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Q1. 骨格標本を愛せるだろうか?
どこかへと繋がっている川
あぁ、海ならよく知ってる
沢山の手足が浮かんでいた
まるでくらげは親戚みたい
月が綺麗、と言う前に返せ
骨をと ....
水、の音をさがしている
すっかり消えてしまった
匂い、の足跡をたどれば
猫が水をのむ
舌が生きている
手首から流れだす
脈絡なく文脈もない
....
汽水域でしかいきられない乱反射は
椅子に座っても安らぎにはほど遠く
手から手と瓶のなか追いかけていた
わたしの、わたし達の心は縛られることはない
そんな風に真っ向から歌う事を忘れてしま ....
"華麗に終わるはずもない、そんな末路もしかたない人間だもの"
靴を揃えて、
(やさしい歌よりも悲鳴が好まれるなら
かなしみになけ、朝告げ鳥を抱きしめ
盲いた ....
宵闇通りをお迎えにあがります
ブン、はブンであり吾輩ではない
ようやく木に将来が吊るされた
ふるびた
かんざしが
流木に刺され
朝陽を待ちながらさみしく影 ....
眠れない夜にはねこを洗う
静かにわめいてるドア越し
あけてはいけないと静止する
あけてみてみたいと開始する
それでは、有料、悠々、遊泳
幽霊、みたいではいられない
佇みながら座るため ....
抉り取られた枝、から
予告もなく傾いていく
網が からめとる とられない
誰かの手紙が捨てられて
落書きばかりにうんざり
ひさかたの果実にうつつをぬかす
転がる、ひかり、分散、なつのひ ....
Ⅰ
この夜にはふたつの月がある 手、埋葬、される
太陽が失われたときの名残り 耳に、注がれる、火
Ⅱ
電車が駅に入ります ※漂泊しすぎにご注意ください
ほら、無数の骨組み、 ....
(白壁につたう蔦を歌うから壊れたカメラうつらない右眼)
朝が来る鉄道路線よ、そろそろ別れのあいさつをしようか
町を囲む白壁を跨いで夜をさすらう巨人たちは去っていった
やがて町は空梅雨の笑い声 ....
Ⅰ
いつか風のあきらめが訪れた
としても僕らが滅びたあとで
なにも伝わらないから頬をつたうのだ
アーガイル柄の床の軋み
骨格があちらからこちら
誰だってそうなんだろう
....
ちかちかとひのくれたみち
ちょうちんあんこうだとおもえば
ちかちかひかるネッカチーフをつけた
おじさんだった、おじさんはちょうちん
あんこうに似ていたからネッカチーフを
まいているのか、くら ....
バイオリンが弾いてみたかった
しらねぇよバカやろー、と犬に言われ
そりゃそうだわ、と泣いているからね
もう駄目なんだろうと始発とすれ違う
なんでもありませんよ、と千回繰り返してる
二 ....
耳から咲いたうつくしい花の声たち
眠っているときだけ、咲く花がある
あなたはそれを観る事はないだろう
生きた証し、誰かの
言葉に耳を傾けた証し
母さんの声は咲いているか
愛しいあの娘の ....
遠雷が鳴る あとかさき
かなかなひぐらし かなしんで
夏の報せ、がたくさん奪っていった
なつのせみはるのせみ黙っていった
遠野で踊るハタタ神、てをのばして
あの遠雷に帽子を被せたい
....
北の地を放浪しても
得るものは老いた馬の
澄んだ瞳だけだった
若駒とともに嘶いたが
そのように走れなかった
鞄をひらきぶち撒けて
夢も希望も熱狂も棄て
敗残兵なりに鞄は軽く
....
ねこのお腹は温かい、ね
アスファルトに倒れて
春を殴った肩よりも
ねこのお腹も温かいね
初めて内臓に触れた朝の陽に
射られ冬を齧った犬歯より
切り裂かれていく弧をえがいて
腹でも ....
風が強いから洗濯物を追いかけて
綿毛が背中を撫でていく、さよなら
踏みぬいてしまいそうな青い草地を
蛙が春へと飛んでしまったから
ひとりきりで立ってます
スイカズラの甘い蜜を分けあっ ....
ひとりぼっち、の人は
ひとりぼっちの景色を
知っていて
遠くを静かにみつめている
たまに夜半の丘に立っては
叫んだり泣いたりしている
眠れば星雲の渦にまかれて
わからない ば ....
遊べや遊べ わらしべ一本
わらしべ一本 遊べや遊べ
遊びをせむとや生まれけむ
誰もが一本のわらしべ握り
明日は長者か乞食ぼうずか
種もみの実りを待たずさり
中洲で噛みあう ....
ゆきの降らない冬の日々
吊られたあらいざらしの
Tシャツはふるえていた
それはゆきを待つわたしのように
次第に乾いていく暖かい日差しのなか
磔刑にされしろくしろく待ちわびている
誰 ....
ひとつの風景の動きが
瓶に詰められてゆるやかに
はっこう、していく
風景は酵母となり詩情とざわめき
月明かりが窓から注がれて神々の手が
攪拌を始めれば乳白色の神話の海になる
言葉に ....
いつものように歩いていたのに
いつものように犬と散歩していた夜に
いつもは足を止めもしない場所で
足が歩みを止めて犬が不思議そうに
足のまわりをくるくると回っている
線路下の細い道が ....
庭の木も街路樹もすっかり
葉が落ちさり手をひろげて
雪を待ちかねてざわざわと
さぁ、おいで、雪よ、おいで
歌いながら風を掬い夜を掬い
全身で冬の夜空を受け止めて
君は僕の手をひいて ....
冬に映える黒髪の獣の口から、あなたとの四季のため息が風に巻かれていくよ。あのシャボン玉がすべて包んで弾けたからぼくやきみの悲しみさんはもうないんだ。同じように喜びも弾けて消えるからまた悲しみさんはとな ....
課題詩『秋の霧』対応随筆
夜勤明けの朝には霧が深く立ち込めていることが、しばしばある。僕の住む地域は盆地であり、すり鉢の底に水が溜まるように霧も溜まり濃い霧の中に町は沈む。視界も悪くなるので、自 ....
頭部のない地蔵が地に突き刺さり私は石くれを拾い集めて供えていく。顔は覚えてくれているのか、と問われても元より知らない。けれども手を合わせることだけは遠い昔に習ったし、あの鳥のように歌を供物にしてあの花 ....
ぼくの庭の死者たちがつぶやいている
《今年は雨が少ない……不作かも》
祖父かそれとも伯父か、まだ顔がある
死者たちはざわめく葉影のささやき
裸足で庭を歩けば確かに土は乾いていて
限られた ....
ちいさい秋みぃつけた、と
歌う、子らがいなくなって
久しい庭で百歳近い老木が
風にひどく咳をする
また長く延びる影を
煩わしく思った人が
老木を切り倒して
春には明るい庭で
....
課題詩・秋に再挑戦
『栗への讃歌』
青い雲丹のようであった
トゲトゲが今やえび茶色に
染まり機は熟したと落ち始めた
栗よ、お前は縄文の昔から
人びとの口を楽しませ、飢えから
救っ ....
秋月の夜の樹々のざわめき
風の卵たちが孵化しはじめ
餌を求めている誕生の産声
雛たちはまだそよ風で
樹々から養分をもらい
ゆるゆる葉は枯れ雛は
みるみる成長しながら
嵐への導火線を ....
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