もしかしたら
ヒトの成分は
血と涙と汗だけで
てきているのかもわからない
喉が異常に渇く
「オーイお茶を」と妻に声をかけた
反応がない 無理もなかった 彼女の両の耳はイヤホーンで塞がれ ....
私は
私の人生の途中で二度
自らその命を絶ってしまった人の葬儀に参列した事があった。
一人目は同じ工場内で働いていた五十代の男性。
とは言っても勤める会社は違っていたからほとんど口を利いた ....
心、泳いでいる
風が吹いている
いたわりはことばじゃないって
心あたたまる暗示をもらったのは
悪意すべてを認めて受けて立つ
鎧のあいつから
心、泳いでいる
泥まみれの ....
あたま撫で
られて小さく嬉しくて
目をみひらいてみえないなんちゃら
愛もらい
期限つきでも笑ってる
いつ去る秋に凍えるかんちゃら
ふもとから
登って来たの ....
極極、平凡な毎日です
極極、平凡な暮らしです
私が切に求めてやまないものは
でもね
極極、平凡な毎日や
極極、平凡な暮らしほど
簡単に手には入らないと
よくよく身をもって知らされまし ....
ほら、わたしの胸のまん中に光をすいこむような闇があいていて、
そのうちがわに、花が咲いているでしょう。
ときたま目ぇつむってかおりに訊くんだ、
ああ、この花がうつくしく咲いているのはね
わ ....
一人の女の人のお腹の中に10ヶ月と余りを滞在した
そこから出るまでの間に
私は
何度蹴っただろう
彼女のお腹を
胎児の足で
宿借りの分際で
でも
私が蹴る度に
彼女は自分のお ....
ああ風が吹く と
風を浴びる名無し人は
気流の鳴る音を聴きながら
ひたすら途方に暮れて
ああ風が吹く と
駅のトイレの個室の壁に書かれた
作者不明の一文
それに
興味をそそられた
読んでしまった
用を足しなから
読んでしまった
俺は失敗して彼女を妊娠させてしまった
出来ちまって ....
秋が来て
少し硬くなった
夜と言う果実
その表皮を
ゆっくり
ゆっくりと
冷えたナイフが
削り取っています
水のような風が
ダイアモンドの粒を
吹き上げながら
刃先へと運 ....
その頃
私は手紙に執着していた
記憶の引き出しにしまってある
その頃という一定の期間には
時間の埃がそれなりに積もっていた
ある日
何となく引き出しの奥から探し出して
太陽の光に ....
鏡がくすんで歪んでる
そんな心持ちでは
何を見ても聞いても意味がないし
そうやって何でも言葉にするのも
間違ってる
間違っている
こんな風に
今日の俺もひどい顔で
....
ふねのかたちをした
古い水族館で
ため息が水槽を
曇らせるのを
みたわ
長い魚、丸い魚、群れる魚、ぼっちの魚、
人が知ってる
ありとあらゆる
地球の魚が
目を丸くして
泳い ....
JR線の駅が近い。線路の上にかかる橋の上から通過していく電車の音を聞きながら歩いていた。
もしかしたら余命幾ばくもないかもしれない私の命。
人間の寿命なんて人それぞれに違いがあるけれど一世紀を ....
切りとる
世界を
見せて
おくれよ
写真じゃ
ダメさ
詩じゃなきゃ
見えない
心という
見えないもの
おもいという
不自由なもの
楽しげな
笑いなら
楽しげに
見 ....
つまらないんだよ
なにを言うつもり?
言い訳しないのね
つまらないんだよ
悪魔が作ったみたいな
ラビリンスに迷い込んで
心の外側から削り取られてゆき
私にはなにも残らないんだよ
....
なのに
たゆたうように月は光りつづけ
あきもせず夜空を見上げる
あなたの横顔が冷たい
聴こえるはずのない
化鳥の鳴きごえがした
なにかを奪い去る甲高い意志
その悲しみを ....
雲の切れ間から
青が光って覗いている
俺はくたびれ脱力して
道端に腰掛けている
わけの分からない宣伝カーが
ゆっくりと通り過ぎて行く
ひんやりと動かない空気
傾きかけた太陽
何も変わら ....
極道にも夢があり
極道だってポテトチップスをたべる
極道だって恋を恋して
鉛筆を舐めて可愛い日記をつけたりもする
極道だからといって
必ずしも横道に逸れるわけでもないのだけれどね
....
秋晴れや雲なき空の青深し
汝が静か深まる青に吐息つく
秋深まり君なき夜の銀河濃し
たえず耳なりがしている
キーンキーンと機械的なノイズ
何も気づかないうちに断頭台に乗せられているのかも解らない
彼の痩せた首
それは
大きくて鋭い刃物がいつなんどき落ちてくるかもしれない ....
お袋が危篤
数年に及ぶ認知症の果てに
俺を産んだ女
俺を育てたかも知れない女
ほんとうはほとんどほったらかしだった
親父の母親に任せっきりで
自分は金を稼ぐのに一生懸命だった
....
わたしの 中の 美しい言葉よ
わたしの 中の 憎しみの言葉よ
わたしの 中の 哀切の言葉よ
わたしの 中の 怒りの言葉よ
わたしの 中心 全ての想いを
燦き 輝き 憤って 震えよ
燃え上が ....
月曜日は買い物日和だ
砂漠の中のショッピングセンターへゆこう
遠くの部族が集まる日曜日よりはましだから
きみの前髪を上手にきってくれる人をさがそう
くだらない思想でこころを壊さないよう ....
多彩ないい句が出来たので
私は回って回って回って喜ぶ
市電がイチョウ並木の間を縫う様に
行けば車窓から見える田圃よ生きろと
思う、稲穂、刈田、稲雀など
季語もいっぱい
ちょっと前まではもう ....
感極まって泪が溢れたり
感極まって射精する
普通だな
自然なふるまいだな
法に触れる事は何もない
したくても
できない
そんな事したら世間からつまはじきにされて
世間から著 ....
何でだよなぜ詠むんだよ歌なんてみそひともじが空から降って
そのうちに天使の羽根にゲロ吐いて記憶なくして汚物になって
もう二度とあんたなんかとしないから背中向けられ埋まらぬ溝が
左側頬 ....
腐ってた腐りきってた世の中の泥にまみれて息を吸いはく
見ないふり聞かないふりで黙ってた一等可愛い自分の為に
ジャンケンをしなくなったな忘れたな縄跳びの縄首にまきつき
張りつめた気を緩 ....
そう言えば、俺は嫁さんにプロポーズなんてした記憶がない
気がついたら籍を入れて夫婦になっていた
気がついたら長女が産まれ
気がついたら次女が産まれていた
気がついたら、アパートから建て ....
くらいくらい 荒野につくりあげた
復讐の塔に閉じこもり
「ひとりだ」と呟いたら
はたかれた
ひたすら 喪いすぎたのだろうね
青い夕暮れに細い声でないてさ
耐えられないわたしを ....
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