すべてのおすすめ
見えない夜の身代わりに
川は蒼く蒼くなり
金いろの径を従えて
海へ海へ落ちてゆく
けだものは居る
けだものは居ない
曇の十字
光の前の小さな羽
隙間 ....
パチンパチンと音がする
シュンシュン シュンシュン、音 響く
半端な冬の夜半過ぎ
黒ずみ弾ける二股鞘と
剥き出される真っ赤な種子
街灯に照らされアトランダムに
蒼い地面に撒き散らされ
....
スタッ スタッ スタッ
大きな白いイキモノが用水路を移動して来る。
僕は思わず沿いの遊歩道に立ち止まる。
スタッ スタッ スタッ
水かさは30㎝程、幅約1mの用水路を、そのイキモノ ....
生きている人は傲慢だ
やすらかに眠ってください、とは
あたしらへむけての言葉だと思うけど
ほんとのところは
生きている人のための言葉なんじゃないか
そもそも死んだ人が眠ると決めつけてんのは
....
体は腫れ上がり冷え切っている
のに
魂は熱く燃えている
のが解る
俺はオマエを欲し彷徨う獣ノイズ
いよいよ遠退くオマエを
この世界の地平で
酸素だけでは生きていけない
オマエは澄 ....
こころもとなくなる
ここを歩いているといつも
どうしてか
砂地には
足跡は残せず
一本の根さえ張れないと思うのだ
ほってごらんと
父は言った
ほりだすそばから
哀し水がしみだし
確 ....
汚れた床に落ちた埃は
身元不明の死体に似ている
掃除機をかけて横たわると
失われた影だけが見える
固定電話が久しぶりに目を覚ます
でも答える前にベルは ....
足の爪に
塗っておいた海が
夏のどこかへちぎれて消えた
地図の上をなぞる指が
コーヒーの匂いをたどって
最果ての島に着く
ふと顔を上げれば
見慣れた街並み
寝過ごした朝のよ ....
細胞を解剖してみたら
電子の奥に宇宙を観た
巨大な世界の果てを知り
微細な宇宙を知ったいま
ぼくは永遠の生命体に慄き
摩訶不思議に埋没する
果てしない命を奪いながら
生きている矛盾に ....
森の向こうに空があり
私の思考が蠢いている
地水火風はその中で
好き勝手に踊ってやがる
私の感情の底の哀しみ溜まり
虚脱の寒気はいや増すばかり
自 ....
151210
青い青い海
これ以上の青さは無い
深度30メートル
これ以上の青さが無い
暁時の空
群青色に染めた僕のTシャツ
焼き物の世界に入り込んだ痴れ者をぶん殴 ....
小さな街を歩く
通勤快速や急行は止まらないような街。
偶然賃貸住宅のサイトで見つけた。
駅前はこの前グーグルアースで見て回ったけれど。
名前すら知らなかったような、
そんなそんな ....
物欲の塊は
妻から針金のような注射をされる
少年の頃のように
怖いわけではない
チクリと刺されれば
それで済む
反省の無い猿以下のぼくは
飽くことを知らない
留まるところを知ら ....
書きたくないねえ
なんだか 自分の死を待つようで
あんたが死んだ後の片付けだと
どうすりゃいいか分からんってか
死んでから見張っていられるでもなし
とやかく言うたかて
訃報を出すと ....
落ちては掃く
落ち葉の
落としては掃く
落ち葉の
だれでもない
わたし
日暮れの
空の
落とされては掃く
落ち葉の
だれでもない
わたし
だれかが
どこかで
....
岩山の岩壁の岩棚に
産み落とされたぼくは
産声もあげず
銀の龍に鷲づかみされてしまった
遠い記憶の底
あれから言葉など誰も教えてくれなくて
ぼくは誰とも話などしたことは無い
....
残響、
生まれ絶えることなく
静謐循環回帰スル物質の界
透明な音の響きの渦に呑み込まれ
感情は濾過され
音の響きは音の響きを引き裂き残響
鋼鉄を叩き合い振動増幅し震え震え
宇宙の深淵 ....
コインランドリーで千円札を崩す目的で買う定価の炭酸飲料を半分飲んだら半分崩れていく
退屈のカタチに色褪せたジーンズの右ポケットで縮こまる銀河
音のない戦争がはじまる
担架の上できみ、いや、ぼくは ....
平和と愛は無関係なんだってこと
平成時代になってやっと思い知った
人類がわたしです
ヘリコプターの音を聞きながら
食べる 野菜スープのあじと
安定しなさいと言って
聞かせる平らな親の目 ....
ゆけなかった
ひび割れた空のかけら
拾い集めて
黒曜をながした月光
あなたのような
静謐
いだかれながら
緩やかに枯れてゆく
水底の
片羽根なくした
蝶を
想っ ....
できの悪い推理小説のプロット
夢の死に絶えたファンタージェン
造物主のいない創世記
すべての夢がわずかな因果の隙間に託されるなら
いつもつまずいている僕はニッチな日雇い漂流生活者
....
鼻が咲いている
といって言葉遊びではない
ほんとうに咲いている
鼻血が出る
といって垂れてくるのではない
溢れ出てくる
溢れ出て
止めようもなく
はな
はなはなはな
川辺は静かで
....
いつのまにか森は黄に染まり
陽射しに浸され黄金いろ
黄金に小刻みに揺れ輝く
空気が違う、匂いが違う
落ち葉と迫る冬のコンチェルト
秋と冬が衝突し合い絡み合い
発光しながら溶解する
静 ....
ヤモリの張り付いた電信柱が
オレンジ色の灯りをともし
夜の歌を静かに歌っている
夜の秒針を刻んでゆく
ぼくは落ち着けないでいた
あの中華そば屋までの果てしない
道のりは
とても遠くて ....
夕暮れがやって来る頃決まって私の腕に止まる君
ねぐらへ帰る途中なのだろう
一羽であることもあるし
友達を連れてにぎやかにさえずることもある
いやもしかしたらきょうだいだったのかもしれない
あ ....
雪のような歌がある
静かにふってきて
いつのまにか景色を一変する
真新しい一面の白紙を前に
こころ躍らせる者
昨日を忘れてしまい
ペンのように立ち尽くす者
雪のような歌がある
....
夕陽は波の音を残して
海と空の混沌に溶けていく
松の梢から昼の光が消えると
ぼくの中で映像がうずきはじめる
時を忘れて遊んでいたぼくらに
夕餉を告げる母の声がとどくとき
一日 ....
疼痛発作に昼日中から、
遮光カーテンを締め切り寝込み
激痛が退いた夕に眠り込み
夜陰に突然目覚める
こころ
光 求め
からだ
光 拒絶し
混沌として堪らず枕元のスタンドライ ....
土中を這い回る魚にように
生への違和を拭えずに
代替の作法は理由も示さず月と太陽の間を追い巡る
成就することこそが必要だとは言われぬが
影法師のような慈悲が
朧げな輪郭を保って半身の羅針盤を ....
ここに、
確かにあなたはいた。
そのとなりに、
確かに私はいた。
ふたりはずっとこの町にいた。
けれども今では、
誰もあなたを知らないという。
私たちはこの町の片隅の
ちいさなマンシ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10