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母は 捨てる
真昼に閉じた雨空へ捨てる
滑空する白色の鳥が堕ちる所
そこに堕ちる母のものを捨てる
湿地帯に隠された 母の書いたもの
そこに堕ちる母のものを捨てる
滑空する白色の鳥が堕ちる所 ....
詩集『月に吠える』より「猫」
まつくろけの猫が二疋、
なやましいよるの屋根のうへで、
ぴんとたてた尻尾のさきから、
糸のやうなみかづきがかすんでゐる。
『おわあ、こんばんは』
『お ....
……とある蛙氏が、詩の現状と難解ということについて「私論・詩論・試論」という文章で議論している。
ぼくはこの文章の存在を知らず、きのう初めて読んだのだが、それについて思うこともあるから感想文としてこ ....
骨
その絶望
の
砂
の
把手
穴
のある
石
の胸
あるひは穴
のある
石
の腕
「夜の要素」の冒頭の二連です。
この奇妙な形式の詩の作者は北園克衛(きた ....
母
ああ麗しい距離(デスタンス)、
つねに遠のいてゆく風景・・・・・
悲しみの彼方、母への、
捜り打つ夜半の最弱音(ピアニッシモ)。
ぼくの周りには、ランボーを読んだり、中也 ....
そこには夜のみだらな狼藉もなく
煌々と一個の卵が一個の月に向かっている
「静物」より
吉岡実(よしおか みのる)の詩集『静物 ....
「書斎に於ける詩人」
それゆえに・・・・・
儂(わし)は雪の振る日の午下(ひるさが)り
水晶のやうに明るい牕(まど)ぎはの長椅子でこれを誦(よ)む
嗚呼(ああ) 書籍よ
爾 ....
「雨」
南風は柔らかい女神をもたらした
青銅をぬらした 噴水をぬらした
ツバメの羽と黄金の毛をぬらした
潮をぬらし 砂をぬらし 魚をぬらした
静かに寺院と風呂場と劇場をぬらした
この静 ....
「春」
てふてふが一匹韃靼(だったん)海峡を渡って行った。
「春」という一行詩です。
作者は安西冬衛(あんざい ふゆえ)。僕の最も好きな詩人のひとりなのです。
安西冬衛の詩との ....