銀河の片隅で
宇宙は小さな膨張から始った
化学は破裂することなく
世界を束ねては爆発させて
ひとつの塵を生み還す

綺麗な流星を眺む人も
擦り切れながら火花を散らす隕石の光子
美しい変 ....
海の底に潜む深海魚が
巨大な目で
わずかな光をとらえるように
目をこらしていましょう

そうすれば
この暗闇に
光を見いだせるはず

貴方の隣にいると
いつも泡のように
綺麗な言 ....
私は大腿骨である
私は頸骨である
私は肩胛骨であり鎖骨であり肋骨であり
胸骨であり恥骨である

私は横紋筋と平滑筋である
私は繊維質の束である

私は気嚢であり胃腸であり  ....
グレープフルーツを半分に
ぱっさり、と
切ってごらん
まんなかにはいつも
記号



ぎゅう、

しぼったら
記号のしずくが
溜まるから
飲んでごらん
沈殿するのは
 ....
手を添えて泣くことを覚えたのは
三つ前の冬です
どこへも行かぬように
願いながら 泣きました


秋風
たわむれる女子高生と女子高生が
悪ぶって眉間に皺を寄せている
その光景が嫌 ....
ゴメンな突然
いや、急に思い出したから
忘れないうちに

アノ時さあ
いや、この間の

祈っとけばよかったなー、って、今頃
いつもの事ながら優柔不断だったよなー、って

全然頭 ....
一匹の虎縞の雄猫が
防波堤の上で
香箱を作っている
そんなところで寝ていてはいけない 猫君
猫らしからぬし
寒かろうし
それに何より
魚に食われたとあっては
猫の沽券に関わるだろう
 ....
朝、いい天気のようだったので
写真を撮ろうとカーテンを開けると

空にはたくさんマヨネーズが浮いていた

空中にマヨネーズが浮いているので
空の写真が撮れやしない

ここのところお天気 ....
たったひとつの睡眠を
羊たちと分かちあって眠る
もこもこしてるね
なんて今日は言わない
めえ、と寝言を言っても口をふさがない
数をかぞえない
何も思い出さない
公園の真ん中に
ぽつんとジャングル
あの
お人よしの頂上に
登ってみたら
気がすむのかな
それとも
もっと複雑な
迷路だったらよかったのかな
そこは
夕陽の沈むのが
ほんのちょっ ....
あいつの中指にはまっていた銀メッキの安い指輪を
ある日黙ってぽいと捨てた
ら、怒られたのでここにいる
だってあれはあの人からの贈り物だった

窓辺から聞こえていたのは近くにある中 ....
   

眠い。なんとしても眠い。
ご飯を食べると、必ず
眠くなる。どしようもない。
瞼が接着剤になる。
眠るわけにはゆかないのだ。
冷たい麦茶を飲んだ。
いくらか目が覚めた。
この ....
  

日焼けあとのしろとくろ
では
味が違うのだ

違うと思うから
何度も確かめようとしているのに
その境目で
ほら
邪魔が入って

夏はまだ終われない


感じるまま ....
白いカーテンに映る狐の影絵
捕まえて
一緒に夏の匂いを探しに行こう
可愛い子狐を手に
蝉が鳴く青い空へ
1 夜の庭で

白い米を
黒ずんだ木の升で三合量る

最初のとぎ水は
庭に撒く

立秋を過ぎたので
コオロギが鳴いていて
いるか座が光っていて

だから私はしばらく庭にいた
 ....
ほしまつり きんのほし

つきまつり ぎんのつき 

ふえのね たいこ かねのおと

きつねに たぬきに やまねこ いたち

うさぎに りすに むささび てん

どこか わからぬ  ....
水族の呼気を満たし
肋骨を開いて浮く
揺らぎのなかで
ターン
母さんは何も知らない
母さんは全てを知っている
母さんはガラスの空である
母さんはのたうつ虫である
母さんは輝くひまわりである
母さんは君たちの母である
母さんは何も知らない
母さんは全 ....
死んで食べられたい

僕が尊敬していた友達みんなに
おいしく摂取していただきたい
僕はの肉はパン
僕の言葉はワイン
みんなの口に合うことを望みます

僕の心臓が猪野君の胸で脈打つ
僕 ....
だんらん中に電話が鳴った
君があわてて受話器を掴む
こわばった顔が一気に緩む
娘が私立の幼稚園に
合格したとの連絡だった

待ちに待った吉報に
君が小躍りしてるから
僕も負けじとブレイ ....
れんげの土手を揺らして
ごうごうごう、と
やってくる

葉桜の一本道を突っ切って
ひゅうひゅうひゅう、と
やってくる

門柱に横っ面ぶつけて
カンカン、カンカン、
鳴く

耳障 ....
 山崎さんは次は自分の番だと思っている
 隣の老人はもう逝ってしまった

 遠い朝の点呼のように
 順序があればいい
 そして死にも

 牛乳ビンのふた
 爪で弾いて
 裏が出るか表 ....
遠い国で鳥があの娘を
拾って育てる
鳥はあの娘に名前をつける
あの娘は鳥に名前をつけることを考えている

鳥はあの娘に
おいしいお粥を作らせる
あの娘は庭のいちじくを
鳥にもいで来させ ....
あら、困ったわ
が口癖の君が困った様子なんて
今まで見たことがない
あら、困ったわ
なんて言いながらも
トントントンッとまな板の上で大根を切ったり
ザッピングをし続けた挙句の果ては ....
思いっきり身震いしたら
壊れてしまうかと思っていた
田舎町に
今ではすっかり馴染んで仕舞い

若かったゴジラ達も
皆立派な町の世話役となり
ズルズル引きずっている

逞しい尻尾に気づ ....
星降る夜空に歌いましょう

そのしらべは光となって遥か彼方の名もない草に
暖かな風を運ぶでしょう

痛み傷つく野山の木々にそっと春風運んでみれば
綺麗な衣で野山を包み、苦しみすべて癒すでし ....
森はくらく 山はしずか
河はふかく 木々はみどり
草はあおく 風はわずか
空はたかく わたしはひとり

雲はおどり 夜はふけて
月はひくく 丘をしたう
鳥はねむり 夢をかけて
星はとお ....
  感じない掌の上に
  鳴かない鳥が
  人のように瞼を閉じる

  冷たい雨の降る
  コンクリートの上で
  静かに眠りにつく
  戯れるように
  温度を残して  ....
  ☆村野四郎「体操詩集」の場合




 次の詩を読み設問に答えなさい。

花のように雲たちの衣裳がひらく/水の反射が/あなたの裸体に縞をつける/あなたは遂に飛びだした/筋肉の翅で/日 ....
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