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ハワイは1年に3cmずつ
日本に近づいてるんだって
と君がいう
うん、いいね
とぼくたちは笑う
9才の君が
どんなに長生きしても
せいぜい3mか、そこら
それでも
いいね、とぼく ....
白熊が死んじゃう、と言って
つけっぱなしの電気を
消してまわる君は
将来、かがくしゃになりたい
という
撒き散らかされた
鳥の餌のシードを片づけていると
芽がでればいいのに、なんて
....
秒針の一周で
思い出すこと
君の瞳
君の笑顔
君のくちびる
君の言葉
君の仕草
君の指先
君の髪の色
君の肌の色
困ったとき見せる君のさみしい目
ふくれっつらしてほんとにふく ....
「急に泣きたくなる」
という設問を読んで
泣きそうになる
つきつめると
あふれてしまうので
空みみのふりをして
「いいえ」に丸をつける
+
淡い花のきもちになって
窓の外 ....
金色の銀杏の葉が
車道の上で
巻き上げられて
流れて
はしる
オートバイの
吹きすぎる
排気に
何か書き込むなら
こんにちはと
さようなら
なんて
テキトーに
誰も聞いちゃな ....
セックスをする夢を見ました
セックスする前にわたしは
コンドームを買おうよと言って
あなたとふたり手をつないでコンビニに行きました
あなたはわたしが前に付き合っていた人でした
あなたのセ ....
固ゆでの
黄身が底にころがっていたので
指でつついたら「u、あい」とはっきりしない返事をした
たぶん俯いているかつっぷしているかして
声がくぐもっている
白身はどこへいったかと訊ねると
ま ....
娘とふたり
バスに揺られている
おまえが置き去りにした
ウサギの手さげ袋は
そのままバスに乗って
湖近くの営業所まで
運ばれたらしい
忘れ物はぜんぶ
そこへ運ばれてしまうのだ
....
それからどうしても
行きたいところがあると言うので
つれていった
寝ているときは
額に汗をかく人だった
まぶたの裏の世界でも
雨が降っていた
誰かの涙なのだろう
誰かがと ....
父のポケットに
ときどき手を入れてみたくなる
そんな子どもだった
なにもないのに
なにかを探してしまう
いくら背伸びしても届かない
指の先がやっと届きそうになって
そこには父はいなか ....
奪われないので
今日もひとり分を生きた
果てのない風船の暗闇で
惑星の君が手をふっている
伸びる道は無限に存在し
いつでも繋がっていると同時に
いつでも一定の隔たりがあり
謎 ....
水のそばに
水の羽があり
四つの水を映している
ひとつだけ蒼い波が来る
ふいにひろがり すぐに消え
ふたたびふたたびをくりかえす
窓に打ち寄せ
つもる影
屋根のつら ....
冬の継ぎ目を
誰にも気づかれないように
走りさったあの日
あの日は毎年やってくる
それは 玄関の扉を開くと同時に
背中に 過去を想い出す懐かしい匂いと
肩に もどか ....
夜汽車が湖のほとりで
誰かを待っている
夜は静かに寝ているだけで
何も気づいていない
誰が予約したのか
夜汽車の切符を持ち
風がやってきた
誰が破いたのだろう
座席番号の部分が欠け ....
遠い管楽器の呼吸が
校庭にゆき渡る
共鳴して震える放課後の
まぶたが橙色にうつ伏せて
伸びてゆく睫の影が、滲む
正しく失われたチャイムの
赤い、低い、余韻
その、金属の香 ....
硝子に押しつけた
こめかみをたどって
冷たい雨がしたたる
降車ボタンは
どれもかなしく灯りそうで
斜めに落下する、指先
目的地なんて
最初から
あるようでなかった
オクターブ ....
紙の羊が
食べたそうにしていたので
紙の草をつくった
今日はたくさんの流れ星だね
あれはホタルさ
きれいだね
命みたいだ
灯台は
海をさがしている
それゆえずっと
船にすくいの
手をのべる
灯台は
自らの眼を
ながらく持たない
おのれを見つめるものたちの
ことばの向こうを
....
なにもたべずに、朝
あたらしい電車のはしっこからはしっこまで
わたしは仕事に出掛けていく
どんなに長い距離も
君のそれと交差することはもうないけれど
それでも駅に停車する度、未だ息が止ま ....
それは
細く透明な糸に操られた
いっぺんの羽である
淡いひかりに温められた石のうえに
ふわり、着地しそうにみえて
寸前で自由に浮上する
どこかへ帰着しようなどという
よこしまな結び目 ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ
・
・
・
机の上に散乱する単語帳
角が折れてめくれてゆく
覚えることと忘れないこ ....
*灯台
かすかにまだ
光っている
間違えたままの、
やさしい思い出
わたしの幸福な思い違いを
あなたは
そのままにしてしまったから
....
わがままな飛行機雲が
あおぞらに
まっすぐ線をひく
ちくしょう
飛行機雲め
あなたと
私との距離に
まっすぐな線
ひきたいけれど
公園の木々
信号
コーヒーハウス
....
初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに
+
栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは
+
夕日のあたたかいところに
古いネ ....
もう ラヴソングも描けないのさ
日の入りが終わった天空の
マゼンタがきれいでね
良い絵が描けた後の
水入れみたいでね
そんなことを伝える人も居ないのさ
眼球の奥でつくられる
とろんと ....
わたしの棲む場所を流れる川に
水はない
誰かが
橋の上から捨てた言葉を
灰色のさかながついばんでいる
*
夏の暑い日、わたしは
忘れてしまいたい過去の過ちと ....
穴のあいた靴下を捨てました
穴のあいた靴下を眺めてみると
穴なんて全体のほんの一部にしか過ぎなくて
穴以外の九割以上の部分に少し申し訳ない気がしました
穴があくまで頑張ったつま先部分よありがと ....
きみが少し元気なときに
庭に植えた白梅に
真珠の粒がころころと
それは春の序章とも言える
きみが好きだった春の 前髪が見えて
それはきみの季節とも言えるが
メディアから塗りつけられる春 ....
公園でパンを
食べていると
Justiceと書かれた
Tシャツを着た
欧米の人に叱られた
大地にパン屑が
こぼれているじゃないかと
顔を真っ赤にした
欧米の人に叱られた
夕方 ....
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