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山 眠 る 父 の 書 斎 の 鍵 ひ と つ
蝋 燭 や 息 を 止 め れ ば 火 も き え る
支 え あ う 者 ら 夕 ぐ れ 泳 ぎ く る
爆 ....
寒 椿 迷 路 の ご と き 義 母 の 髪
約 束 を 破 り し 枯 れ 野 後 悔 や
梟 や お ま え の 瞳 に 映 る 森
み ぞ れ 降 ....
バ ス 停 で 誰 を 待 つ の か 時 刻 表
ダ ム の 底 校 舎 の 上 を 泳 ぐ 魚
婚 姻 の 日 も 沈 み ゆ く 夕 日 か な
ふ ....
寒空の 声が殺せて 頬濡らす
此処露は泣かぬ ものかと耐えて
生ぬるいニュース眺めるぬるい顔
ファルージャとシンクロする戦場鍵盤弾き
ウクライナにやさしい日差しとオレンジスライダー
慢月や 肢と死と飴の 紅狂い。
冴え返り 愛用毛布 手放せず
春光や「カレーの市民」の尻の張り
春光や決死の像に漲りぬ
彫像の裳裾の奥へ春光る
春光の中や塑像の蹲る
緩みなく「考へる人」春早し
春立ちぬ考へること生きること
地 ....
大阪に 久方ぶりの {ルビ寒雨=かんう}あり
濡れる人 濡れざる人を 羨望す
我濡れる 水も滴る 風邪も引く
ほらあそこが春分点だよ赤道儀
な隠れそ極軸あわせ北極星
シリウスを30センチで覗くバカ
バーナードループ見えたかホントか嘘つくな
アイピースからフラッシュを焚けば波動砲
四分儀と双 ....
瀬をはやみ割れたきりなる年の夜
心眼を持たぬ我らの初詣
拾ひしは空の財布ぞ初夢に
二階なき我が家にぞめくひめはじめ
ちはやふる{ルビ雪花菜=きらず}炒めつ落語聴く
年明けの雑煮は夏の尻子玉
君がため汲みし若水 皿に注ぐ
寒施行 狐と分け喰む小豆飯
そっと割る頭氷の鏡開き
水底は青女の朝より温かく
名護岳のキジムナーから花便り
口紅を持たぬ日ありき麦芽ぐむ
伐られしは冬萌赤き若木なり
孕みをれば死は許されず冬の蜂
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紅挿すや湯冷めせしほど待ちわびて
寒紅を般若の面の裏に刷 ....