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「食べにくいけれど どうぞ」
そう云って彼女がくれたのは恋心だった
善悪を知る実のパイかな
僕の朝食に間に合うように
夜明け前からオーブンを温める彼女がありありと浮かぶ
切り分けた果実を ....
缶切りできみのこころを開けてゆく 指を切りつつざくざく進む
涼風たつ坂 くだれば川辺
たっぷりとゆれる 青柳
樹下にたたずめば おとこの腕を
やさしい檻を思い出す
長い髪したひとでした
たてがみみたいに見えました
抱きしめられると 肩に背中に ....
あまいお酒が沁みてるケーキ
まるであたしの脳みそみたい
ねじがゆるくて軽やかだから
きみのことも縛らない ぼんやり見送るの
旅のおみやげは 自慢と ジョッキに一杯のぐちと
アンゼリカみたい ....
さて 一度だけふり返り
降りたばかりの船を見る
木犀の香が夜に{ルビ水脈=みを}をひく
徒花とは呼びたくない
旅の仲間が好んでた
南洋の煙草が髪に残る
裏町の匂いだと笑ってた
襟の正 ....
雨の子になってみたいな 魂が渇くことなく笑えるでしょう
レインツリー 逃げ込んだなら枝の下 母に似た君に会える気がする
さぼてんが奏でる音色レインスティック 何かと問う声ふるえは止まず
....
黒いスニーカーに 赤い爪を隠して
きみの隣で揺られてる 私鉄 日曜午後八時
窓に映る顔が白くて 目ばかりが大きくて
きみの隣で疲れを見せてる こんな自分がいや
さっき呑んだ梅酒
リト ....