すべてのおすすめ
ほら、わたしの胸のまん中に光をすいこむような闇があいていて、
そのうちがわに、花が咲いているでしょう。
ときたま目ぇつむってかおりに訊くんだ、
ああ、この花がうつくしく咲いているのはね
わ ....
一人の女の人のお腹の中に10ヶ月と余りを滞在した
そこから出るまでの間に
私は
何度蹴っただろう
彼女のお腹を
胎児の足で
宿借りの分際で
でも
私が蹴る度に
彼女は自分のお ....
ああ風が吹く と
風を浴びる名無し人は
気流の鳴る音を聴きながら
ひたすら途方に暮れて
ああ風が吹く と
駅のトイレの個室の壁に書かれた
作者不明の一文
それに
興味をそそられた
読んでしまった
用を足しなから
読んでしまった
俺は失敗して彼女を妊娠させてしまった
出来ちまって ....
秋が来て
少し硬くなった
夜と言う果実
その表皮を
ゆっくり
ゆっくりと
冷えたナイフが
削り取っています
水のような風が
ダイアモンドの粒を
吹き上げながら
刃先へと運 ....
その頃
私は手紙に執着していた
記憶の引き出しにしまってある
その頃という一定の期間には
時間の埃がそれなりに積もっていた
ある日
何となく引き出しの奥から探し出して
太陽の光に ....
鏡がくすんで歪んでる
そんな心持ちでは
何を見ても聞いても意味がないし
そうやって何でも言葉にするのも
間違ってる
間違っている
こんな風に
今日の俺もひどい顔で
....
ふねのかたちをした
古い水族館で
ため息が水槽を
曇らせるのを
みたわ
長い魚、丸い魚、群れる魚、ぼっちの魚、
人が知ってる
ありとあらゆる
地球の魚が
目を丸くして
泳い ....
JR線の駅が近い。線路の上にかかる橋の上から通過していく電車の音を聞きながら歩いていた。
もしかしたら余命幾ばくもないかもしれない私の命。
人間の寿命なんて人それぞれに違いがあるけれど一世紀を ....
切りとる
世界を
見せて
おくれよ
写真じゃ
ダメさ
詩じゃなきゃ
見えない
心という
見えないもの
おもいという
不自由なもの
楽しげな
笑いなら
楽しげに
見 ....
つまらないんだよ
なにを言うつもり?
言い訳しないのね
つまらないんだよ
悪魔が作ったみたいな
ラビリンスに迷い込んで
心の外側から削り取られてゆき
私にはなにも残らないんだよ
....
なのに
たゆたうように月は光りつづけ
あきもせず夜空を見上げる
あなたの横顔が冷たい
聴こえるはずのない
化鳥の鳴きごえがした
なにかを奪い去る甲高い意志
その悲しみを ....
雲の切れ間から
青が光って覗いている
俺はくたびれ脱力して
道端に腰掛けている
わけの分からない宣伝カーが
ゆっくりと通り過ぎて行く
ひんやりと動かない空気
傾きかけた太陽
何も変わら ....
極道にも夢があり
極道だってポテトチップスをたべる
極道だって恋を恋して
鉛筆を舐めて可愛い日記をつけたりもする
極道だからといって
必ずしも横道に逸れるわけでもないのだけれどね
....
たえず耳なりがしている
キーンキーンと機械的なノイズ
何も気づかないうちに断頭台に乗せられているのかも解らない
彼の痩せた首
それは
大きくて鋭い刃物がいつなんどき落ちてくるかもしれない ....
お袋が危篤
数年に及ぶ認知症の果てに
俺を産んだ女
俺を育てたかも知れない女
ほんとうはほとんどほったらかしだった
親父の母親に任せっきりで
自分は金を稼ぐのに一生懸命だった
....
わたしの 中の 美しい言葉よ
わたしの 中の 憎しみの言葉よ
わたしの 中の 哀切の言葉よ
わたしの 中の 怒りの言葉よ
わたしの 中心 全ての想いを
燦き 輝き 憤って 震えよ
燃え上が ....
月曜日は買い物日和だ
砂漠の中のショッピングセンターへゆこう
遠くの部族が集まる日曜日よりはましだから
きみの前髪を上手にきってくれる人をさがそう
くだらない思想でこころを壊さないよう ....
多彩ないい句が出来たので
私は回って回って回って喜ぶ
市電がイチョウ並木の間を縫う様に
行けば車窓から見える田圃よ生きろと
思う、稲穂、刈田、稲雀など
季語もいっぱい
ちょっと前まではもう ....
感極まって泪が溢れたり
感極まって射精する
普通だな
自然なふるまいだな
法に触れる事は何もない
したくても
できない
そんな事したら世間からつまはじきにされて
世間から著 ....
そう言えば、俺は嫁さんにプロポーズなんてした記憶がない
気がついたら籍を入れて夫婦になっていた
気がついたら長女が産まれ
気がついたら次女が産まれていた
気がついたら、アパートから建て ....
くらいくらい 荒野につくりあげた
復讐の塔に閉じこもり
「ひとりだ」と呟いたら
はたかれた
ひたすら 喪いすぎたのだろうね
青い夕暮れに細い声でないてさ
耐えられないわたしを ....
(10(テン)月4(シ)日は、てんしの日だって?ふーん)
天使の日
闇の清廉さを
剥がされつつある
このゴミだめの街に
夜明け前
タワーマンションに灯る明かりへ
....
遠くで鐘が鳴っている
ひんやり切ない秋の日に
何処までも高い青空に
追いかけても追いかけても
決して追いつけないあの場所で
(金木犀の花が軌道を舞い
秋の大気が生まれるところ)
遠く ....
羽は
触れれば汚れそうです
羽は
天使の落し物だと
思いますか?
天使は
飛べるから
私は
天使に
憧れています
ただ
水辺に天使はちかよれないのです
祈る神 ....
最初の子供は死産だった
最初の嫁も死んだ
二番目の嫁は五人の子供を産んだ
一番目の子供はおんなで二番目はおとこ
三番目と四番目は年子でふたりは共におんなだった
五番目はおとこでそれで〆に ....
何処にも届かなくていい
誰にも関わらなくて
何の問いもないが
ただ在ることを想う
ダーウィニズムがもたらした
革命にしたがおうとおもう
忙しい自分は本当なのだろうか
ぼくはい ....
鬼の頭に恣意的な物を感じ
旧石器時代にマユごもる私
恣意的な札ビラにも納得出来なかった
私は異常な差異を制御できず
植物が茂る秘境を目指した
「旧石器時代は植物相が豊かだったんですよ」と
....
思い出の石ころ
涙に濡れて
湿ったメロディー鳴らす、星月夜。
だから、
道の端っこで聴く
「壊れかけの、ブランコに、乗りなさんな」
だから、
ころがるタイヤを追いかけて、 ....
単純に題名と作者名と当時のちょっとした話題性にひかれて買ってしまった文庫本。
最初の二三行読んだだけで本棚にしまいこんでしまった。
今は埃をかぶっている。どんな本も一冊を完読する習性なんて持っ ....
1 2 3 4 5 6 7