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橋がかかる
四年に一度だけ同じ日に

同じ人に会う
きっと同じ思いで川を見てる

同い年なら結婚しよう

私はもう百五十六歳よ

消えていく
橋を渡りながら消えていく

そこ ....
類人猿の
波打ち際で
太陽は沈まない

沈まない太陽の
その向こうに
地平線はあった

もう帰る家が
ありません
夢の終わりから、ずっと
人は生きてるのかもしれなかった

最後に夢を見たのは
母さんのおなかの中で
とつぜん目を覚ましてから
人は生きてるのかもしれなかった

夢の終わりから、ずっ ....
十年以上も昔の地図と
現在の地形を見比べている
かつてあそこには
二つの山などなかった
かつてあそこには
草など生えていなかった
その草原の奥にある
深い谷から水が溢れ
湖となったそこ ....
真夏の砂浜の
パラソルの下の
ちゃぶ台に
貧乏な親子の
食卓があって
その隣には
サンオイルで
てかてかと輝く
若い女が
こうらぼしをしていて
やきすぎると
肌に悪いと思ったのか ....
にんげんたちが
ひそやかに休暇を楽しんでいた
ヌーディストビーチ
木陰から高性能カメラで撮影した写真の
投稿雑誌が創刊されてから
そこは動物園と呼ばれるようになった
ときどき妻が
キッチンの引き出しの中をのぞいて
笑っているのはなぜだろう
中をのぞこうとして近づくと
あわてて閉めて私を追い払う
みんな眠ってから
トイレに行くふりして
開けようとした瞬 ....
雨をふくんだ地面が
静かに沸騰して
おいしいものが
出来上がるそこを
夜明けを待たずに
ぬかるみながら歩く
無意味を信じて
無意味な逃避をして
正しいつもりになって
砦の先はるか遠く ....
鱗が一枚一枚
剥がれ落ちるように
今はまた
別な種類の魚になって
あなたを飼うことに
とても忙しい

引き出しを開けると
テーブルと水草がないので
ホームセンターへ買いに行く ....
いつの日か
麓の灯は消えている
無人駅で下車すれば
迎えに来るよ蛍の灯
夕餉の匂いがするほうへ
母の匂いがするほうへ
甘くて苦いそのほうへ
会社をやめて独立したという古い友人と
ひさしぶりに私のアパートの部屋で飲んだ
これが意外に儲かるんだよ
と言う友人は、自動販売機になっていた
胸には常にテレビのようなものを映している

あ ....
むー。
と、
音がして
電車がホームに入る
それは声ではなく
乗客の
希望と不安と
そして無関心が
いりまじった
心の音
今朝の
むー。
は、
1オクターブ
高かった
海の隙間から寝間着の紳士が上陸する
レディファーストを欠かさない紳士は
すでに同伴の淑女を裸にして太陽にさらしている
用意周到に船で密輸された薬品のことを知っているので
紳士は安心して夜を待つ ....
この世にはない湖の辺で
あなたに会う
この世にはない花を摘み
あなたを飾る
この世にはない愛の言葉を
あなたにささやく
この世にはない幸せの鳥が
あなたを祝福する
そんな世界 ....
壊れたら直せばいいが口癖の
父からもらったラジカセは壊れてばかりだった
とくにアンテナはしょっちゅう折れた
そのたびに父は何も言わず修理してくれた
まるでそれが生きている理由であるかのように
 ....
朝になると
夫が焼き上がるいい匂いがしてきて街へ出荷されます
街ではどれも似たような顔の男が売られています
売れるまで帰ることができません
早く帰って焼かれたいと夫が思っている頃
窯の中では ....
軌道を外れて落下する雨
待ちこがれる傘
からだを露骨に紅潮させ全開となった傘を
雨が狂ったように激しく打ちつける
すべてが終われば傘は
からだに付着した雨を丁寧に振り払い
雨は何事もなかっ ....
バケツは横たわって喉を渇かしている
思いっきり蹴られて宙を二、三回転しても
着地のやり方はまちがってしまう
あれほど着地を練習したのに
いざ蹴られてみたら本番に弱いので
側面にへこみばかりが ....
かおるさんの小川 葉さんおすすめリスト(18)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
うるう人- 小川 葉自由詩5*08-3-5
類人猿より少しだけ不幸な人類- 小川 葉自由詩6*08-3-2
夢の終わりから、ずっと- 小川 葉自由詩308-2-23
ウィリー、ウィリー、きみの名は、- 小川 葉自由詩5*07-7-13
パラソル- 小川 葉自由詩3*07-7-11
月刊「動物園」- 小川 葉自由詩207-7-6
引き出し- 小川 葉自由詩14*07-7-5
キッチン- 小川 葉自由詩407-7-1
- 小川 葉自由詩1207-6-30
- 小川 葉自由詩4*07-6-26
再会- 小川 葉自由詩1207-6-22
むー。- 小川 葉自由詩6*07-6-21
仮面- 小川 葉自由詩4*07-6-16
無数のあなた- 小川 葉自由詩7*07-6-13
修理- 小川 葉自由詩1007-6-13
- 小川 葉自由詩2*07-6-11
雨音- 小川 葉自由詩6+*07-6-8
ラストシーン- 小川 葉自由詩407-6-7

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