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何かにすがりたいし
君に逢いに行きたい
これ以上ないくらい丸まって眠って
透き通ったものと
いい匂いのするものと
温かいものを少しずつくっつけたりして
昏鐘が呪文のように聞こ ....
もう、ずっと、葬列のターンだ
山裾から行儀よく
山頂までの道のりを進む
お前たちの名前は
アダルベロ
だったり
クロデガンク
だったり
ジグラム
だったりする
高貴な熊や
有名な ....
夜の頃
いよいよ視力を盗まれて 往生する そう幾つもない階段を
丁寧に降りていく 16,17,18,19,と数えていった
山の神様が 遠い方からしょっぱい種を飛ばし
加 ....
雷が ガリガリと鳴って
コップを グニグニと 洗ったので
菜の花を 見に行ったのだった
ねえ 菜の花を 見たこと ある
たくさんの 菜の花よ
いちめんの 菜の花よ
歌にも あるのよ
....
きみと
きみときみを囲む白い壁と
きみの大層な毛皮がよく見える
首が痛くなるまで星を観測し
今はまだ冬至、これからこうなって
ああなって
こういう風に動いたらあたたかくなるのさ ....
ちいさな姉さんたちが
あぜ道を鮮やかに歩いていく
カモミールとか
ベルガモットだとか
とても香りの良い会話をしながら
ちいさな光る粒を落とし
それを知らずに踏んでしまうと
しばらくの間、 ....
それから僕は、冷たい生き物に触れるために
僅かな夜を過ごす
山間の人々は自分達の歌を愛している
その歌を聞きながら一枚の毛布に包まって
パンを小さく千切って食べる
滲む群青に少しずつ泣きなが ....
メロウ おまえ ちい先生を見たか
庭の大きな老木に しあわせにしがみついて
羽化をする せむしの 背から
ギラギラとした 出てくるんだ
真っ昼間から 羽化だぜ
メロウ おい メロウ おまえ
....
身近なものに世界という名前を与える
だから私たちは世界を知っている
世界という名前を与えた私たちは
神である
*
おのおのが良いと思う形で祈り
....
{引用=
鱗はがし
}
ぐったりとした坂の両脇
片付けられたばっかりの ここは小さな店屋さん
向かいではやけくそなハンマーが突き出た骨を打っていて
....
お三時に彼はハンドルを回し
胸の部分の扉をパカリとひらいて
よい風を招くために
陶器のオルゴールを鳴らした
それは凛とした音色なのだけれど
彼はハンドルを回すことに執心していたの ....
それはかすかに透きとおっているので
向こうの景色がいつも滲んでいるのでした
朝霧を 食み食み
押し殺されたような時間を過ごし
まれに降る雨のために山裾で低い警笛を鳴らしたり
青い ....
エゲレスで
イエローファット病が流行ってからは
刺繍入りのコルセットなんて、とか
上等の砂糖菓子なんて、とか
囁かれてしまって
女たちはとても恐れた
個体によって差はあるけれども
た ....
刈り入れ時もよくわからないまま
彼女は優しい鎌をかける
遠雷
そのテンの首巻きはいい具合に違いなくて
ここいらは雪が笠のように積もるから
いつだって粗食で
ネジをまかれている
....
あたりさわりのない野辺は
どの角度から見ても真直ぐだった
だから
生き物の骨組みはどこからでも見れた
胸のあたりの骨の向こうは
いつも何かが始まって
終わっていた
始ま ....
「 ツァオベラ あの 真っ白い世界 」
わたしはその日も一斤のパンと砂糖水を摂った
目の前で食卓の隅が何枚もめくれているのを見ながら
なにかを話そうとすると、その度 ....
少女達は
マグマのように
やっぱりキレるのかしらね
ヒラヒラと白陶器のような指を燃やしながら
美しいアチチュー ....
幸せな手ほどき 幸せなあなたの
春の手ほどき
日当たりの良い場所で発芽した幼子たちが
小さな口を尖らせて
黄色い山火事を起こします
霧散した空気があらゆる涙袋を膨らます
それは ....
あなたは、荒れ狂った、広大な砂地に足を埋めて、飛ばされないように、大時化で、ドロドロとした朝の、ドロドロとした波に打たれて、気絶する、泥土の景色のようだと、あなたは言うから、ねえ、あなたは帰 ....
ダヒテ。
ダヒテの発音は砂のようで
ダヒテの腕はいつもきみどりいろな気がする。
僕の魂は重みにつぶされたりはしない
青梅線を走る送電線に巻き込まれたりしない
そうなったら
....
■宮澤賢治
さて、先日図書館で宮沢賢治を借りてきたのです。ネットで詩をはじめた自分にとってあんまし本てのは食指が動かんかったわけです!!!!(ダメすぎ)面白いくらい詩を読んでないわけなのですが ....
天井に頭がつきそうなあなたと
どてっ腹に穴のあいた私は
どこか浮かれた心地で手を繋ぎます
やがて日暮れて
子どもたちはそれぞれのミノに潜りはじめる
私たちも
アンゴラのマフラーを身につけま ....
土くれの上で
ブクブクと肺をうごかして
息を吸う
息を吐く
それから
しらじらとした空気の中で小さくワルツをする
手はこう、角度はこう、小さく、チラチラと、
....
くすり指がちびた人の
ひんやりとしたリールから
がっしょがっしょと妻が走った
シッポー トト ト (朝は隣家も装い ふれるの
深呼吸のドレープの波に乗って
腕で掻き分 ....
1.
シナ子
今、列車に乗っている
田舎に帰る
トンネルに入るとヒューィって音がこだまするの
それは列車の車輪の音
昔よく吹いていた草笛にも
車掌さんが切符を切る音にも似てる
....
目、ぬれてる
ポケットにひばな、突っ込んで
夜が死ぬのを待ちました
ワルツされる 砂の中で
心底待っていました
(水溜りで溺れます)
(水溜りで喜びます)
林立した子供の列はファ ....
あなたは、
簡素な手順でわたしの胸倉を開き
匂い立つ土足
こればっかりは慣れないものです
その度に鮮やかに毟られる
あなたと遭難したい
篭って
香しき動揺が眼に見える位置で
わ ....
秋のあいだ
ひとり山に引きこもって
ギンナンギンナンって踊っています
つま先で立って
小さい冠をかぶって
麗しの八合目で
姫です
真っ赤に猛る裾を尻目に
ギンナンギンナ ....
最終的に黄身と白身にわけられたら いいよ いいよ
鳥はつい、と滑空して えらい人がことわざを作る
色きちがいの対話だったね 一人と一つ ひそやかなひそか
もっとえらい市場
へんてこな行き道 ....
わたし
ごくつぶしの耳鳴り芳一と
反転した橋の下
こうもりみたいな夜を過ごす
森の、もっと森の方
ただのニレだったという屍が
糸を引いて地面に伏せるまでの時 ....