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見せ掛けの愛の言葉を吐き出して煙草の煙が凍りつく夜
息絶えてセキセイインコは止まり木を滑り落ちたりかそけき音で
遊ぶことお喋りすること謡うこと好きなだけせよ次のいのちで
空の籠を片付けている 傍らに軽ろき羽毛が風に吹かるる
古里の小高き丘の菩提寺に
雪をかむりて立ちあらむ
{ルビ墓石=いし}に刻まれし名のありて
生きた証の名のありて
香華の絶ゆるなかれとぞ
過ぎし時をぞ思いたり
....
饒舌な彼女の隣りで頬に手を当てて頷く 君に恋した
ティーカップの淵をクルクル撫でている細き指先 俺は恋した
「ぽっちゃりとした唇がきらいなの」尖らす唇 君に恋した
「ばかみたい」そっ ....
飛び出した十一名に爆風を叩きつけつつジャイロ飛び立つ
「ベトナムの借りは返す」と白き歯をむき出す片目の黒きサージャン
初めての実戦を終え嘔吐する殺人者 殺人者我の代償
我もまた死して ....
人生を白か黒かで割り切つた十九の肩に散る花はなし
旅立ちに泣く人もなく大空を舞う飛行機を見つめおりたり
太陽に向かひて飛行する期待 半周を経てコスタリカに立つ
冗談のやうに支給のグロ ....
樹木鳴らし吹き抜けてゆく狂風に深夜目覚めるいまさらの孤独
海鳴りのとどろ聴へり魂を貫く声に窓開け放つ
畏みて畏みてなお願わくば我が生涯に苦難与へよ
ひとひとり生れ出でたる悲しみの叫び ....