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入院は今週も木曜日
になるまで自宅でゆるゆるしよう
精神病院には其処に住民票が有る人が多いから
三年経った今も顔見知りは居るだろう
三階は重度のジャングルらしいけれど
ぼくは1階で済む
....
幼い頃には特別な場所が在った
古い石橋のたもとだとか
椿の大樹の根元だとか
石垣のちょっとした隙間など
ぼくはそんな処に
緑色や赤や青い水晶の欠片など綺麗な石を
お供え物のように隠した ....
男たちよ
ふんどし締めて
大宇宙に挑戦するのだ
女には無い
力を突きつけろ
生きて
生きて当たり前
どうせ死ぬなら
強烈な生命を燃やしてみろ
何でもいい
たった ....
紅蓮の業火が背中を焼き
腹は氷雪の海に閉じ込められている
隻眼の瞳は目指す方角を失い
同じ海域をグルグル周り
砂浜にたどり着くことは無かった
父母の名前を呼ぼうにも
卵から生まれたぼくは
....
冬に聴く
チェロのソナタは
暖かく
珈琲すすり
窓を眺める
公園の
ベンチにすわり
病葉を
ひとひらふたひら
かぞえるまなこ
わが書斎
森林のように
わけいりて
記憶 ....
かつおぶし
削るおしえ
朝めしの
祖母の記憶に
明日の味をしる
糠漬けを
手繰る指先
塩まぶし
茄子と胡瓜に
美味くなれよと
味噌汁に
玉子を入れた
母想う
風邪をひ ....
細胞を解剖してみたら
電子の奥に宇宙を観た
巨大な世界の果てを知り
微細な宇宙を知ったいま
ぼくは永遠の生命体に慄き
摩訶不思議に埋没する
果てしない命を奪いながら
生きている矛盾に ....
木場うまれ
浅草うまれの
祖父母には
戦火に焼かれ
写真さえなく
十六代
飽きた東京
捨てもせず
山の緑に
憧れるいま
木を削る
鉋もいまは
本節を
削る手のひら
....
物欲の塊は
妻から針金のような注射をされる
少年の頃のように
怖いわけではない
チクリと刺されれば
それで済む
反省の無い猿以下のぼくは
飽くことを知らない
留まるところを知ら ....
岩山の岩壁の岩棚に
産み落とされたぼくは
産声もあげず
銀の龍に鷲づかみされてしまった
遠い記憶の底
あれから言葉など誰も教えてくれなくて
ぼくは誰とも話などしたことは無い
....
ヤモリの張り付いた電信柱が
オレンジ色の灯りをともし
夜の歌を静かに歌っている
夜の秒針を刻んでゆく
ぼくは落ち着けないでいた
あの中華そば屋までの果てしない
道のりは
とても遠くて ....
甘やかな
旋律のピアニストは
何時までも恋という幻想に抱かれていた
その指先の爪は何処までもピンクに輝き
甘い囁きは
彼女を魅了した
そして
彼は応えた
ぼくは孤独を埋めること ....
ぼくは錬金術師のように
黄金を創ろうと必死になっていた
銅に銀と錫に亜鉛を混ぜて
ローズマリー・パセリ・タイム・セージを加え
そして 少量の胡椒とカルダモン
青い炎で炙れば
黄金色の合 ....
久々の早帰りに
電話の向こうで
妻が文句をいう
冷凍庫は貴方が
イッパイにした
妻の激流止まず
僕に記憶はない
何ということだ
酔った勢いから
楽天市場の散歩
記憶に無かった
....
空の色が無くなり
銀盆のような
アルミニウムの月が昇っていた
少し戸惑いながら
東の空を眺めていたら
雲霞のような
鳥の群れが
北の方角を目指している
不思議ではないのだけれど
ぼく ....
御茶ノ水
ニコライ堂の
鐘が鳴り
ハイカロリーの
定食を食う
三分の
時が待てない
ジレンマに
カップヌードルの
美味さをおもう
岸壁を
目指した
若き日々
空はいま ....