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朝顔の 浴衣着せられ すましても
{ルビ囃子=はやし}の誘いに 鳥のはばたき

色具合 綺麗じゃないかと なだめても
姉のお古に チョーさん唇

何故わかる 金魚の匂い ぐいぐいと
群れ ....
腹に響くエイサーの
どごん どごん
飛び跳ねる常夏リズム
どどごん、かつ、かつ

手踊りが咲き
歯は白く輝き
乾いた{ルビ三線=さんしん}の{ルビ音=ね}が走り出す

空を切り裂く指 ....
初夏の雫を集めた、里芋の
透明な葉脈の裏側で
夏風の子が
小さな産声をあげる
まだ、うまく飛べない

棚田の{ルビ畦=あぜ}に沿って
緩やかな曲線を描くと
早苗に浮かぶ蛙が
水かきを ....
夏少年の、硝子の{ルビ背=せな}に
せせらぐ
ピアニシモ

白い{ルビ喉=のど}の、滑るシトラスに
透けてゆく
アダージョ

戸惑う爪先の、細い苦悶
ふるえてゆく
アレグロ

 ....
海を見たことがなかった
見え隠れする光
あれがそうだ、と無骨な指で示された海は
たいして青くなかった、が
軽トラックが、ギシギシとカーブを曲がるたび
輝きを探して、車窓にしがみついた

 ....
大きなガラス扉
日焼けしたブラインド
貸店舗、の白い貼り紙
コンビニになりきれなかった
角の、たなか屋

殺風景な店先のコンクリートには
ただひとつ
小さな郵便ポストが生えたまま
舌 ....
千代紙こうてくれへん?
匂い付きのやつやで。
嗅ぐと、鼻の奥んとこが、ジーンとなんねん。
何や懐かしいこと、思い出せそうで、思いだせへん
あわーい陶酔があんねん。
千代紙には。
何でやろ、 ....
本当はセリカがよかった
が、人気車には、やはり手が届かなくて
中古車屋のおやじに勧められるまま
同じエンジンだというコロナにした
家に帰ってよく見ると
左のドアが少しへこんでいた

―― ....
駆け足だったあの頃
{ルビ躓=つまづ}くたびに零れた
ぎこちない音も
こうして、つないでみれば
いつか、優しい旋律

奏でられる音階、の隙間
置き去りにした、いくつもの溜息
そっと、触 ....
こんぺいとう 目を閉じ頬に手 しゃりしゃりしゃり
たったひとつで 幸せの姫

ケチャップで うさぎが先っ! ぞぉーが先っ!
コラコラ押すなよ ほーらこんなになっちゃった

{ルビ祖父祖母= ....
第十位 ネコ
すりぬけて 君はいつでも 孤高の天使
気のない素振り 耳だけ向けて

第九位 キリン
見くだすのは 背もプライドも 高いから
寝るときくらい 横になれば?

第八位 アザ ....
{ルビ故郷=ふるさと}に近づく列車
向かいに座った女性は
首のすわりかけた赤子を
前向きに抱えていた

一瞬、驚いたあと
すぐにうつむく仕草は
内腿の{ルビ痣=あざ}を
男子生徒にから ....
こらえても ゆがむくちびる ふるふるふる
うるみ零れる おかっぱの髪

パパあげる 玄関先で 待ちわびて
握り続けた シワシワの春

負けないぞー きいろい声は どこいった
頭ならべて  ....
(くもはしろいだお
と、ノンちゃん色鉛筆の箱をひっくり返す
あいにく白い色鉛筆は
どこかに失くしてしまって
ノンちゃん覗き込むけど
箱はからっぽ
みつからない

ノンちゃん白い画用紙広 ....
ルナクさんの佐野権太さんおすすめリスト(74)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
祭囃子に誘われて- 佐野権太短歌16*06-8-7
美風(ちゅらかじ)- 佐野権太自由詩18*06-8-3
夏風の子- 佐野権太自由詩29*06-7-20
振幅する夏- 佐野権太自由詩14*06-7-10
父と、海と- 佐野権太自由詩34*06-6-29
たなか屋の角- 佐野権太自由詩54*06-6-20
ぶるー・びぃず- 佐野権太自由詩22*06-6-16
描いた青の軌跡は- 佐野権太自由詩16*06-6-11
初夏がまわしたオルゴール- 佐野権太自由詩15*06-5-30
いやーん、ばかーん、愛娘たちよ- 佐野権太短歌13*06-5-23
いぢわる_あにまる_カウントダウン- 佐野権太短歌9*06-5-19
白い紙ふうせん- 佐野権太自由詩18*06-5-18
愛娘たちよ、いつか耳をひらいて- 佐野権太短歌13*06-4-28
白い色鉛筆- 佐野権太自由詩11*06-3-1

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