日めくりカレンダーをめくって
紙飛行機にする

1年間で365機の飛行機が
この部屋を飛ぶ

赤い3の字を模様にしたのが
白いテーブルに不時着する
他に行くところもなく

行く ....
人さらいは人をさらったことがない
これからもさらう予定がない
けれど人さらいは人さらい
それは何の比喩でもなく
人さらいが人さらいであるということだ
何故人さらいは人さらいなのか
生まれた ....
妻と二人で梅干を漬ける
台風が近づいている
空はまだ晴れているけれど
窓から入る風は生暖かく蒸し暑い
梅の実の良い匂いがする
水洗いした梅の実をタオルで一つ一つ拭き
ヘタを楊枝でほ ....
金曜日。仕事休み。
雪がふったからではなく、最初から休日(笑)
ウチの奥さんは会社、こどもたちは学校。一人なのをいいことに朝から酒のんでいる。
というか、昨夜からずっとだ(笑)
ちょっと仮眠し ....
一心不乱の息づかいが
助詞をくるわせ
やつらのアイドルの地位を与えるのだ
何だ 君は
ただの委員長じゃないか
少しばかり髪が綺麗なだけじゃないか
笑ったりするな
さてと、やっと百に届きそうだぞ。
前回も言ったとおり、ここでしばらく俺は姿をくらまします。
人の数だけ、その人の読みがある。
大切なことは、その自己主張を通し抜くことではなく
私のなかの私 ....
シャッター下りた天神橋筋商店街を
盗んだママチャリでブッ飛ばすねん今夜
アンタは今夜も鰻谷あたりの気取ったバーで
ひっかけた女の乳でも揉んでるんやろ
好きにしたらええねん
アンタの病気が治ら ....
さかむけの内に秘めたるファンタジー

五線譜に線を書き足すファンタジー

玄関が二重扉でファンタジー

教会に入れなくてもファンタジー

ブラジルで猫を拾ったファンタジー

 ....
  ピカデリー・サーカスで映画をみた
  フランツザッパの「ONE HUANDRED
   MOTELS」だ
  館内はポプコーンとコーラで食べたり
  飲んだりの大騒ぎだった 誰が真 ....
「詩を読むのにも飽きて
 ピヨピヨ湖のほとりで
 釣りをしていた

 おれが愛したのは
 美しい風景ではなく
 それを記述した言葉の美しさだった」

と かいたところで
 ....
なんとなく手を差し出したら
貴方も手を伸ばしてきた

ふたりして寝転がってる草のうえ
喋る必要はないのだと
そういう感情だけが走ってきた

そんな牧歌的な時代は
噛みしめる間もなく
 ....
 よっし おっし やっし のっし
 そこのけ そこのき そこのかこ
 そこのく おととい それから きのう
 きょうは そこそこ あしたは あっち
 たっし つっし ろっし もっし ....
ぼんぼりに灯がつくと
仕事を終えた人たちが
夜ご飯を食べに来る

みんな仲良く
おしゃべりしながら
好きなものを食べて
お酒を飲んで
よいきげんで歌うたう

眠くなる頃合いにな ....
おにいさん。いくらそばでも遠いねえ 死にたいひとりをわけあう無言


お茶を出してはありがとう、なんて膿んでるわたしだけ日々のモノクロ


つまるわたし風がふいても音ばかりの海今日も匂うこ ....
振り向くと沖に知らない人ばかりになってこわい

貝の表面についてる回虫みたいな模様がこわい

高波が何でも持っていこうとするからこわい

クラゲが知らないうちに沢山わいてこわい

あが ....
あのときはあのひとが
いいひとにみられるためにわざとおとなぶっているとおもった
たぶんいっしょうけんめいじぶんをまもっていただけなんだ
だれがみてもそれなりのしょうさんをえられるようなすがたにな ....
なにもできない夜でした
膨大な量、足りなくなって 急に
大きく。大きく、吸い込むのです
膨張する一方で 血管に指先からの、キス
ぶうわ、からだ中をめぐる網 ひとえに
とじこめられるわたし、が ....
 
結局また

こんなとこに戻ってまうねん

て とむ が言う

ほんまの自由は

ここにあるさかいに

て じむ が言う

ぼちぼち が一番や 

て言いかけた はっく ....
さかなにはさかなの
けものにはけものの
くらい、影があって
さかなにはさかなに
けものにはけものに
それぞれのくらしと
それぞれのねむりが

境い目の波に
夜の月明かり
揺 ....
からだが どうん、まばたきしたときの
あのせかいが まっぷたつ から、ゆうぐれて
頭から 地球の中心に ぐん、と押されると
わたし、いつも きまって あやまってしまう
ごめんなさい、ごめんなさ ....
半年分の酒瓶を 片付けた

100本以上あった


少しずつ かなしみを

溶かし込みながら 

飲んだ 酒瓶に

もう一度 かなしみを

詰め直して 捨てた


それ ....
 占い師のバラードで混み始める市役所


 1/60億 分母そんなにいらない


 猫おっかけて風になったどうしよう


 「人間」だなんて、もっと軽々しい名詞でいい


 ....
このままどこかに行ってしまおうか

帰りの車中でそんなことを言っていた二人は
どこにも行けないことは知っていたけれど
その言葉だけで十分満足だった

今、僕らは三人になって車も一回 ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている


父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
読みかけの詩集を逆さまにすると
文字の列たちは
不ぞろいのビルディングになりました
そして
下のほうにあった余白は
広い空に
しばらくその様子に見とれていましたが
何かが足りない気が ....
夕刻
おとこまさりの包丁裁きで
頭を落として
からだを開いた

中骨を
刃先でなぞる
膜を破る
洗い 流す
ぴりぴりとあかい
赤は
どこまでも
泣き止まない


鍋の底で ....
駅前に君を呼び出して
全速力で駆けつけた時には
もう好きなんて言葉は出なかった

僕らが 宇宙の話をしよう! と言い出す時は
きまって
全ての宇宙が出尽くしてしまった時だ

それなのに ....
君のおっきい手、好き

好きだった

好きだった君の
好きだったものたちは
またきっと
誰かが好きになる

でも、たぶん
私の好きが一番おっきかった


君のしらないこと ....
秋のあいだ
ひとり山に引きこもって
ギンナンギンナンって踊っています
つま先で立って
小さい冠をかぶって
麗しの八合目で
姫です



真っ赤に猛る裾を尻目に
ギンナンギンナ ....
おそらく ぼくは


求められる ということだけを
求めていたのだ


あの夜 ぼくは
正真正銘どうかしていて
月にさえも 誘いをかけていた 


そこに 他意はなく
そこに ....
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