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寄せても、返す気持ちは帰り道を知りませんでした
電車の窓
あなたの手のあたたかさは
窓とわたしの温度を簡単に上げます
ゆっくりと
眼下に広がる青を見ながら
あなたを盗み見るのだけれ ....
お昼の雲に
あなたを見つけようとしています
風がゆるく吹き
低気圧を含んだ雲が、南からの春風に押され
違う国の雲になろうと準備していました
静かな、わずかな運動です
雨が細く降って ....
夜
幾ばくか、やわらかくなった夜がそこにあります
空からしゅるしゅるとひも
カチリと引っ張っても、暗い空色が点灯するだけでした
明け方
種子が射し始めた光に休んでいます
海を思い出 ....
ゆるやかに
お前は、
みみずくの声を聞いたか?
独りで飛ぶ夜の音を
鋭い爪をひからせて
目を丸くひからせて
独りで飛ぶ夜の音を
そよぐ
お前は、
影が走るのを ....
空がちりりん
春の鍵をもった太陽が
今日もあちこちの箱をあけにのぼりました
山の
土の
風の
屋根の
木の
公園の
ブランコの
女の子の
かちりかちりと
ちいさな鍵 ....
集める砂に
春を見る
さらさらふわり
さらさらり
鳥が流れていくよ
春色の砂を風に飛ばそう
さらさらふわり
さらさらり
見えなくなる
今日のわたしが見えなくなります
....
探しものはあっちみたいだ
ゆっくりと
確実に
足取りは早くなる
あおそらの下
知らない内に僕は笑って
何もできない心に
飴をひとつ落とす
何も波立たず
まっさらな時間だけ流れる
ため息が
のどに詰まってざわざわする
てのひらも
寂しくてざわざわとする
天も仰げないほど
わたし ....