牛になって

風にふかれながら

草原を食べていたい



できれば

あなたとふたりきりがいい
丸い小窓を抜けたなら
まぁるい形になるだろか
四角い小窓を抜けたなら
しかくい形になるだろか

まぁるくしかくくなりながら
眠る赤児のくちをぬければ
どんな形になるだろか

そこにい ....
とじた目蓋の裏に海がさざめいていて
丸めた背中の上を野生の馬たちが疾る
寝息を受けて帆船が遠くへ遠くへ

あなたの存在そのものが夢のよう
そんなふうに思えたことがあった

ひとりでない、 ....
誰かが正しいという循環から外れても
心臓は打ち、もの思わぬことはない
放たれない言葉の流れが澱み

わたしはわたしから溢れ
低きに流れて見上げるのも
疲れるから地底湖になっている

と ....
もしも 三人が しゃれこうべになったら
三人は親子だと すぐにわかる 
なぜなら 同じ頭の形してる。 と、言われ
ハチマキ姿のタコの絵のような 立派な おでこを
三つ つきあわせて
婆さんと ....
じろう、きたろう、いず、きしゅう
ゆうべに、はなごしょ
ごしょ、たいしゅう

いろんなカタチをしております

えど、ふじ、はちや、れんだいじ
つるのこ、よこの、たかせ、はがくし

酸 ....
青空。

あれは欠けてしまった心だ、
心の欠けらなのだ、
重力のようにわたしを惹き、
赤子の瞳のように影を呑むのだ、

どこにも行けないという幻肢痛。
慰めがたい痛みを慰めよう ....
一輪挿しの花を
わたし達はただ愛で
やがて枯れたならば
裏の畑に埋めて

忘れてしまうでしょう
なぜ、忘れてしまうのでしょう

そうして人々はまたこともなく
明日の朝を、明後日の夕を ....
そのトラックの荷台の隅に乗せてくれないか
行けるところまで風を感じて町を出たいのだ

彼方の空は晴れているのにこの町は陰鬱に曇っている
陽気に歌って曇天をたたこうか、どんどん、どんどん
町は ....
あほうどりはどこかに消えた
たくさんの人間の手が羽をむしり
あほうどりを引き摺り落とした

あほうどりは何処かと思えば
しろい鳥の群れ、冠島のあたりを
ウミネコが、オオミズナギドリが
波 ....
枯れてゆく冬に名前はなく
キャベツ畑の片隅で枯れてゆく草花を
墓標にしても誰もみるものはいない

ただ今日一日を生き抜くことが
大切なんだと、うつむきがちに言う人に
ぼくは沈黙でこたえる、 ....
誰かの娘であるアタシたち
誰かの妻であるアタシたち
誰かの使用人であるアタシたち
名前? 大切だから教えないよ
そんなの残らなくていいんだ
アタシたちがエモいと思ったこと
アタシたちが心に ....
ちいさな丘の木立をぬけて奔放に踊るものたち
白みがかった光と戯れる雪華のなかで
あなたのこめかみに浮かぶ青い血の流れ

わたしはそれに触れたい

生命は絶えず流れ、流されて
ふいに出逢っ ....
あなたは少しだけ震える声で
言葉を世界へ解き放っていく
それは遠い未来の記憶だ
空のこと、風のこと、涙のこと
夕焼けのこと、無くした恋のこと
あなたが生まれた朝のことだ

そんなことは無 ....
戸棚のなかには古く硬くなりはじめた
フランスパンに安いチリ産のワイン
書きかけの手紙はすでに発酵し始め
こいつはなんになる? 味噌でも醤油でも
ない、カース・マルツ? 冴えないな

フォル ....
誰もがそれとわかるように
名前をつけてみましょうか

花と名前をつけます
蜂と名前をつけます
光と名前をつけます

だけれど君がそれを指さすとき
花と戯れる蜂や蜂と戯れる花を
輝かせ ....
この花は永劫の畔にゆれている。
あまたのうつろいをながめ
蕾という名の一輪となって。

風よりもとうめいなあなたの声が、
水面をやわくなでている。
どことも知れずに吹いてきては。

 ....
小窓から月明かり
納屋のなかでは笑い声
明日は畑に植えられる
種イモたちがくすくす
錆びても鋭い鎌に鉈は
ときおりカタカタ笑い

鉋は葦の笛をふく
春一番が待ち遠しく
女羊飼いが待ち ....
夢の中となりに座ったあなたと話すことが出来なかった
夢でもいいから会いたいと願ったあなたがすぐ横にいて
あなたはもはやあなたではなくわたしの心の影法師なのに
あなたを知りあなたの心を慮ることで虚 ....
ごぅごぅと言う風と戯れながら
花たちが散り舞いゆくのです

種子は風や鳥や虫に運ばれ
あの町で咲きこの街で咲き
それを見た人たちの心にも
花が咲き乱れ赤、青、黄、
赤、青、黄、花が咲き乱 ....
ぶらんこぶらんこ
揺れている
風もないのに揺れている
ぶらんこぶらんこ
揺れている
誰もいないのに揺れている
ぶらんこぶらんこ
揺れている
言葉のとおりに揺れている
ほら、樽のなかでお眠りなさい
煩わしいすべてをわすれて

檸檬かしら、いえ、林檎でもいいわ
樽のなかを香気で満たしてあげます

息を潜めて、あ、とも、うん、とも
言わないで猟犬を連れた ....
巣から落ちて干涸らびた雛鳥の
虚ろな目が空を見ている
とっても綺麗だから
イヤリングにしたくなるね

ねえ、そんなに見つめても
決して辿り着けないよ?
それとも小さな魂だけは
この惨い ....
眠るひとのいない
ベッド、手摺りには水漏れが、と
書かれていて、シーツには髪の毛が
いっぽん、半ばしろい枝毛のかなしみ

もう増えないであろう
壁や箪笥の上の笑顔や
家族の群れ
灯り ....
まぼろしである
しとどに濡れる街が
明滅する赤信号が
交差点にあふれた人びとが
舗装された道路の窪みが
まぼろしである
底のすりへった靴が
歩道橋の一段目が
つらなった改札の狭 ....
雨が傘に足をおろすのを聴きながら提灯を手に町へでていく。雨の日には町の水路は誰もがきづかないうちに、碧い水に満たされているんだ。ゴンドラの唄が雨に濡れて艶やかに響いてきて、水路のうえにぼお、とした灯が .... 冬の街を歩くとき、私は少し優しい気持ちになる。
どんな感情も、持っちゃだめってことはないんだよ。
あの人がそう言ってくれたときの、きれいな白い息を思い出すから。

凍える季節のなかで初めて、私 ....
老人はおまえに
ものを
放りこむ
赤々とした
その口へ

おまえの頭上で鍋が笑っている
数限りない夕餉の匂いがおまえに
染み付いている、また酒の芳しい香りと
血の流れと涙は静かに漂っ ....
おとぎ話の中の国は もう
わたしのことをおぼえてゐません

キセルをくはへたお爺さんは もう
わたしのことをおぼえてゐません

アコーディオンをかかへた青年と
まきばで働 ....


それでもいい

遠い足音の偬しみも

かわした言葉のすべてが いつか跡形もなくても。

ぼくらの中にだけ積もってゆく

  ただ、それだけ、であっても。

純度の高いまだ ....
渚鳥さんのおすすめリスト(182)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
戦争- ねむのき自由詩1519-3-31
風、風、風よ- 帆場蔵人自由詩12*19-3-30
目蓋の裏のみな底- 帆場蔵人自由詩8*19-3-25
循環- 帆場蔵人自由詩5*19-3-23
ほね- るるりら自由詩15*19-3-22
名が無くとも- 帆場蔵人自由詩4*19-3-19
青空- 新染因循自由詩919-3-17
花の墓- 帆場蔵人自由詩6*19-3-7
春へ跳べ- 帆場蔵人自由詩6*19-3-3
信天翁- 帆場蔵人自由詩219-3-2
冬の墓- 帆場蔵人自由詩11*19-2-24
古典レディース- もとこ自由詩419-2-23
青い血の明滅- 帆場蔵人自由詩419-2-20
VOICE- もとこ自由詩15*19-2-18
さよならフォルマッジョ- 帆場蔵人自由詩419-2-17
沈黙のなかで- 帆場蔵人自由詩18*19-2-14
永劫の蕾- 新染因循自由詩13*19-2-14
羊飼いの踊り- 帆場蔵人自由詩319-2-13
あなたの夢をはじめて見た- ただのみ ...自由詩16*19-2-11
春想歌曲- 帆場蔵人自由詩419-2-9
ぶらんこ- ひだかた ...自由詩9*19-2-7
樽のなかの夢- 帆場蔵人自由詩7*19-2-4
飛翔- もとこ自由詩24*19-1-26
無題- 帆場蔵人自由詩519-1-21
まぼろしである- 新染因循自由詩10*19-1-15
小夜時雨の街- 帆場蔵人自由詩219-1-1
12月31日- 水宮うみ自由詩2*18-12-31
埋み火- 帆場蔵人自由詩1218-12-23
ちひさな国- 石村自由詩24*18-12-22
冬の夜の- ハァモニ ...自由詩9*18-12-20

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