{引用=
かなしすぎてわたし
みちばたのたんぽぽのように首をたれて
ないています
さいごにもらした
ころしてやる
の、声が
しろい綿毛になって
神さまだっただれかのところに
とど ....
井戸を覗いてはいけない
母が教えた
井戸なんか覗くもんじゃないよ
祖母が言った
井戸は
覗いた子どもを吸い込んでやろうと
待って居るもんなのさ
橋から下を見下ろした子を
川がい ....
強い風の音に恐怖を感じてしまう
失敗する事を恥だと思ってしまう
ただそれは歩く事に慣れたとき
どうやって歩いているかも忘れて
いつかどこかで躓いてしまう
ほ こ ろ ....
柔らかいグラスに
硬質のワインを注ぎ
手で包んでいると手の形に
だんだんワインが馴染んでくるので
もうそろそろ飲み頃だろうかと傾けても
グラスが変形するばかり
透明な器に生野菜を盛り
....
片子は鬼の子
片言しか話せない子
片親しかいないから
片寄った愛し方しかできない子
片親の愛しか知らなかったから
片割れの気持ちなんてわからないと
片子は甘えんぼう
片親にベ ....
音楽を流していると
真正面から聴いていて
それに引き込まれ
これをストレス発散と言うのかは分からない
他にすることがある
けれどこの時間は命の時間
自分に耳があって聞こえること
そし ....
きょうは
どうしても
モーツァルトのト短調が
聴きたい
ピアノカルテット にしようか
ストリング・クインテットにしようか
シンフォニーにしようか
....
どこまで漕いで行こうか
こんなにも暗い夜だ
幽かに揺れている水平を
描いているのはいつの波紋か
この舵だけが覚えていることだ
銀の月が爛々と眩い
溶けているのだな、おまえ
うつくしく ....
あかるい蝶々のみちにひかれてまだ見ぬ息子がゆれていた
いとけない息子の息をわたしはきいていた
突堤のテトラポッドで男は根魚を釣っていた
その側で片耳の三毛猫がひなたを掘っていた
夏 ....
たぶんね、
死ぬってことは
とても簡単なことなんだ
私は
3歳で父を亡くし
出産と同時に母を亡くし
兄も早くに亡くした
日常的に
熱意や努力や恋愛が
終わりの雨を待 ....
街路樹は車の排気ガスで汚れ窮屈そうで鮮やかさない
島と島繋ぐしまなみ海道の完成させた人々の力
公園で遊ぶ子供の声を聞く昔の自分重ね合わせる
周りより自分を変えるほうがいい変われば周り ....
変わらない
梅雨明け空と海の青
鳥類魚類は気ままに生きます
風の谷
潮の香りの風が吹く
死出の旅路のやきばの煙
海の旅
竹の筒には酒入れて
勘弁してよね、酔って、乱れ ....
月の光の中では
命が停まる
箱を持った男が一人
長いすに腰掛けている
男は僕にプラグを貸して
ほしいという
ちょうど予備バッテリーを
持っていたので
「これどうぞ」
と手渡すと
....
どれだけ走ってみても
虹の先へ届くわけなかった廃ビルの街。
どんなにやさしい夕日がみえても
ひとつの行先もみつけられない。
虹が空から消えるまえに
懐かしい海と空の物語を ....
ほんの小さな夢を心に描きながら森の小道を往く。
爽やかな透明な風に彩られた五月の朝だ。
たまにすれ違う人々に軽く会釈し、心で感謝する。
心にともしびが宿る、そんな瞬間を心待ちにして生 ....
まどろみて 千里言う謡 山くだり
里村の鬼を眠らせ 夜祭り
人の声 聴こえぬ 言の葉 天高く
千早ふる 神代の舞いへ 降りそそぐ
雨となり 蕭々と 場を鎮め
思うんだけどさ
月に
祈っている声は
すき透る悲しみをかすかに帯びて
でもあの物語の舞台の入り口にもなるよね
それでね
木々をゆらす風の暖かさが
行方を見失った時
....
三日月の夜にだけ零れ落ちる
月の雫を浴びた花のことを
この地では月花と呼ぶ
その花を煎じて作られた秘薬は
古くから健康長寿の源として
月夜の民に親しまれてきた
真面目に働き旅人にも ....
女に生まれた私は誰よりも自分自身の価値を理解していたわ
それは長続きしないものだと最初から分かっていたわ
気ままに生きてきたようで本当は焦っていたのかもしれない
私が一番欲しかったものを結局は手 ....
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