早朝 四時半
少しは剥げたサイクリングロード
いつものように まだ眠い
後ろから追い越しされて
目が覚める

でも追い越したくない
全く人気(ひとけ)もないけれど
私と同じ ようやく目 ....
一生この煙草を吸っていくのだと
決めるような出来事を
経験してこなかったからだろうか
身体のあちこちがやわらかく
まだ幼虫のようだ

目が覚める
一日に何度も目が覚める
長く眠れずに
 ....
置き去りにされた筆は
黴びて、いいにおいを放ち

窓の隙間から吹き込んでくる青空は
甘く舌に転がりこんでくる
永遠を誓うように

誓われた永遠はキャンパスの上で
苦しみにのたうち回り
 ....
その冷気に驚いて、振り返ると
君はその夜も凍っていた

孤独は冷たく瞳のはしから
ひとすじツーって流れ落ちたね

うすい赤色の唇が、吐息を漏らすのは
しあわせという嘘を舐めつくした ....
女の中には無尽蔵の怒りがある
そして無尽蔵の慈しみがある
幾代にわたって夜を継承しながら
女は毎夜眠りと同じ形で眠る
女を彩る数限りない世界
その世界の振幅を
女は怒りと慈しみでもって ....
晴ればかりではない
雨も時々は降る

雨は歌のように聞こえる
そう思いたいだけかも
独りきりの静かな心

しっとり気分で過ごす夜
何も足りないものはない

雨は歌のように聞こえる
 ....
夜がくるとおびえて
シャツのすそにかくれてしまう
ぼくのきみ
100年も逃げまどって
かえってきたかとおもえば
もう出たそうにしている

鍵はかけてないんだよ
と言うと
錠を買っ ....
黄昏は雪の精が溶ける
爪を立てて
死んでゆく
そして水になり川になり
海になり
そして
星になる

そして
朝になる

太陽の微笑みを
遮る雲の波は
小さな白い花ビラ ....
静けさが鼓膜に当たる
しとん。と打ちつけるひとりの音
風に耳をつけるたびに聴く
傍らに佇むような誰かの鼓動

暗やみを角膜が吸い込む
ひたん。と拡がるひとりの気配
窓辺に佇むと街灯が眩し ....
長いあいだ 恋もせずに
眠っていた

営みがいとなまれ
物語は癒着しきって

開かれず 湿った頁を
ほそい指が捲るとき

できるなら まだ
起きたくはなかった
長いあいだ 恋 ....
心の罪は

どうしようもなくて

冷たい風が吹いている
そのとき失った人の名前は

この街の駅のプラットホームに
うずめておいたよ
なんといったか

どうしようもなく
 ....
とり忘れられ
赤々と熟れ過ぎた
トマトが、ふと
地に落ちひしゃげ
鴉が舞い降りた

赤い飛沫を舐めとるように嘴で何度も
つつき、カァァァァァァ、と鳴けども
人びとは潰れた野菜など気 ....
書けることを書けない夏の教室で
好きな子の隠し事と嘘すら見誤る最低に


これとそれはこれとそれに似ているという点として線にのみこまれようとする夏の営みから逃れようとして線をくしゃくしゃ丸 ....
新鮮をたもつことはむずかしい
いつもそれはてもとから去ってゆく

この瞬間の永遠を画布に塗り込めて
とっても地球が重い日にぼくは

だれかの友達 になることを決めたんだ
彼もしくは彼女は ....
お日さまが毎日沈むのは
きみがぐっすり眠れるように

お日さまが毎日昇るのは
きみがたくさん遊べるように

おやすみなさい、またあした
お日さまが言ってるよ
あ、

歌が聴こえる

ほら、よく聴いてごらん

なんだかとても寂しげな歌だねえ

あなたには歌ってほしくないなあ

もしもあなたがこの歌を歌うときは

僕は何をしているんだろ ....
太陽があまりに悲しい
あの永遠の寂寥のうちに
蒸発の悲鳴さえ許されないとは

風が、吹いている
あらゆるものの上にある空から
火と岩と水の星へと

そして冷たく聳えている街は
き ....
水面を幾重にも抱きながら藻が囁く
流れは何をも見送るもの
躓くものも うつむくものも
嘲笑うものも 祈りのひたいも

魚が撥ねる
いま その尾が視とめた光の破片が
太陽の剥がれた抜殻とし ....
犬が
ニコニコ笑って散歩しています
お日さまが
梅雨を乗り切り威張っています
夏は
爽やかなレモンが良く似合います

しかれども
それらはかりそめの
初夏の陽気なまひるの ....
犬が
風に毛をなびかせている
冬毛はやわらかな鎧
夏毛はワーカホリックな諜報員
さっぱりと生まれ変わった夏毛たちは
世界を傍受する

遠い国のミツバチの羽音
湖でおぼれたアリがもがく音 ....
 
ぽつりぽつりと降る雨の中
ぽつんぽつんと灯るあかり

この世とあの世の境目で
どの道を歩けばいいのか迷う

迷えるのはまだ救いがあって
どの道を歩きたいのか選べる

だからまだ ....
中学校の教室。
英語担任の竹林先生は中年の男性教師だった。その年齢から普通に考えたら既婚だが、それはこの際どうでもいいかもしれない。
普段は性格の温和な先生だが、授業中に突然異次元世界に飛んで行っ ....
てのひらに舞い降りた
やわらかなバケモノの息は冷たく

右腕に
重過ぎる
そのための花を抱えて
植物園の温室を目指すのは
そこが
恋愛の終焉だから

それを
好ましいと思ってしま ....
ここに来て
答えが出せない
どんな欲望も理性でねじ伏せられる。
我慢しきれない欲望が、
あなたの欲望と絡み合い、絶望を引き裂いて
滝のように流れてくれたら、
泣けるのに私はあの人の胸で。
妄想だけで生きていける。
キスはどんな味がするのかな?
私から女の匂いは立ち上がる?
狂わしたいな、私の本能であの人の理性を。
あじさいの花房は梅雨の色
差し出した手を青くして
この七月の静かな一時
あなたは寂寥と戯れる
うっとりとした顔で戯れる

時は輪切りにされ垂直に立ち









 ....
3月9日
朝日がいつもより眩しい。澄み切った青空だ。

空を見たら、寂しさと緊張が湧いてきた。
朝の支度も、いつもより丁寧に。
最後の通学路 見慣れているはずなのに、全てが新鮮で、
一歩一 ....
生と死の円環をめぐる
絶海の小舟を漕ぐ

過去の亡霊を振り切るために
あえて嵐の遠鳴りのほうへ

生は
死を乗り越えること

波は静かにそう語る
精神の潮流にのって
肉体の小舟で漕ぎ出してゆく

陸が見えなくなると
ぼくは裸になって
小舟から身を投げ出す

青い波の荒野の上に
ぼくの小舟と服と
樫の木のオールが残される

 ....
どこからどこまでが世界なのか
どこからどこまでが僕の意識なのか
どこからどこまでが君と僕 お互いが存在する認識なのか

これを奇跡と言うかもしれない
君になにも届かなくとも

君 ....
丘白月さんのおすすめリスト(139)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
自転車通勤- 千 円 自由詩519-7-30
起床- Seia自由詩119-7-28
置き去りにされた筆の言葉- 印あかり自由詩1119-7-28
月の声- 秋葉竹自由詩719-7-27
眠る女- 葉leaf自由詩119-7-27
雨は歌のよう- 夏川ゆう自由詩319-7-27
メルヘン- はるな自由詩319-7-27
作りたての笑い声- 秋葉竹自由詩519-7-25
ことばだけが夏に欠ける- かんな自由詩719-7-24
物語- はるな自由詩819-7-24
ねがい、その心の扉に風が吹くなら- 秋葉竹自由詩719-7-23
夏の階に立ち- 帆場蔵人自由詩11*19-7-22
夏の教室- 末下りょ ...自由詩4*19-7-22
いい加減な- 梅昆布茶自由詩1119-7-22
お日さま- 水宮うみ自由詩3*19-7-21
- 印あかり自由詩9*19-7-21
零度の透明- 新染因循自由詩819-7-20
虫のなみだ- 由木名緒 ...自由詩15*19-7-20
初夏の犬の散歩- 秋葉竹自由詩519-7-20
アンテナ\ネバーランドはどこにもない- そらの珊 ...自由詩919-7-17
迎え火- ベンジャ ...自由詩519-7-17
詩と散文のはざま- こたきひ ...自由詩119-7-17
バケモノ語り- 立見春香自由詩619-7-16
学生- 杏っ子自由詩119-7-16
誘惑の林檎- 杏っ子自由詩319-7-16
戯れの一瞬- ひだかた ...自由詩919-7-16
卒業の日- 自由詩119-7-16
絶海- 両性具有自由詩119-7-16
渡海- 両性具有自由詩219-7-15
片側の認識- 三月雨自由詩1*19-7-15

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