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日々の一
絨毯に鍬形虫の脚ひとつ
待ち人や蝿打ひとつ納屋の底
冷房をかき分けて寝る三歳児
子午線をくぐれ蚊遣火黙々と
汗拭きてすわ首筋の揚羽蝶
水の二 ....
僕は煙草を吸っていた
コンビニの庇の影 殺虫灯と踊る
虫とともに 金のないことも忘れて
吐いた煙を 月のない空を 眺めていた
遠雷だ
音もなく
暗い雲の積層が戦争のように光り
秒針の ....
少女がしゃがみこみ
自分の影を古いアスファルトに垂らしている
路地裏、午後三時、大安の日
アパートの二階
アルミの冷たい窓枠に肘をついて
しばらく一人でぶつぶつ何事かを嘆いている彼女を見 ....
コップに残る水の
ぬるさに 立ちのぼる気配
窓辺のほつれた糸が
風にふるえて 何かを問う
なにもない机のあしもと
捨てられた 言葉の裏がわに
わたしが置き忘れたものを
君が知らず ....