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吾ここに
大きくゆったり
生きている
考えみれば
すべて皆
小さい吾
小さい街
小さい国
けれどここには
あるんだよ
しかと暮らしが
しかと命が
猶更ちいさ ....
いそいそと{ルビ媼=おうな}は伊勢海老持ち来たり
裏庭の金柑の熟れ告げらるる
音もなく一夜の明けて雪景色
草の道{ルビ一枝=いっし}黄ばめる帰り花
年の瀬や子役の演技にもらひ泣 ....
夏と秋の狭間には
あらゆる変化が現れる
蜜吸う蜂に入れ替わり
黒い揚羽がやってきた
やつれて籠った極暑の日
でも愛おしい夏だった
夏の終りの寂しみを
振り向かないで次は秋
....
葉の焼けし畑の{ルビ花群=かぐん}に秋の風
黄昏や頬を{ルビ掠=かす}める秋の風
秋の風{ルビ美=うま}し母娘と立ち話
正直に彼岸花咲く小庭かな
五万とふ虫の宿るや草の花
花畑これが最後と咲き盛る
八月の誕生祝ふ老いふたり
新しきレンズで初秋のワンショット
秋の蚊を払いつ客はいとませり
仏花もて墓参に供ふ帰国の子
何でも屋とふ{ルビ漢=おとこ}来ぬ{ルビ梅雨入り=ついり}かな
梅雨前の安らぎ分かつ良き友と
久々の同級{ルビ四人=よたり}夏暖簾
{ルビ紅=くれない}の花群濡らす青葉雨
そら豆の皮剥く雨の日曜日
朝な夕な白き芍薬傘の中
行き止まり春の小川の瀬音かな
鶯の鳴き音くっきり藪の中
カツを喰ふ独りの席や春の雨
未だ固き桜のつぼみ雨しとど
母の愛ねがい叶うや卒業式
種蒔いて育つうれしい今年春
さくら咲く開花宣言十五日