すべてのおすすめ
額ぶちを
ばさりと
鳥が斜めに横ぎった
びくりと
骨ばった視線の止まる
瞬間
空腹も満腹も
傷口もかさぶたも
窓の光に
照らされる
額ぶちの向こうからの光に
もはやここし ....
メランコリッタ
きみの口笛が
さびしく水平線に難破しているのが聞こえる
情熱はいずれ消える火なのだね
メランコリッタ
うなじにまかれた針金
それをといてあげられるのは誰
怒りも苦しみも敵 ....
赤ちゃんが乗っています
世間でステッカーがはやりはじめると
和泉町3丁目にある零細ステッカー会社の社長はへそまがりだから
赤ちゃんだけ特別扱いするのはおかしい と言い出し
次のような亜種をどん ....
たとえば
昼の商店街を
そろそろと歩いていれば
思いもかけない
ありふれた日常が
ふと新鮮に映ることがある
八百屋のみかんが売れ残っている
床屋は暇そうに新聞を読む
居酒屋は閉まっ ....
唇が着くか着かないかくらい
斜め右から見るあなたの顔が好き
嫌なのは嘘ともつかない
稚拙な言い訳をする瞳の大きさ
背中を掻く時のあなたの顔は
母を困らす時の父の顔にそっくり
最 ....
両手いっぱいに
林檎を抱えている人がいた
あんなに抱えて
きっと林檎が好きな人なのだろう
僕は右手にひとつの白球を持って
王国をつくりに帰るところだった
ごめん
謝りたくなった
友達の彼女すごいキレイだね
まるで血統書付きのプードル
じゃなくて
アビシニアン
じゃなくて
まあいいけど
そんな感じ
存在そのものがブランド品
みたいな
....
暑くもない。寒くもない。
あの白い大きなユニフォーム
頭の中でいま揺れている。
ひらひら。ひらひら。
足の先の感覚はとうに痺れていて
遠くの空の青、仰ぎながら
わたしを見ていてと
た ....
階段通りの野良子犬は
最上段の空を追い続ける
影雑踏の中
隙間雨の中
値札付の足は
ゴミ色に染まり
パンヤ ハナヤ クツヤ
フクヤ ホンヤ イヌヤ
看板色に汚された雨水は
母の色まで ....
彼女は私を誘う
赤い、赤い服の下から白い肌のぞかせて
肩に触れればぬくもりを持ち
手を握るなら形を持つ
黒髪は流れて私を誘う
抱いてしまえばジ・エンドな彼女
白い霧の中で 暗いビルの中 ....
母親が三回 部屋にやってきた
一回目は 猫の話
二回目は 姉を駅に送ってくれないかと
三回目は この前会った 若い視覚障害者の女の子の事
点字で本が出したいと言うので 話を聞 ....
ローヒールでリフティング
重たい空気のこの季節
人工芝はもうめげて
なよなよなよなよ笑ってる
彼はというとお空から
カワセミみたいな声だして
あたしのことをからかうの
リクルートスー ....
上町の焦げ臭い定食屋の隅に
加藤が座っていた
何十年も前からここに憑いている
かつてはこの辺りにも産業があった
公僕たちがしなやかな課税に遊ばれ野原をかけめぐっていた
雨音を聞いた俺は外 ....
二日も経って僕はただひっそりと
国道のどまんなかをひとりで歩いている
周りにはなにもない
たださっき
文明に押しつぶされた
元・猫が右側斜線でぐったりしてただけ
僕 ....
もうずっと
待っているのに
帰りのバスが
こない
空は
まだ
ぽっかりと
明るいけれど
そのこは
つま先から
すっかりと
暮れ
まっくろだ
バスは
....
ココアを買いに行った。
振り返ったら
テーブルに 彼が座ってた。
ぼーっとどこかを見て
考え事してるひとりの彼は
普通の男の人だった。
たまたま休みだから
外に食べに寄っただけの
お客 ....
あなたが降らせた雨 傘をもってきてくれるかな
あなたが降らせた雨 ちっとも嫌じゃない
あなたが降らせた雨 わたしの涙にきづきはしない
あなたが降らせた雨 合わない歩調に舌打ちを
傘をのこし ....
芸術とは?
蛙
そいつは決まってる。かっこつけないことだ。
ライオン
いやいや、そいつは違うね。かっこつけることだ。かっこつけないことには始まらない。
....
好きな人には 好きと言えるのに
うなだれている人には 温かい励ましの言葉をかけるのに
つまづいて,転んで,立ち上がれない人には 手を差し伸べるのに
心がボロボロになってしまった人には ....
ローソンの前にキャミソールが落ちていた
どこをどうやったら
そんなとこにキャミソールが落ちるのかが分からない
しかしまぁ、理由はどうであれ
結果としてそこにキャミソールは落ちていた
落と ....
いつも電車を乗り換える駅で
心が考え事に乗り過ごし
体が自動的に乗り換えた
私はふと怖くなった
私は習慣に引き裂かれたのだ
自由すぎる心と
従順すぎる体との間で
私は私を見失い、
習慣 ....
「京都へお嫁に行ったら苦労するよ」
関西にいたら一度は聞く
でも君を見ているときは
そんな言葉はどこかへ飛んでた
カマカマカマカマ カマ カメレオン…
私はアホみたい方向オンチやから ....
ありがとう
私の好きな いもけんぴ
覚えていてくれて
ありがとう
分かり合えないなんて
言わないよ
高知名産いもけんぴ
覚えていて
くれたよね
いつでも笑顔 ....
悲しいことってなんだろう。
哀しいことってなんだろう。
大好きな服が着れなくなった。
大好きな食べ物が食べれない。
大好きな人に嫌われた。
でも、一番かなしいのって・・・大好きな人と会え ....
まごころ屋が閉店になる
食っていけなくなったのではなくて
もう跡継ぎができたという
けれどこの町の誰も
その跡継ぎのことは知らない
まごころ屋は
壊れたオルゴールの ....
オレンジ色のワンピースを着て
散歩に行こう
目的はないけれど
一緒に行こう
あなたは
「心が血でいっぱいだ」
と書いていた
あなたの目に空が何色に写るのか
私の顔がどん ....
うまくいかなかったね
おれたちはぜんいん うまくいかなかった
るーるをやぶってばかり
そらをとぶゆめをみてはしゃいだ
うまくいかなかったね
おれたちは ぜんぜんう ....
私は、海辺の工業地帯の予感だけが漂う産業道路の歩道を歩いている。
静かだ。
何故なら、街は私の平和で穏やかな気分にちっともさせない。
かと言って、反対に人里離れ過ぎても、これはこ ....
全ての愛に報いをあげる
独り言はそう言った
全ての愛に祝福をあげる
隣で誰かがそう言った
愛して
愛して
愛して
言葉に出来ない何もかもを
ねぇ
....
夜に眠れないものを見下ろす
ハイウェイのカーブ
自転車の隣にはキリンがいて
見上げるとキリンの後ろには月が浮かんで
何かを告白したくなるけれど
キリンの前では
とても小さい
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