐる
誰かが失恋したやうだ

静粛に!
静粛に!
詩人が失恋したぞ!
あいつめ、どんな詩を書くだらう?

恋が終はりかけると、きっと彼が現れる
優美なアンドロギュノ ....
「もしもし?」

全く、この街は気品だらけだ
もっとも、すべて道端に投げ捨てられてゐるが

「もしもし、私を誘惑してよ」

愛する人が気品を投げ捨てた時
私は注意したけれど
彼女は逆 ....
弄月無詩友
憂人惜暗香
秋宵如百歳
秋韻更千霜
月下詩情絶
星移大志荒
何時生一句
遮莫但醒狂


月を弄(もてあそ)べど詩友なし
憂人 暗香を惜しむ
秋宵 百歳の如し
秋韻 ....
ひんやりとした向ひ風が
私を包みこむ
日曜日の午前五時
さびれたアーケード街

まるで墨汁の海を
掻き分けるやうにして
灯りのないアーケード街を
私は一人駆け抜ける

若い女が泣き ....
公園の大きな吊り橋を渡りきったところに、イカの握り寿司が一貫置いてあった
ちょこんと、二ツ揃へて、地面に置いてあった
そりゃ好物だけどね
せめて小皿に載ってりゃな
しゃがみ込んで、つついてみる ....
近所の本屋で、新訳の「ロリータ」を探してゐると、以前に好きだった女性を見かけた
彼女の髪の色は、見るたびに薄くなってゆく
今日の髪は、まるで黄ばんだ白髪のやうだった

「ロリータ」を手にしたと ....
鱗無き大蛇(をろち)は
盲(めしひ)の蒼馬(あを)に絡み付きたり

月いづくにかあらむ
月すでに落ちぬ

花は蕾のままに立ち枯る
はや花は咲かざり

蒼馬は臥して息絶え
大蛇は泥中 ....
神学を齧ったからと言って信仰心が深まるわけでもなく
かくて私は見事に無神論者となり如何なる神も信じない

愛を信じないがゆゑに
人生も信じない

私は恋を信じず
美人も信じない

馥 ....
鳴きわめく油蝉を捕まへて
羽根をむしり取り
脚をもぎり取り
口の中に放り込む

食感は花林糖
この味は何かに似てゐる
この味は・・・
さうだ、鷄皮の唐揚げ!

胃の中で
ジュッと ....
憂淫雨

独酔憂淫雨
雨中幽鳥吟
詩魂何処有
寂寂石榴陰


淫雨を憂ふ

独酔 淫雨を憂ふ
雨中 幽鳥吟ず
詩魂 何処にか有る
寂寂 石榴の陰


長雨を嘆く

 ....
ショッピングセンターの中にある映画館の前でぼんやりしてたら、女の子から微笑みかけられた。
「こんにちはあ」
はい、こんにちは。
やたらと体をクネクネさせる娘だ。
髪は、ほぼ金髪、派手なウェーブ ....
夕立や子猫の腐る竹林

重き夜や夏に狂うて血のちぎり

うたも絵も美しくあれ夏の闇

病んでなほざくろの花は輝けり

筆先に落つる泪や花ざくろ

しづけさやプールに沈む我がいのち
 ....
壁に塗り込められてしまった!

この近在では、向かふところ敵無しの大やもりの俺様が、あらうことか漆喰の中に閉ぢ込められ、身動きがとれなくなってしまった。
このボロ家に迷ひ込んだのが運の尽きだった ....
石瀬琳々さんの三州生桑さんおすすめリスト(64)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
第四の男- 三州生桑未詩・独白207-9-7
馬車- 三州生桑未詩・独白107-6-14
鬼婆の髪- 三州生桑未詩・独白307-5-25
今朝マリエンバードで- 三州生桑未詩・独白2*07-4-18
子猫のおとむらひ- 三州生桑未詩・独白4*07-4-4
子猫- 三州生桑未詩・独白3*07-3-3
凍れる詩人_又は、冫(にすい)の詩- 三州生桑未詩・独白1*07-1-29
湖水のほとり- 三州生桑未詩・独白5*07-1-28
祖母の肛門に指を突っ込んだ日- 三州生桑未詩・独白4*07-1-21
微炭酸の夢- 三州生桑自由詩706-12-27
アヅマウタ- 三州生桑散文(批評 ...6+06-12-14
私の手- 三州生桑未詩・独白506-12-12
猫うたフル- 三州生桑短歌8*06-12-11
冬めきて- 三州生桑俳句7+06-11-27
ラムネ瓶の夢- 三州生桑未詩・独白506-11-25
健康か病んでゐるのか、詩才があるのかないのか- 三州生桑散文(批評 ...10*06-11-19
続凶夢- 三州生桑未詩・独白1*06-11-16
詩人の恋が終はる時- 三州生桑自由詩7*06-11-13
ラーメンといふ名前の猫- 三州生桑未詩・独白2*06-11-4
秋宵思- 三州生桑伝統定型各 ...306-11-2
立待月のメタモルフォーゼ- 三州生桑自由詩206-10-8
イカの握り寿司- 三州生桑自由詩506-9-23
凶夢- 三州生桑未詩・独白306-9-23
望み絶ゆるうた- 三州生桑自由詩406-8-16
ロゴス- 三州生桑自由詩206-8-14
油蝉- 三州生桑自由詩306-8-5
憂淫雨- 三州生桑伝統定型各 ...306-7-24
うろたへる詩人- 三州生桑未詩・独白306-7-20
夏に狂へる- 三州生桑俳句806-7-15
やもりの首- 三州生桑自由詩406-7-13

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