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一本の指がしっかりと
屋根のすべてを締め付ける
風のものではない揺れが
屋根から屋根へと歩き去る


雪のかけらが息にからみつき
寒く苦しく
苦しく寒く
径の行方に降 ....
風が入り込み
這いまわり
出てゆくたび
ひとりになる


夜の地に立つ夜の洞
夜を二重に夜にする音
雨は洞を抜け別の夜へゆき
音だけがこちらに残される
 ....
夜に光る葉
原の外
街の幽霊より濃い影が
幾つかの径を消してゆく


考えより速く生まれる火
緑がかった薄い霧
さまざまな光が壁を横切り
影を水へと落としつづける
 ....
花をすぎる花
こぼれる花
閉じた片目から
飛び去る花


花は重なり 水になり
灰の飛跡をとどめている
空は震え
空は枯れ野


多くの音が暗がりにうなずき
 ....
原野の指
水と稲妻のあいだの子
空になる 花になる
うたにも うた以上にもなる


鉄の筒を風が通る
鉄の籠を轍が揺する
予兆の上の光が吹かれ
石の路地に鳥となる
 ....
脚を焼く火が
胸にとどく前に消え
ふたたび冠のかたちに現われ
両肩を抱き燃えつづけている


まばらな陽のなか
あなたは身を反らし
地と空のきわ
水と空のきわを
飛 ....
冬の蜘蛛のかたちだけが
土の下にかがやいている
風や色とともに染み込み
夜を夜から浮かばせている


まぎれもないまちがいだけを
数少なに燃している
たなびくものが向か ....
いつかどこかへ
去るときが来て
道を奏でて
道を奏でて


奇妙にしばられた
音をひとつほどいて
粒のかたちに返し
行方を見守った


ひるがえる午後の
背の ....
首から下の感情が
水の底にひらいている
水は濁り
水は隠す


鳥が一羽
木守りの実を突いている
子らの悪戯な指と目が
雪の枝に残っている


ほのかなものが上にな ....
硝子を失くした窓の列を
鳥と花と草木が通る


ここは痛みを知らぬ胸
ただまなざしに焼かれるところ


道から湧く音 光まじる音
重なりを解いてはつなぐ音


 ....
水のなかに
水と同じ言葉が落ち
跡は皆
光にくちずさまれている


降る水のにおいが
道を流れる
砂に埋もれる火を映し
鏡は旧い水を横切る


知らずに光を呼吸しな ....
肌の上に立つ水へ
重ならぬ葉と重なる葉
朽ちた枝を流す金
音は羽へ羽へと変わる


鏡の熱さ
肌の熱さ
指の腹の魔
鏡の熱さ


金に溶けてゆく色が
空をまだらに ....
曇のはざまに
破裂する曇
おまえはまだ曇なのだ
散っても散ってもなお曇なのだ


もう飛べない鳥
干からびた命と
ひとつになれ
ひとつになれ


ひらいたままの ....
灰の混じる手で
顔を洗う
灰は髪になる
灰は語る


火が残り
背を照らし
髪の影を燃し
ひとりを浮かべる


月を連れ 別れる
赤い光が 鉄路を去る
隣を歩む ....
三度に分けて呑み干す光
その日かぎりの地図にこぼれ
街はひとつ低くなる
空き地は碧くたなびいてゆく


わずかに曇った風が吹き
ふところに涼しく正座している
頬を染め 空を ....

ひとつのまぶたを
たしかめる音
分かれてゆく世界を
見つめる鳥


理解 埋葬
翼が多いほうを選ぶ
遠い雨の下の川
沈む羽と波
見つめる鳥


きらびやかな ....
指をのばせば触れる
何も無く 触れる
何も無さにではなく
ただ 無いことに触れる


ちぎられたのでもなく
盗まれたのでもなく
花は指と手のひらに咲き
茎をかつぐ背を見つ ....
雨が降り
音は昇り
遠く高く
曇のかたわらで鳴っている


かがやきと時間の洞のなか
青い文字に生まれる子
ゆうるりとひらき
外へ外へ歩み去る


離れた硝子と硝子 ....
星の雲と砂
夜の水かさ
わたしが生まれた理由より
さらに遠くへ
離れゆくもの


サーカス 移動動物園
肉から物から聞こえはじめる
わたしではないわたしのかたち
ぬかるみの ....
まとわりついてくる光の粒を
まとわりつくまま歩き出せば
光はしびれをきらしたように
ぽつりぽつりとうたいはじめる


ああもうこんなに沈んでいたのか
足を持ち上げ
足のかたちが ....
吹雪を歩む子の喉を
ぬぐうようにすぎてゆく火
忘れかけた尾のかたち


飛び立てずに泣く夜の
足もとに凍り重なる光
土の底の根を照らす


波も血も笑みも
こがねと涙 ....
墓の無い終わりを告げる水の羽




{ルビ弥生=やよい}より流れ落ちたる{ルビ卯月=うづき}かな




とどまらずただこぼれゆく冬の雲




傷を抱 ....
燃える草の原のむこうで
夜は息をしつづけていた
生まれる前のものが羽に包まれ
夜とともに揺らいでいた
かがやきのない星が穴のように在り
風と煙と火の柱を
吸い尽くすように吸いつ ....
あなたなど何処にもいないまぶしさの闇あびるとき微笑む真昼




いくつかの空のなかからひとつだけ溶けゆく青に造られし道




海と空むすぶ羽音の舞の輪に青の魚の名を ....
雪原の風たぐり舞う銀髪にあるはずもない笑みを見ていた




くりかえし光の行方追いつづけ雪の背骨を駆けてゆく子ら




道に棲む{ルビ静寂=しじま}に映る水の笑 ....
水の上に凍る陽の音
霧の祭が去ってゆく音
緑の底を流れ来るもの
道にあふれ 道をひたす


いきどまりが双つ 手をつなぎ
傾いだ螺旋にはばたいている
岩の壁 土の壁に触れ
生 ....
涙が涙へ落ち
映る雪は昇る
花はひとつ多く
土に消えずに残る


やわらかに覚める
手の甲ふたつ
波と曇の鳥
鳥に沈む鳥


ひとみしり
とおまわり
道 花 原
 ....
互いに背を向け
曲がり またたき
空と波を
指おり数える
月が隔てる言葉たち


手のひらの海
無数の帆
とまどいは澄む
濁りのあとさき


透明でもなく鏡でもな ....
糸の光
曇に沈み
雨は低く
小声 小声


まぶた かけら
冷えて重なり
愚かしさのまま
流れ 昇る


高く積まれたもののなかから
少しだけ見える鏡の先端
ま ....
避けられ 切りとられた夜を
小さな熱の泡が昇る
風のなかの水の群れ
崩さないちからへ向かう群れ


壁の傷は洞のように
しずくのこだまのようにつらなり
やがてしたたるそのま ....
こしごえさんの木立 悟さんおすすめリスト(109)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
天地天地天地- 木立 悟自由詩724-8-10
夜_消える夜- 木立 悟自由詩723-7-17
白_黒_青_無- 木立 悟自由詩120-4-13
夜と雨- 木立 悟自由詩314-1-9
夜と冬- 木立 悟自由詩308-6-30
むらさきの_むらさきの- 木立 悟自由詩608-5-2
とむらいにあらず- 木立 悟自由詩208-3-30
ノート(ひとつ_しるべ)- 木立 悟自由詩408-2-5
遠還- 木立 悟自由詩307-11-30
円軌業音- 木立 悟自由詩9+07-11-17
呼吸- 木立 悟自由詩507-11-15
声とめぐり- 木立 悟自由詩407-9-29
ノート(午曇)- 木立 悟未詩・独白207-9-4
夜めぐる夜- 木立 悟自由詩607-8-30
数と光- 木立 悟自由詩607-8-4
ノート(川辺)- 木立 悟自由詩507-5-25
無のむこうに- 木立 悟自由詩707-4-30
ひとつ_うたう- 木立 悟自由詩1107-4-25
ノート(腹話耳)- 木立 悟自由詩707-4-19
ノート(熱芽)- 木立 悟自由詩907-4-17
ノート(こがね_めぐる)- 木立 悟自由詩507-4-1
浪洞- 木立 悟俳句807-3-19
ノート(原のなかの家)- 木立 悟自由詩707-3-4
冬呼(青)- 木立 悟短歌907-2-27
冬業- 木立 悟短歌1907-1-23
離譜- 木立 悟自由詩406-12-29
囁日- 木立 悟自由詩706-12-14
洞輝- 木立 悟自由詩1006-12-10
ノート(指記)- 木立 悟自由詩806-11-23
生まれ_生まれて- 木立 悟自由詩606-10-25

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