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驟雨と不可視的な大気からの氷の噴霧によって
夏の果物たちはいっせいに腐りゆく
森の中
まだ碧々とした葉のはざまに立てば
濃厚なる芳香
甘酸っぱくそして酔いをひき起こす淫靡な ....
そもそも
言葉というものが先にあったのか
ひとが自らを自動書記に設定したがために
言語というものが存在を始めたのか
そのようなことを考えているうちに部屋が一面ウサギの毛に覆われた
ふんわ ....
【Three Haikus about countless lovely bugs in the world】
【この世の愛すべき虫けらたちにおくる英語俳句】
On a rainy day ....
日が暮れた直後の、ざわめきの残る生垣に囲まれた藍色の小道を一人歩いていた子供は、ふと道を抜けた向こう側に小高い丘が月に照らされているのを見る。
此処は。
瘡蓋のできた爪先のじくじくと鳴るのを聞 ....
年に一度
誰もが四つ辻をめざしてぞろりぞろりと歩む夜
街灯にホタル烏賊を吊るすのだ
あるいは吸盤のひしめきあう十本の足を木の枝にくくりつけ
青いその火を提灯にして巡礼の途につく ....
皮下に雷鳴にも津波にも似た不穏な違和感を覚えてつい先ほど解剖学研究所付属病院というところを訪ねたのだけれどそこで分厚い私の皮膚の中に針を差し込んだり青く光るメスのようなあるいは微小なるカメラのようなも ....
オオカミの皮を被ったトイプードル犬と
ライオンのたてがみを纏ったペルシャ猫がやってきて
逆立ちをしながら訝しげに問う
お前は何故に逆さまでないのか?
お前は何故に柔肌を滑らせているのか?
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