伝言
たもつ

 
 
いつの頃からか口の中に
ハリセンボンが住み着いている
怒らせると針が口中に刺さって痛い
ちょっとした振動にも反応するし
取り出そうとして手を突っ込んでも
針が引っかかって取り出せない
食べ物も食べられない
話したいことも話したくないことも
話せなくなった
だからこうして今
あなたに伝言を書いています
ただ海水を飲んだ時だけ
ハリセンボンはおとなしくしていてくれる
僕はつまさきからゆっくりと
海になっていく
もし全身が本当の海になったら
どうかその時はあなたの故郷の
あの美しい海の一部にしてください
 
 


自由詩 伝言 Copyright たもつ 2010-07-29 22:21:09
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