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青い月頭に降り注ぐ宵の口
パグの群れ牡蠣にしか見えず
本の1ページ欠け全てを失う
日記書く間に寝落ちし朝まで
何の役にも立たぬ経験ばかり積み
鍋物に柚忘れ山に入る
いつか醒めなくなる深い眠り
クリスマスの首はねる12月26日
犬に咬まれ尚も上機嫌
あぶく眺め手をこする
遠雷や深夜のシンクの銀のいろ
生きている時間が光る梅雨の雷
梅雨晴やギフはお家でお留守番
テーブルの上の湯気かな虹二重
風青しキッチンクロスを干して空
....
缶チューハイ二本で秋意の顔つくる
式部の実きらいだけれど愛してる
トナカイの隣に座るうちの猫
秋の蝶少女のごとくうずくまる
屋根のない自転車置き場冬支度
....
遠音とてエノコログサのそよぎおり
過去猫は覚えているか小鳥来る
一生をシャム猫として木の実落つ
君の骨をみたことある、なんて嘘をつく
部屋に入った深夜、床にすわりこむ
あたらしい夜を探して路地をゆく
生きて、辛くても、啄木鳥
瞳 ....
みどりごの瞳の奥のほしづくよ
月さやか時計を捨てて丘で待つ
エプロンは空色でした秋の朝
小鳥来るメトロノームのその隣
港町夕焼け市場のレモン売り
十六 ....
終雪や「不要不急」の木霊消え
唇を重ねていたら冬の揺れ
喪を忘れ投函したの?叱られる
隙間から寒気も入る倦怠期
いさかいの後に沈黙息凍る
店先に売れ残ってる寒椿
地下にある喫茶の店へ冬籠る
寒く ....
切り分けた林檎が赤く錆びていく
季語は冬午前の雨にやぶれ傘
転んだよ雨の泥濘寒い空
転んでも直ぐ立ち上がる道師走
新年が来ても無口はかわれない
餅喰って喉に詰まらすお年頃 ....
冬の野のポケットにいま入ります
朝酒の代わりにシャンソン秋に酔う
幸せは演じることがその秘訣
極端に厚着と薄着の大学生
影を踏む鬼と知られずする遊び
花供え帽子目深に被る人
暗渠へと ....
鷹女(たかおんな)、胸板を刺し冬を剪(き)り
ピーシーを終わらせ冬陽を昇らせる
春なのに月輪(がちりん)光り降るは銀。
桜酔い、ピーチジュースで酔い醒まし
....
家を出る秋の耳打ち襟を立て
空は澄み夢の骸か月白く
十姉妹通風孔を{ルビ窺=うかが}って
靴の紐ほどけて結ぶ霜の朝
人気ない路を横切る枯れ落葉
見上げ ....
恋割れた悲しい夜に稲光り
名月をよごしてごめんと淡い雲
失恋に馴染まないよう柿を食う
牛乳を飲み干す高い空見上げ
オリオンをよるの真水のようにのむ ....
愛死体秋すぐに冷たくなって
泣くように笑う男が書いた遺書
未来捨て過去と駆け落ち心中する
蝸牛踏めば悲しい軽すぎて
傘の花みんな流れて校門へ
ひっつめ ....
なまぬるい くひねろうかと かぜのよる
むしのこえ よんどころなく かきさらし
これしきと はをくいしばり むかうふゆ
くりすぱあ つぐたけのはる きゃすないん
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秋の雨引き戸を開き覗く夢
翻る少女の声も遠く去り
秋よりも秋を装う女たち
水槽に涙をためた金魚姫
翼切り歌を失くして人になる
手折るなら痛みの一つ分か ....
子を叱る母の帽子に赤とんぼ
バスを待つ頬の産毛に光差し
空軽く{ルビ眼=まなこ}を{ルビ纏=まつ}る金の糸
借りた本から押し葉の栞おちて
蔦燃える窓に映るは誰の影
....
秋の蝶よしなしごとにしばられて