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「昨日はふたつの嘘をつきました今日は今日とて数え切れずに」
たくさんの傘が車道をすぎてゆく雨上がりの陽に影を失くして
風あおぎ枯れ川の春祝うのは帰る場所無き ....
春の花ほつれゆくまま雨模様
現し世のなべて二重の涙かな
雨の舌双つの蝶を行き来する
手のなかに生まれ滅びる己かな
留めおく術も失くし ....
休日の朝だけ傍若無人の人
「役立たず」叫んだ後悔あとに立たず
部屋のなか足で優雅にコーディネート
ぽちゃぽちゃと茶のなか茶柱バク転す
平日の何が「平 ....
赦すがいい赦せぬものを赦すがいいおまえがおまえでありたいのなら
できませんどうしてもそれはできませんわたしがわたしでありつづけるなら
かがやきのただ ....
何十年 経てど心は 角だらけ
朝おきて のっぺらぼうが ひとり居る
ふんばって 何も出て来ず もう四日
乳酸菌 喉にぎざぎざ 突き刺さる
預言で ....
中庭に緑の影を落とすのは独りのために建てられた家
階段と蔦からむ窓ゆらす音めぐりめぐる手すがた持たぬ手
門と門くぐる者なき中庭に降る雨のよな鳥たちの影
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原に舞う少女の肩に髪の毛に見えない蛇がうずくまる午後
くずおれた樹と鉄塔は野に沈み過ぎゆくものの夢をみている
花ひとつ口に含んでまた戻し蛇と少女の無言のくち ....
不安げに緑を歩む鳩の目がふと振り返り鴉になるとき
手のなかの鳥の器に降る震えこぼれゆくままこぼれゆくまま
いつわりの光の模様の窓をゆく姿を持たない鳥たちの列
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