すべてのおすすめ
不意を付く夜更けの{ルビ地震=なゐ}や暮の春
微震あるもクラシック聴く{ルビ春夜=しゅんや}かな
巣立ちし子ライングループ作りけり
雨上がり活きよき真鯛の一夜干し
桜餅よき{ル ....
春の雨
花冷えのとき
いままさに
ものみな濡れて
吾{ルビ蟄居=ちっきょ}なす
巡らす思いに
去来する愁い
春の女神の
佐保姫に
お願いしよう
彼らの無事を
にょきにょきと土筆の坊や川の土手
すみれ草ひしゃげて咲きぬ草の中
林道や天と重なる山桜
頬を打つ風や名のみの春きたり
雨毎に数増しにけり落椿
永らへて無事なる生や四手辛夷
{ルビ三人=みたり}居て一人寡黙や沈丁花
{ルビ蟄居=ちっきょ}して見るものなべて春めきぬ
梅が香や未だ明けやらぬ戸口まで
{ルビ去年=こぞ}植えし{ルビ鬱金香=ちゅーりっぷ}の芽を数へけり
此処に居ます春の小花の声聞こゆ
....
吾ここに
大きくゆったり
生きている
考えみれば
すべて皆
小さい吾
小さい街
小さい国
けれどここには
あるんだよ
しかと暮らしが
しかと命が
猶更ちいさ ....
宝くじ買ふ人の列年の暮
個食には足るる畑の冬野菜
あをあをと葉物野菜や冬の畑
老友のはしゃぎ初雪知らせきぬ
冬の庭樹皮に描かる苔模様
抜きたての冬菜を添ふるサラダかな
....
菊香る我{ルビ佇=た}つ庭の此処迄も
{ルビ漢=おとこ}{ルビ四人=よたり}庭木を伐るや秋曇
葉の焼けし畑の{ルビ花群=かぐん}に秋の風
黄昏や頬を{ルビ掠=かす}める秋の風
秋の風{ルビ美=うま}し母娘と立ち話
八月の誕生祝ふ老いふたり
新しきレンズで初秋のワンショット
秋の蚊を払いつ客はいとませり
仏花もて墓参に供ふ帰国の子
気遣ふて安否聞かずや茄子の花
おいとまの言葉交はして秋夕焼
{ルビ昨夜=よべ}咲きし白粉花の夜明けかな
活着す挿し木中玉とまとかな
村雨や小走りに入る店の中
炊きたての新米ふうふう食みにけり
二の腕の顕わなる衣や秋暑し
極暑日や白きタイルをなほ白く
水道の{ルビ水音=みずおと}沁むる夏日かな
迎え火の宵は哀しも母来れば
ほろよいとふ果実酒のあり蝉時雨
朝顔の日毎に新た日の出まえ
夏祭りローカルテレビに観るダンス
淋しがる友連れ立ちて渓の涼
海隔て仰ぐ打ち上げ花火かな
人出増す市民の愉悦夏祭り
渋柿の文月俳誌雨読の日
災難は一秒の差や夏豪雨
果樹の葉の宙に揺るるや蜘蛛の糸
満潮の{ルビ潮香=しおか}いや増し裸の子
公園の大樹に涼むベンチかな
齧りたる李音なす程の熟れ
二人連れ老いの旅路か夏椿
シャラの木とふ別名のあり夏椿
寂びしきはけふも出で来ぬ夏月かな
{ルビ昼寝覚=ひるねざめ}青なす樹々の雨滴かな
青覗く蕾も風情アガパンサス
土砂降りに急遽買ひけりアンブレラ
紅梅の実赤く染む日向かな
一つだけ赤き{ルビ唐柿=とまと}を{ルビ ....
陽も出でず
閉じ込められて
雨は降る
遠くに行った隣人の
電話の声は
やわらかい
雨は人を遠ざけて
馴染みの犬も
来やしない
痛みが取れた右腕の
指動かして
詩が書け ....
何でも屋とふ{ルビ漢=おとこ}来ぬ{ルビ梅雨入り=ついり}かな
梅雨前の安らぎ分かつ良き友と
久々の同級{ルビ四人=よたり}夏暖簾
日一日暦のメモ消し五月果つ
根菜を抜けば{ルビ貫太郎蚯蚓=かんたろみみず}かな
果樹に生ふ草抜く朝や夏帽子
あついあつい
真夏のように
きらめく五月
手に取る全てが
心潤す夏はじめ
五月の日射し
赤い花が
咲き萎み
たおやかな紫
乱立する
病舎の屋上を
飛び立つ
へりの轟 ....
偲ばるる{ルビ二年=ふたとせ}前の野薔薇かな
走り梅雨物干し竿の雫かな
夏の雨雫に映る畑の花
{ルビ紅=くれない}の花群濡らす青葉雨
そら豆の皮剥く雨の日曜日
朝な夕な白き芍薬傘の中
香の{ルビ著=しる}し檸檬の花の散りしあと
柿の花{ルビ萼=がく}に隠るるみるく色
新じゃがを掘る喜びの秘かなり
門戸{ルビ入=い}る蜜柑の花の香に釣られ
若葉なす{ルビ苫屋=とまや}訪ぬる{ルビ三人=みたり}あり
夏草や青き小花に手を留むる
今朝も亦出会いありけり名草の芽
畑の菜を朝餉の材に春{ルビ長=た}ける
イタリアンパセリひと籠摘みにけり
ふたり連れ来たり桜に魅せられて
さくら咲き子に送る荷を詰めにけり
行き止まり春の小川の瀬音かな
鶯の鳴き音くっきり藪の中