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 薄ら陽を

 追いつつ鉢を離れ得ず

 小さき金魚の褪せし思いして

 胸の底 暗く重く

 ちろちろ火の燃え続ける
 イノチガ フト
 オモタクテ
 窓ヲ アケルト

 ヒトツ フタツ ミッツ
 カゾエテミタラ
 ココロガ カルクナッタ

 アカイノ 
 ホントニ アカイノ
 イマニ コガラシガ ....
 窓を 開けると

 取り残された柿の実が赤かった

 よく解った 空の高さ
 
 窓を閉めた私は

 夕飯のお味噌汁の大根きざむ
 貴方の低い声に
 瞬間 止まってしまう私の心
 ポツリ と
 残った高い音

 ヒマラヤ杉が激しくゆらいで
 薄暗い講堂の辺りは
 まるで雨と風しか無く
 あの時
 何故 貴方に手 ....
  「私春記」



 「あたしの洗濯カゴ触らないで。
  あたしのボディーソープ使わないでよ。」
 
 俺は、いったい何なんや!
 憤る 兄をなだめる母ありて
 娘の真顔に含み ....
 桐の葉に 雨が降れば

 涙なく 声なく 
 唯一人
 流るる窓の滴に心あてなく さまよい出でる

 あなたが何処に居ようと
 わたしが何処に居ようと
 生命だけしか上げるものが ....
    「今日」



   足許が 冷たい

   濡れた路面に浸む夜の訪れ
 
    こんな日も

    あるのか

   早く帰って お風呂にでも入ろう。


 ....
 すすきの穂が暮れ終わって
 秋が もはや殆んどない

 御寺の緑に
 ふとこぼした涙は何処へ行ったのか
 荒々しい血汐のざわめきが
 遠い日のことであったと
 気附いたのか
 一 ....
 
 その朝
 半開きになっているリビングのドア
 玄関廊下の床に外からの光が
 もれ込んでいた
 
 あわてて玄関へ目をやると
 鉄扉は大きく開き
 こちらを見詰める背の高い人影、
 ....
 ものうい口づけの時
 真昼のカーテンが そっと身をよじらせ
 触れ合った歯の小さな音をも
 ききのがさない

 ある時
 生命を捜し求め
 悲しい広さを見い出した
 貞操を否定す ....
 
 薄い霧の 
 晴れない朝
 軽い ハイヒールを器用にさばいて
 女は舗道をいく 

 昨夜 花開いたに違いない女の性が
 そのすんなりした 脚を
 わずかに恥じらわせ
 プラタ ....
 栗の焼けるにおい
 私が一人 歩いている街中に
 ほろ苦く
 かさかさと
 音を立てて秋が 散る

 雑踏をさまよいながら
 ほのぼのと胸うずめるなつかしい思いが
 何と暖か ....
 或る 雨の朝

 しぶきに打たれる鋪道の

 流れる水の勢いを 感じながら

 あなたを久しぶりに思った


  夏の始めの山は緑だから

  美しいし

  君は 緑の年 ....
 手をかざし見通す むこうに段々畑
 咲き揃っていた向日葵はもう
 どれも 天を仰がず

 吹き来る風に 
 あぜ道の 緑濃い草影
 ころがる日差し

 ああ、好い天気なのに

  ....
 特別に悲しいという訳でもない日
 行きつけのショッピングビルの喫茶店で
 夜のムードなソフトジャズが
 無機質に聞こえる 寂しさ

 スプーンで掬って 舐める
 ウインナーコーヒーの ....
 会社の敷地内に植わる樹々の緑
 仰ぎ見る 折り重なったイチョウの葉っぱから
 顔のぞかせている黄色味がかった実

 「今年、実が大きいですよ!」
 詰所の更衣室で先輩へ報告する朝
 「そ ....
 
 風の夜が来た

 しめ忘れたガラス戸から
 一枚の枯葉を伴って
 大胆に忍び込んで来た
 啜り泣きかけている女に
 熱く くちづけようと
 風の夜が来た

 思い切り 声をあ ....
 一雨ごと秋が
 次第に充ちて来る
 野道行く行く
 さらけ出す
 心一つは鋭きものと今更に知る

 (西山は しぐれするらし一陣の風渡りたり
  道端、草葉にやすむ糸蜻蛉)
 ....
 日陰にもならない
 落陽高木の側、
 石のベンチに腰掛けて居ると

 その 百日紅のピンクは
 枝先に密生して咲き
 暑さに負けることなく僅かの風も 
 逃さない

 少し離れた所 ....
  野の花の 優しさが
   あなた

 一ふりかえり見る
 広漠とした 高原の葉ずれの音に
 それは
 しみこみ 又はねかえり
 幻影の様だった 稚い愛

 北方に 連なる山はだが ....
 
 一度だけ首を後方へ回し
 こちらを向いた女は無表情で、厚化粧だ
 顎のエラがはっている

 京阪の改札口から出て来た彼女は
 並び建つJRの駅、上りエスカレーターで
 僕に体を寄せ ....
 澄んだ山の彼方に
 何がある と
 希望して良かったのは
 遠い年代だけの事だったのか

 暗い中をぬけていくと
 ふいに光の中に出て
 あたりは竹、の林
 散りしいた藁に埋もれて
 ....
 女が 路地裏に居るのを見た
 
  雨が 降るのを見た
  ライトがいくつか点いて
  薄暗さの充ちてくる

 音の ころがる時
 夜の始まるのを見た

 
 おかもち提げた女子 ....
 ふしあわせ というものが
 とくに こころ美しく
 あたまのするどい ひとに
 みいる のでしょうか

 はんぶん いろづいた林檎の
 つめたい甘酸っぱさを
 あなたは こころ ....
 水死人の捜索船が
 大声でどなり合い
 そして 声の沈まり
 ぞよめく


 夏も終わって
 浜辺も空虚で
 そのさざめきが
 かえって救いの様だ

 この付近の人々には
  ....
 

 フライパンで こんがり狐色にした手羽元と
 ガーリック香る炒め野菜を煮込む
 夏のスープカレー

 そんな 今晩のメニューを
 考えていたけれど
 取りやめた
 台風一過とは ....
 林檎を むきながら想う
 貴方の目
 どうしても思い切れない
 あなたの声

 リトルシガーの煙
 うすく立ちのぼる果は
 頼りない指の先
 もはや 希望の色はなく

 何か ぼ ....
  熱砂 と
  真空

  ごう音と
  死の静寂

  閃光 と
  奈落


 重々しい
 数十万の足音が
 はてもなく続いて行く

 銃をかつぎ
 一すじの乱 ....
 冬の日の山 
 真白な雪の その彼方に
 孤り高く貴女がいる

 あの山の
 雪を被った樹々の間に立ちあらわれる
 男の前に
 肉を欲しがり
 血を欲しがり
 体温を欲しがって
 ....
 又 戻って来た
 物憂い瞳で 上手く口説き
 心をさらいに来る悪魔

 親しげに抱きしめてくる腕
 あたしがいつも
 浮き草の様に揺れ動いているのを
 充分に知っている男

 取り ....
ひだかたけしさんのリリーさんおすすめリスト(185)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
五行歌_一首「未練」- リリー自由詩6*23-11-8
熟柿- リリー自由詩8*23-11-7
五行歌_一首「柿」- リリー自由詩3*23-11-7
偽り- リリー自由詩2*23-11-4
五行歌_二首- リリー自由詩6*23-11-1
窓辺- リリー自由詩5*23-10-29
初めての五行詩_(二作)- リリー自由詩8*23-10-28
涙の行方- リリー自由詩3*23-10-25
玄関- リリー自由詩4*23-10-22
夾竹桃- リリー自由詩4*23-10-21
ハイヒール- リリー自由詩4*23-10-15
秋冬- リリー自由詩3*23-10-15
雨の朝- リリー自由詩8*23-10-14
遠雷- リリー自由詩2*23-10-10
水曜日- リリー自由詩12*23-10-3
長月の頃- リリー自由詩3*23-9-29
風の日の夜- リリー自由詩3*23-9-21
あき- リリー自由詩9*23-9-16
At__The__Zoo_②〜「晩夏のキリン」- リリー自由詩4*23-8-27
星のない夜- リリー自由詩7*23-8-24
割り込む女[まち角25]- リリー自由詩1*23-8-24
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少女- リリー自由詩3*23-8-19
みずうみ- リリー自由詩15*23-8-18
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野ばらの記憶- リリー自由詩7*23-8-9
雪女2- リリー自由詩4*23-8-8
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