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いつもほんの少しを数えたくて
それは真っ直ぐに見えない夜のために
道に帰れないその日のために
僕が、ほんの少しを数えたくて
出来るなら、そんな僕のことを
少しでも待っていてほしい、とか
....
何もない景色があった
見たこともないものを、憶えているのは
緩やかに消えていく光のせいでしょうか
眠れない、夜ならば
明日の仕業にしてしまおう
結局、かたちばかりが残った
匂いが泡立つ ....
その日も、少年(予定)は、間違えた言葉をそのままに口にする
変換の仕方も削除の方法も、最後には気付けないことばかりなので
いつまでも、「あ」と「い」が上手く発音できない
それでもいいか、なんて思 ....
東京が、間違えている
霞む家並みと赤い夜の下
眠れない腕の中に同じような灯りを抱いて
夢を、覚めない
点から散らばる線に乗せて
人と人とが離れていったころ
夕暮れを繰り返すビルの窓から ....
朝が来るごとに
あなたが私を忘れていく
遠い誰かの名前を呼びながら
階段を上っていくその背中は
その先へ、飛び出していくように見えて
私はそっと指先を噛む
目の奥を覗き込みながら
通 ....
西日の頃には
空は白く霞んでいたらしくて
滲んだ街の、ビルから生える空の景色を
ふうわりと、抜けたくて
前後左右、サングラスの目線で
せわしなく行き過ぎる人たちからは
あの強い、レモンの匂 ....
四番線
長いプラットホームで君は
耳を塞いで、流される街を眺めている
夢の覚め際を誤ったばかりの
振り返れない体の振れ幅を
寒いベンチの隅に馴染ませて
いつも、端の見えない駅の景色の
そ ....
夜明け前に呼吸が足りなくなって
遠い地名を呼びながら目が覚める
ほんの、少し前まで
そこにあったはずの夢に
花を、植えたい
声の鳴る丘、霧降る峠、新しい駅の三番線
いつか出会ったような
....
ソーダ水の浮上する泡に
空想をのせていける午後
冬と呼べる景色でよかった
北に向いた窓を開けると
区切られた言葉が通り抜けていく
君の途中で
空の色とかたちを書き残す
嫌になるく ....
その川と海とがぶつかる場所で、誰かが手を振っている
回転を続ける灯り、列になって逃げていく光
そのどちらにも負けないように小さく、手を振っている
海はどこでも引いていき、魚が飛び跳ねる
月へ向 ....
あの人は
そこが好きだと言っていた
いつも夏には水性で
書き残す言葉から消えていくものばかりで
うっすらと昇る、煙
焼けている靴の底から
縮んでいく
人たちは
....
消えてしまった夏の日のサーカス
なにもない草原に現れては溶けていく
夏の夕暮れはどこか嘘のようだった
煙のようなもの
で、構成されていると
なんとなく信じることにした
わからないこと
適 ....
遠い朝では
誰かが零れていく音が届く
十三階建てのビルの可能性のひとつ
非常階段の手すりはそれでもまだ綺麗で
ただいま、というその言葉の行方も知らない
人の夢に誰かが寄りかかって
君は ....
パレード、通り過ぎる、そんな頭上の光を
楽しいという感情を置き忘れた日の夕闇
彼はそのために全てを考えるということをして
流れていくひとりぼっち、常日頃想うようにすること
ステップ、音楽を歌う ....
雨の来ない図書室では
忘れるように眠ることが出来た
背の高い書架の影で彼らは
姿を確認するために囁き合う
私の載っている本がない
私たちの乗っている街は
地球儀の上に針で止められている
....
ハル
そう呼べば君は心から紛れていく
ありがとうという意味で
口のかたちを残して
狭い空に雨が降っていた
振り切れない景色を順番に巡れば
何度でも逢える気がしていた
ハル
繰り ....
連絡通路には窓がある
この下を、通る線には空がある
小さな窓枠から顔だけを出して
呼吸、をするためだけに
はめ込まれた絵を、まずはどけることから始めて
アフター、通り過ぎても
落とした ....
どうぞ、遠くても
椅子など用意しないで
明日と言えない日々のこと
薄くなりそうな約束ばかりで
指切り、唱え続けた数だけ、待ち惚け
長い長い、人の列から落ちる
とりあえずは、笑顔で
....
手を
両手を広げ、そらへ
飛ぶように飛ばないように広げ、手を、そらへ
色々と自由になった気がして
交差点を、待つ
輪郭を見ている
箱の世界にいながら
回転を繰り返すのは
いつも ....
追いかけている背中は
とても遠いもので
積み木を崩されるだけが
この街のすべてじゃない
あなたを追いかけているようで
僕に追いつきかけている
手をのばせば繋いでいるようで
もっと違う ....
人は夜に音になって
躓かない程度に囁き合うらしい
朝が夜に向かうように
ページを手繰り寄せる
薄い絵の具を
筆の先で伸ばすように心音を
澄ませていく
夢を見る、ことを覚えてからは ....
ぐるり、と
回ってみて気付いている
下敷きにされた世界は、ほんの少し暗くて
それでも透明、に何処かへ繋がろうとしている
きみは
あの頃の夢の続きを見た後で
ぱあん
と、弾けてしまって
....
目を閉じる
瞼を、それは落ちていくのかもしれない
いつもより低い世界で目を覚ます
見上げることしか出来ない
そこから始まる一日が
そこにある
青空に
誰かが口笛を吹く
開いた本 ....
ともすれば、その人の
冷たい朝なのかもしれない
天井はいつも通りにぴんと張り詰めている
とりあえずは、流行の
そこから外れた道の街路樹のなびく姿を真似て
まずは珈琲をすすることから始める
....
一日はそのように始まって
一日はそのように終わっていく
きっと
部屋の隅、テレビの上
ほんの少しの暖かさ、の裏側で
空が重心を失って色を零していく
十時十分
並んでいる時計の ....
プレゼントの
箱のリボンを解くと
中には世界が入っていた
逆さまにして振り落とすと
すべてがからっぽになる
落としたものはどこへ行きますか
一人の部屋で逆立ちをしていると
一日 ....
もう一度、始まるのです
そう言って眠り落ちる人
危なくはないですか
休みたくは、ないですか
瞼の裏側の静かな暗闇で
一人で旅に出るそうです
朝までには戻るから、と
その人は
積 ....
少しだけ、冷たい風が吹いてきたのは
とても遠い場所からだった
人はいなくなる、ということが出来るらしい
世界はいつも通りに明るくて
僕らは同じように電車に乗り込む
乗り継ぎ駅で世界が追い ....
海の中で生まれた気がする
始まりは遠い手のひらの中
重ね着をして、重ね着をして
風邪を引かないように眠っていた頃
どこへでも、の世界は
指先まで暖かくて
つまずかないように歩けば
いつま ....
夏暮れ
そのようにして僕らは消えていく夏の肌をなぞるようにして
曲がることを許されない光の束に手をかざします
手のひらのどこか、真ん中から赤く発光していくので
吸い込んだものを返還するように
....
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