{引用=011:都}
ただここにいるんだよって告げたくて座標なき都さまようアネモネ
{引用=012:メガホン}
汗だくでパスワードはじくメガホンが甘い言葉は要りません、と夏
{ ....
数式で埋め尽くされている短歌学習帳 静かな生活
繁華街首を絞めあう帰り道一人で買った大学ノート
地下鉄に紙を破って貼り付ける立てないくらい花の色です
すれ違う君が脱いでるスカートのほ ....
姉中3
私中1
姉6畳の部屋
私4畳の部屋
それぞれに悩みをかかえて
それぞれの部屋で泣く
ガチャッ
私が自分の部屋で泣いてる姿を姉に見られた
ガチャン
姉が 戸を閉めて何も言 ....
ここは朝から雨だというのに
あなたのところは晴れている
ずいぶんと遠く離れてしまったね
その時 私は恋をしていた
好きな彼が眼の前にいて
その無邪気な笑顔は 私の胸を締めつける
彼の打ち明け話とは 苦痛極まりないもので
そうね、彼女は女同士でも信頼できる
などと私に言わせた ....
寄せても、返す気持ちは帰り道を知りませんでした
電車の窓
あなたの手のあたたかさは
窓とわたしの温度を簡単に上げます
ゆっくりと
眼下に広がる青を見ながら
あなたを盗み見るのだけれ ....
笑えない部品はひとつもない。
おれの中に、
信じないなら。
分解してみな。
しりとりの ように終わって しまう恋。
こめかみのヘアピンわすれ髪ながす止めるひつようあったのかどうか
誰にでもやさしくするのは自分にもやさしいことにほんとになるのか
日本語で言えないことを英語でも話す必要あるの ....
お昼の雲に
あなたを見つけようとしています
風がゆるく吹き
低気圧を含んだ雲が、南からの春風に押され
違う国の雲になろうと準備していました
静かな、わずかな運動です
雨が細く降って ....
ジャケットの裏に内緒でしのばせた四月のピンクと怯える自分
こっくりと深い音をたてながら埋めたい距離と倍速の{ルビ時間=とき}
自家製の梅酒を{ルビ口実=ネタ}におしかけるグラスの氷は溶けか ....
中庭に緑の影を落とすのは独りのために建てられた家
階段と蔦からむ窓ゆらす音めぐりめぐる手すがた持たぬ手
門と門くぐる者なき中庭に降る雨のよな鳥たちの影
....
花びらを コーンフレークに 混ぜてみる 君との 甘いキスの 味かも。
原に舞う少女の肩に髪の毛に見えない蛇がうずくまる午後
くずおれた樹と鉄塔は野に沈み過ぎゆくものの夢をみている
花ひとつ口に含んでまた戻し蛇と少女の無言のくち ....
真っ白なミルク
コンビニで買ったよ
息きらして走って帰って
今すぐにでも押し倒したいな
真っ白なシーツ
ミルクぶちまけて
パーティーのはじまりさ
雑踏の片隅で
貴方の声が聴こえたような気がしたので
その声のする方へ歩いてゆきました。
そうしたら
其処には貴方の笑顔が在って
とても安心したので
私は其処に留まることにしまし ....
夕暮れの空に飛行機が消えて4000秒後
あの大都会がすっぽりとあなたを飲み込んでしまった
あなたがそこに飛び込んだ瞬間
無関係だった街が暖色の光を帯びて心に浮かび上がり
あなたがそこに ....
ぼくたちを結ぶ機会を握ってる獣は未だ箱舟の中
辿り着く場所はどこだかわからないゴタゴタしてる神様の庭
迷い込む羊の群れのただなかできみとよく似たガラスを探す
抱きしめるガ ....
春の境目 トンネルくぐりの途中です
ゆっくりと優しく風が帽子を連れていきます
強いのに、優しいと思えました
この国でも起きるのが遅い芽が
ようやっと、太陽に笑いかけます
「久しぶ ....
フラッシュが焚かれて君は三歳じゃ作れなかった微笑みをする
「帰ろうって決めたのはいつ?」「おとといの君の電話が二度鳴った時」
空なんて仰がなくたって小銭入れの中に銀色の桜ひ ....
雪のないアスファルト踏む嬉しさに駆け出して跳躍 春が好き
こりこりと先のほうから順番にリズムとられる 竹の子が好き
{ルビ冷酒=ひやざけ}と桜とおにぎりがあればふわりと楽しい 御花 ....
謳歌する冷蔵庫の中の牛乳 冷える身体は一人のもので
日曜の午後の桜の眩しさに白昼堂々犬を買います
僕が犬を触ることができるのは夜に牛乳皿を割るとき
君と犬の似ているところ探しては沈む夕日に口笛を ....
君と手をつないで見てる赤い空 春の毒皿どこまで喰らおか
満ちてゆく月を恨みつその日まで素知らぬふりで花摘む逢瀬
かの人を心で百度斬ったとて力なき手は髪を梳くだけ
つい ....
不安げに緑を歩む鳩の目がふと振り返り鴉になるとき
手のなかの鳥の器に降る震えこぼれゆくままこぼれゆくまま
いつわりの光の模様の窓をゆく姿を持たない鳥たちの列
....
あなたが遠くへ
行ってしまったあとの
カレンダーをめくってみる
こんなにたくさんの毎日を
どうやって生きていこうか
地球儀のかたちをした白いライトが、
暗い部屋でゆっくりと回りながら光っている。
子供は寝転んで飴を舌に乗せた。
じんわりと広がる甘さが乾いた口に痛い。
....
信号が 点滅するだけ 恋をしよう。
朝起きると両目がハートマークになっていた
しかし見た夢は思い出せない
ご飯を食べているとキリギリスが大口開けて飯を食わせろという素振りをした
仕方なくレタスを詰め込んでやると礼のつもりか ....
小さい女の子が電車の中で
スンスンと肩を揺らしながら
泣きじゃくっていた
君はママを
「いない」と教えてくれた
変わった名前だな、と思ったが
信じてみることにした
最初に出会 ....
いつまでも辿り着けないきみがいる村の名前も思い出せずに
寒村に降りだす雪の音階で深いねむりに落ちる 失恋
村々が燃えてゆきます雪の夜ひとつの火の粉とゆう名のあなた
赤い傘 ....
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