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季節はもう冬支度なのに
たんぽぽの綿毛になるんだと
あなたは言った
過ぎ去った日々を惜しむかのように
ひとびとは
大きな樅の木の下に集いだす
そんな季節に
たんぽぽの綿毛になるんだと
 ....
所謂、出会い系の掲示板で知り合った
あなたは、豆とプリンが好きですとだけ書いてあり
僕は何気なしにメールを書いた
所謂、メル友の全盛時代だったのだろう
メグライアンとトムハンクスの映 ....
怖かったんだろうね
 風が死んでたりしたろうから
  ビルヂングが アロガントに まばたきもせずに
   夜空を おまえを 無視したりしてたろうから   


今日 ....
なあ今日は
おまえが好きな
政治的なバーはよそうよ
そっちのほうがビール安いし
人々もいいけど
外国の刑務所に拉致されてもどってこれない
バスクの革命家たちの写真を見る ....
   一

 さあ、食べるんだ )))

黒いベルベットの目隠しが
 君の自由を、覆い
与える匙の 潰しイチゴ。
 ――甘いだろ?
 海のように ただ果てしなく拡がる、
 波打つ絹の ....
携帯電話を持たず 
運転免許は取らず 
国家試験も受けず 

やりたくないことには目もくれず 
自分のやりたいことのみ精を出す 

いかなる{ルビ流行=はやり}に流されず 
いかなる派 ....
子持ちパンクは二十歳になるところで
子持ちパンクはマリアって言うありふれた名前で
子持ちパンクはもう刺青がきらいで
子持ちパンクはお菓子の刺青シールが好きで
子持ちパンクは ....
                    
?.

まだ葉が落ちない
白樺の上に
黒猫がいる
のを
見ている
うつくしい猫で
目が
とくにきれい
久しぶりだけれど
思い出 ....
中国人の女の子が
俺をじっと見ている
秋晴の真っ青な空の下
バスは
俺たちを乗せて
ゆっくり坂道を登ってゆく
母親が
女の子の目線をおって
俺と
目を合わせ 微笑む
 ....
眠っても眠っても
眠り足りないような気がして
おれたちはまた
神々しい朝日に照らされた
やさしい窓辺に憧れるけれど

結局は為すすべもなく
裏切られた負け犬の
濁った目玉の底みたいな
 ....
真夜中
雨の音で目覚めた
まだ家にはカーテンがないから 
部屋の中は 
街灯のオレンジ色で

隣に寝ているはずのおまえが
窓際に立って
そとを見ている
おまえのい ....
毬栗が黄緑色に膨らんで

山の稜線を彩つてゐる

棘の一本一本は張りつめても

刺々しさはなく

光と風と大気に丸く包み込まれて

和んでさへゐる

さうしてなほも ....
一、 銀色の背中


飯も喰わずに、カピが月ばかり見ているので
座敷に上げて訳を聞くと
長い沈黙のあと
神妙な顔で
片想いなのだという

いったいどこの娘かと問えば
まだ逢ったこと ....
松の湯


跳ねる湯船も恐ろしく
あれは白鯨モビーディック
いかつい背中の倶梨伽羅紋紋
あまりにも鮮やか過ぎて
タオルで隠さぬ前を横目に見れば
なぜか思わず猿山の猿気分
ラッキョの皮 ....
青黒い、
時と云ふ名の液体に沈み、
我々は進む、
一直線に、
戻ることも、
横切ることも、
かなはず、
唯真つ直ぐに。

流れゆくものは時、
さう思ふのは間違ひだ。

時は一切 ....
心が疲れて
何を見ても
何も見えない
誰にも教えられず
ただもどかしさだけが
ずっと残ってゆく
人として生まれてきたことが
悲しく思うけれど
人として生まれてきたことが
自分だけの運 ....
あれは大阪長居の安アパートに転がり込んできた僕みたいに
公園の木の上で啼いているのを 当時、純朴だった妻がみつけ
憐憫の情が働いたのかどうか 
拾ってきた、傷だらけの尻尾のちぎれた子猫だった
 ....
盲目の道化がひとり
ごった返す真昼間の往来を
踊るような足取りで歩いてゆく

それを指差して嘲笑う子どもたち
囃し立てるように
手を叩いて大騒ぎする

皆がそれに気を取られている隙に
 ....
夕方。

昼過ぎから降り続いた雨は思い出したように止み
濡れたアスファルトに朝日のような夕日が射すと、
ちょっとくたびれた世界は
透きとおった群青色と鮮やかなオレンジ色の輝きで覆われる。
 ....
おはようございます。
(みつとみ)は晴れた日が続かないと元気がなくなるようです。
そこで。

道ばたで(みつとみ)を見かけたら、
鉢にいれて、水をあげて、
晴れの日はテラスやベランダに置い ....
                    



今日は仕事ないから
俺たち遅くまで寝てたっていい
でも空がほら
あんまり青いから
外に出ようぜ
競争だぜ
階段駆け下りて
飼い犬に ....
?.

あなたを
あなたのすてきなところを

一日
大切にする

あなたを
あなたの汚れたところを

裏返して
日に透かしてみると
おかしな影ができるから
その影に指で ....
カレンダーを一枚めくる度に
当たり前に季節は深くなってゆく
ビルとビルの谷間の廃屋にひとり住む老婆は
知らぬうちに彼方からの者を迎え入れる
表通りでは今日も賑やかな工事が進み
誰も気づかぬう ....
薄暗い部屋で手探りで煙草の箱を出す胸元
百円のライターが照らし出す赤く丸い空間
摩天楼の数々の窓から差し込む微弱な光が
舞い上がる煙を照らすよ

臨時ニュースが始まった
テレビではニュース ....
あ、あ、あ、剥がれ落ちる、私の細胞(たち)。
表面から落ちて、汚物(のようなもの)とし
て扱われて、泥の只中に乾いた破片として落
ちる。夏は天動説。私をめぐるうつし世がぐ
るぐると回る。醤油じ ....
 季節の変わりめに僕の脳髄の残り火
 景色の変った街角で
 あの娘の姿がふわふわ浮かび上がる
 若いことは罪なこと

 まだ世間のけがれた雨に打たれてなかった頃
 太陽の日差しが僕に向 ....
 絶え間無く巡るめくサークルの中で
 僕達は出会ったり別れたりを繰り返しながら
 約束の地までの道程を喜怒哀楽を共にして
 地平線の向こうまで歩いていく

 小鳥がさえずり
 朝焼け空 隣 ....
 時限爆弾のようにそれは爆発する
 
 カミングアウト
 僕は統合失調症

 刺激に弱い
 ストレスに弱い
 頭も弱い

 時限爆弾のようにそれは爆発する

 薬を飲み忘れる ....
雨の音が聴こえるので
ベランダに出てみたら
一面の星空で
雨なんか
一滴も降っていない

稲妻のように
乾いた荒野のイメージが
瞼の裏側に投影されて
見たことのない色で光る太陽が
 ....
ひかりの葬列が瞳孔の砂浜に沈み、
溢れる夏が清涼な涙を流す。
新しく生まれた水彩画の冒頭を見つめながら、
わたしは、森の湧き水で掌を浸した
愁風の滴る夏の終わりを均等にまとめる。

青い寝 ....
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