(あ)


っという間もなく
それはもう

ではなかった

語られることのないおとぎ話は
ただ
さらさら
さらさら
と音めいていて

僕の両手はいつも
掴まえることが ....
ほの暗い駅
列車の中で一点を見つめている
あなたの眼差しを見送る

”お気をつけて”

その一言だけが伝えたかったのだけれど

ベルが鳴り止んで動き出したのは
列車ではなく
ホ ....
胃が四つに分裂しています
健康診断の結果、そう言われた
どういうことなのか理解できずにいる私に
つまりは反芻するということです
医者はたたみかけるように言う

反芻とはウシがするあ ....
すばらしい日は
目から はちみつが出る

下を見れば
青い空き缶が吸い殻入れ
もたれかかれば、白い壁はやわらかい

ドアをあけると
黒壁に詰まった、赤い自販機

吸い殻入れの隣に
 ....
彼はにんじんだが
私がおろしてしまった

まな板のすみに にんじんのおろし
主人の好きな きんぴらをつくらなければいけないので
いつもより速く ごぼうを切る
トマト 枝豆も切る

その ....
彼は ニンジンだが
私が すりおろした

まな板のすみに ニンジンのおろし
三角コーナーの裏に 皮

ステンレスにはりついたオレンジのひし形は
彼が
私に言いたかった唯一のことなので
 ....
夢を食べて生きてはいけない?

この季節、月はとても高いところを通る。
もちを食べていたら
中から
ラケット二本と
シャトルが一つでてきた

正月は羽子板だよね
とか言いながら
僕らはいつまでも
バトミントンをし続けた

あの日
何回まで数えるこ ....
真っ白な画用紙の
その真ん中に

僕は

しま

と書いた

画用紙の海で遭難した船乗りが
泳ぎ疲れないように

ある日、画用紙の海で遭難した僕は
後悔することになる
 ....
あんちゃん大学出の新人か
ゆくゆくは幹部やな
まあ研修期間は「ご安全に」やな

あ〜
かっこ悪う
そんなピチっとした作業服にするさかい
ちょっと踏ん張っただけでケツが破れてまうねん
ま ....
古本屋の女主人は
若くて
美しくて
両の目の間が人より少し離れている

本をめくりながら
チラリとその方を見たりすると
何故自分が生きているのか
時々わからなくなる
ゆらゆら揺らめく
かげろうの下にある水に入りたくて
僕は走り出そうとする

遠くに行っちゃだめよ

手を引き寄せられた
夏の日のいつか

日傘を差した母を困らせるなんて
したく ....
本日の自分の新聞記事が見れます。私は、「ゼガタサーン」をつくってる会社の社長になってました。

日刊あなた
http://www.p-apple.net/anata/
あの夜
たしかに家出は決行された

両親が寝静まるのを待ち
荷物は何も持たず
ズボンのポケットに
ありったけの小銭と札
そして中也の詩集をしのばせたあの夜
たしかに家出は決行された
 ....
こたつの中でぼくは、猫を見つけました。
その猫はこたつの中であっちへ行ったりこっちへ行ったりしていました。
ぼくは、こたつの布団をめくりつつ、尋ねました。
「何してるの?」
「今日と明日の境目 ....
カーテンを開けると大雨だった

ひどく気が滅入る日曜日だ

さらに気が滅入ることに

カーテンを開けたのは彼女の方で

私は外で立ち尽くしていた
私の体には
悪魔が憑いている

赤い悪魔は
常に私につきまとい
常に私を苦しめる

けれど
彼を失っては
私はたちまち死んでしまう

赤い悪魔は
私の血をすすり
私のために働 ....
ほんわかと 私の心に お湯がわく 冷めないうちに 君の心へ 牛乳を買ってきたつもりだったのに
袋に入っていたのは
それはそれは立派な
乳牛だった

妻は、こんなものどうするつもり、と怒りまくり
娘は、牛さんが来た、と大喜びをした

毎朝、新 ....
くちびるに海苔がついているから
愛してる
って言葉も
何だかシャケっぽい
芝生にはたくさんのシートがひかれて
僕らのピクニックは
その一番隅っこ
風で泳いでいかないように
いろいろ ....
「ずっと恋人でいましょう」
と言って 結婚をしました
結婚をして15年
ずっと敬語を使っていますね

「待たせました」
「出来ていますか」
が好きです

ついに私達の娘は
ロングス ....
透明な波が
どこからかやってきて
ささささあん、ささささあん
とうち寄せてくる

けれど
透明な波はあまりに透明だから
私はいつもそれに気づかない

例えば
静かな朝の食卓
箸を ....
こびとは手紙の最後に
「こびとより」とそえたあと
「こ」と「び」のあいだに
小さく「い」の字を書きくわえた

しばらくながめているうちに
恥ずかしくなったのだろうか
てのひらで手紙を丸め ....
妻と相談して
家にエレベーターを取りつけることにした
けれど、取りつけた後で
この家には二階も地下室も無いことに気が付いた

ボタンを押すと
チーン
と音がして扉が開く
上にまいりませ ....
彼女からの手紙が
炊飯器の中で見つかった
もう
ほっかほかの
ぐっちゃぐちゃで

炊きたてのご飯はうっすら黒く
食べると微妙にインクの味がする
時おりぐにゃりと繊維をかんだりもする ....
お別れには
銀杏の下で ごろごろ ころがり
大理石の上で 泣きましょう
「いよいよジャズを聴く時」 が口癖のあなたは
明日 聴くだろうし
私は 青い服を 買いに行く
何気ない一言が
マッチ売りの少女の
最後の一本のように
胸に火を灯す

恋は
死んでしまったけれど
死に顔はきっと
幸せそうに違いない
人差し指に生えた翼が
大空に憧れるから
気がつくとわたしの左手は
空にまっすぐ伸びている
飛びたくても飛べない右手が
それにつかまって
わたしだけ一人
地面に足を生やしている
渇いた口から取り出す体温計は砂臭い
剥げかかったマニキュア
むわっと立ち込める暑さの中で
激しく咳き込んで 頭痛をこらえていた

今日の私はやりたい事がたくさんあったのだ
昨夜着替えたパジ ....
いっこうにかまわないよ
赤唐辛子まるごとでも
肉厚のにんにくひとかけ
適当に刻んで
汗ばんだ体温で茹でるスパゲッティ
沸騰する茹汁の泡々
鍋に浮かぶひとかたまりの雲に
見入ってしまう
 ....
かなりやさんのおすすめリスト(124)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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ゼガタサーン- 山内緋呂 ...おすすめリ ...13*03-11-24
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