すべてのおすすめ
だきあうとき
ぱずるがはまったように
わたしはかれのなかにおさまる
しんぞうのおとがきこえる
せっけんのにおいがする
きすやせっくすはしていても
こんなにしっかりと
「だきあう」こと ....
{引用=
それは久しぶりに口を開けたのでケーキをつっこんだら美味しそうに食べた
長年口だと思っていたが呼吸もしないし食事もしないので不安だったのだが
こうなれば他に食べるものも調べたいと思ってた ....
あるお腹が空いた日
しょうがなく戸棚を開けた
何もなかった
幸せすら
見当たらなかった
あるお腹が空いた日
雨粒を一掴み口に入れた
なんの感情もなかった
ただ
冷たくなった雨 ....
ほら みて
ふってるよ
と
あなたが言う
窓の外をみると
ぎゅ っとひざをかかえた雪
みたいな雹が
こつこつと
じめんにおちてきた
なんだろうね これ
ひょう ....
体いっぱいに
内臓や肉や骨を詰め込んで
さあ出発だ
横断歩道を渡り
魚の肌を横切り
宇宙ができる以前から咲いている花を
アスファルトに練り込みながら通り過ぎて
コンビニとともに混濁する
....
シロとクロは
相反する色をして
だけど、寄り添い
補っているようで
二匹はいつも
空き地の隅に
重なるように眠っている
実際は交ざることなく
無造作に生えた緑から
シ ....
17歳
死ねたら
きっと、綺麗な死に方だと思う
儚く、脆く、意味もなく
きっと、素敵な死に方だと思う
未来を悲しまれ
可能性を悲しまれ
17歳
死ねたら
きっと、 ....
あなたは
きえそうなひかりのまえで
手をかざしている
胸元から
オイルの切れそうなライターを出して
何度も 鳴らす
うつくしいけしきの
まんなかにいる
いつも
き ....
この瞬間に降っている雨粒を
どこまでも遠くへとつないでいく
知らない街のマンションの屋上で
雨粒は途切れていた
雨が降っていない街の
日差しはとても悪意に満ちて
雨が降っていても
雨 ....
アスファルトの道を歩いていたら
急に波打ってしまったので
なんだろうと首をかしげていたら
そういえばこのところの猛暑で
線路が歪んでしまったことを
思い出していた
ミニィは
アス ....
足から入り腕を出すと
ダンボールのほかは空ばかりで
おれは首のばし
下をのぞきこんでも
からり晴れわたり風鳴る底なしの
しまった
あれも連れてくればよかったと
ポケットの小瓶 ....
目を閉じることと口を噤むことは似ている。
眠りに就くことと死ぬことは似ている。
さようならを言いながら終わっていく。
世界について考えるときに眩暈を起こす。
沈黙する、
沈黙する ....
あさ
ゆうやけ色のやさいたちを
こわしてゆくときに
ふと香る 昨夜の
ねむりにおちてゆく、
やわらかい
眩暈
きょうはいつも きのうの続きだから
きのうの夜も
まくらにほ ....
適度な勢いで放たれた ミニチュアのダンプカーが 長い走行の果ての夕方 陸の終わりを越える 一万年にもひけをとらない 長い長い減速がもたらされた きわめて水平な 乾燥地帯の終わりに 高い崖があり 崖下に ....
身近なものに世界という名前を与える
だから私たちは世界を知っている
世界という名前を与えた私たちは
神である
*
おのおのが良いと思う形で祈り
....
とても大きな水たまりを
陸の存在しない方へ
夢中になって泳いでいく
いつしか亀の姿をかりて
雲がほとんど透き通っていて
青いばかりの視力の中で
規則正しく諳んじられる
無限の ....
心配事の多い夜に
あなたがまつげを上に向けて
なにもない灰色を
そっとめくる
そらのうらがわには
てんごく なんてものはなかった
ただ
春めいたゆうやけがとろけていて
おも ....
{引用=
鱗はがし
}
ぐったりとした坂の両脇
片付けられたばっかりの ここは小さな店屋さん
向かいではやけくそなハンマーが突き出た骨を打っていて
....
空の青にぽとり
鮮血でした
ゆっくりと赤だけの虹をわたって
足の指の少しのつめたさで
春は訪れ
きみとの
どうしようもない部分をぽくぽくと
桜を食べて埋めた
おなかからの魔法、 ....
河を流れてきた
赤い自動車の
少しずつねじがゆるみ
河口近くで分解して
離散した
たくさんの自動車部品となり
ほど近い海に沈んでいく様子
(行かれるはずのない
遠いところにあこが ....
彼のミツバチが5匹 彼女のミツバチが5匹 知らないミツバチが1匹 紙の容器に入っています でも彼のミツバチの1匹と 彼のミツバチのもう1匹とは じつは同一の個体なので 実際に数えてみると ミツバチは全 ....
丘の上にかつては 養蜂場があったけれど 長い時間に淘汰されて 一対の傾斜だけが残った 永久機関を試したくて 時おり勾配を上っていく かわいた木馬の姿はいつも 同じところで見えなくなるので そこから先が ....
足元を どこまでも 横たわっていく 蛇の体を 持ち上げて 手繰り寄せた 無限に連なる 大小の起伏を 奇跡的に 全部越えて 長い長い 胴体の長さに 終わりを告げる 小さな頭部が やがて見えてくる
あなたたちじつはびょうきでしたね
うんざりです
もう うんざり
ブランコでゆらゆらした記憶もう、亡い
コンクリートに残った足跡をたどって
廃線の線路をたどって
血の痕をたどって
....
古いじてんしゃのように
朝が下ってゆく
風邪声の
のどに ちいさなにがみと
這いつくばるようにおとずれ
さらさらと消えゆくよるを
くちびるに
にじませ
朝が下ってゆくと ....
(大人になると
(きこえなくなる音があるという
痛むの
ここと、あと腰
眩暈も
熱はないよ
そこは絶対悪くならないから
(イチバンキレイナヒトガイットウショウデス
....
ハルシオンと言う薬は
とてもきれいな青色をしている
昔絵本で読んだ
空色の種とは
ハルシオンのことだったのではないだろうか
埋めると家がたつ空色の種
どんどん
どんどん
....
田舎道で話しかけられました。
「ピープル!」って言われた。
私しかいなかったから 私のことだろうと思います。
相手は トビでした。
「いいの、わたし、ここで暮らすの。」
おんなのこの言い分って、すごくわからない。
こんな真っ暗でなんにもないせかいで
放っておいて、と言うように。
ぼくは、
耐えきれずきみの
葉脈 ....
お三時に彼はハンドルを回し
胸の部分の扉をパカリとひらいて
よい風を招くために
陶器のオルゴールを鳴らした
それは凛とした音色なのだけれど
彼はハンドルを回すことに執心していたの ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12