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結局僕らは、手を繋ぐことも恐れていたから、きっと、人間なんて外枠は、どうでもよかったんだね。感覚で繋がる、思いは繋がっている。「繋がる」なんて言葉の嘘を、僕らはとうに見破っていた。不器 ....
オリエンタルリリーに
オリエンタルユリって札をつけるのはやめて
ポインセチアをポインって略すのも論外
プリムラ・オブコニカは
オブコじゃないし
プリムラ・メラコイデスも
メラコじゃ ....
バス 食いてえ
ツートン・カラーとか たっぷりの水分を含んだ 薄皮に包まれて
タイヤは曲がったゴムの匂い うは やっぱり
バス 食いてえ
運転手が禁忌する交差点の手旗信号
それ ....
風邪を引いて寝込んでしまった
風邪はとつ然にやってきた
咳と鼻水にやられた
ティシュ一箱たちまちつかいはたした
風邪で寝込んでるのもの楽しいが
....
悪い事をしてはいけません 悪い事をしてはいけませんよ
と 風が運ぶ 風が運ぶ
あなたは 朝8時に 長い坂道を転がって行ってしまう
隣の人も その隣の人も 意を決 ....
はがれていく皮膜に
縫い込まれいく記憶。
遠ざかる人影は、名前のない体温を
そこここに植え込んでいく。
宛先不明の伝言を抱きしめた少女が
それらを踏みしだきながら全速力で走る。
桝目をひとつひとつ埋めていく
あなたはまだ
自分が花びらであることに気づいていない
窓の外は想像を絶する想像に包まれ
僕はそれを夕焼けと呼ぶこともできる
かつて靴下をはかない男の子がいた ....
他者を語る私は どこか残酷だ
私は他者にはなれないし
私は私でいるしかない
人はどこまで
他者に近付けるのだろう
私には明確に皮膚がある
寄せつけないため
私のやわらかい部分
....
あたしがベッドで寝ている
写真
を
あなたは一枚持っていた
白いショーツ
の
隙間から
こぼれてほしい
という
欲望
の
よだれ
....
裂かれた魚影は探知機にかからなかった。藻が以上に発生していた。魚影は藻の中にもぐりこんだのだろうか。藻は密生して揺れていた。海底深くはなかった。太陽の光がレンブラント光線のように差し込んでいた ....
なまこだって恋をするんだろう
からだをくねらせて寄り添ったりするんだろう
どちらがおしりでどちらが頭か
わからないけどきっとキスだってするんだろう
海草のすき間に溶けゆくような
ひど ....
この都市の、上空100m
本当の本当に 都市のど真ん中にて
風に乗って舞い上がり
そこに留まっている羽毛
が、もしあるとするならば
僕はこの都市が好きになる
本当の本当に ど真ん ....
廃墟に紅葉が溜まっている、捨てられてもう何年がたつのだろう。窓も壁も風雨にさらされて、朽ち果てている。草も枯れかかって、陽を浴びている。兎も、狐も、狸も、熊も、ここを宿にしたに違いない。獣の匂いがする ....
ねこです
名前はない
あのなあ
今回は人間さまに一言言いたくて
いっしょうけんめーコトバを勉強してきたからよ
聞け
漫画とかで よく
喋ってるねこいるだろ
あれいいよな ナイスアイ ....
露に濡れた草のうえに裸足で立てば
きっと美しい言葉が見えると思ったけれど
あいにく眼鏡が曇ってしまったし
所詮ここも名付けられた大地の一部にすぎないのだった
曇った眼鏡を捧げ物のよ ....
したたる、鱗粉。新潟中越、たてゆれに蝶は砕け、飛べなくなった。首。静止
できなかった電源、もろかった、緊急対策。飛べなくなって、脱線した車両。
震源地に近く、鱗粉は舞い上がり、蒼 ....
咲く花の、瞳の外へ、柔らかな鮑は退屈なあくびをしていた。もぐればいい。底へ、底へ
ムツゴロウのように干潟の海を泳げばいい。潮は退かない。街へ行くバスは、発車したばかりだ。もう一時間は来ないだ ....
とても淋しい人と会って
とても淋しい話をした
とても淋しい店でした食事は
そこそこに美味しかった
それからとても淋しい歌を歌って
とても淋しいさよならをした
目の高さで手を振ると
そ ....
やってきたそれは
葛飾北斎の波のようにうつくしくはなく
濁って
ドーン
ドーン
扇のように覆いながら人家を飲んだ
人をさらった
北陸海岸 ....
やらしくない裸みたいな
蝶々が翅を広げて
紫色の光を頭の中で回させる
つややかな官能
ジェシカ、
君がセックスをせっくすと発音するから
僕はいつまでも取り残されている
いつま ....
赤い傘差して今日も雨
カタツムリは縮こまって
濡れている
陸上競技場のアンツーカーはけぶり
女子大生は傘を差して自転車に乗ってやってくる
雨の日は少し喉が軽 ....
死が消えていったね
薄暗い画面を見ながら
私は思う
地面が割れて飲み込んだ
山が崩れ地を這った
水がすべて押しさらった
今も
だけど死は画面にはいない
あるのは
凍え ....
煮詰まった鍋の中で ふつふつと ぐつぐつと
音が響くたびに頭が痛くなる 冬の糸のきりきり
あたしは新しいブーツを汚したばっかりで
電器ヒーターの埃にむせかえる
だけど先生は ....
先端。ひねくれたぼくらは、落として割らないように気遣う手つきなので。鉛筆を眺めていると、とがっています。触れる表面のことを、甘美に思い出します。肌身でぼくを揺り動かすのは、電話帳を眺めればいくらかの人 ....
どうしても空を飛びたいらしいので
象が踏んでも割れない筆箱をあげると
「二郎さーん!」と言って地面に投げつけた
私は冷や汗をかきながら
「確かに弟ができたら二郎と名付けるつもりでした」
....
現存するものとしては
最後のヒメギミ
中継映像
物音ひとつしない部屋に
ただ一人のヒメギミ
ふわり
優雅なパニエは
裾がゆらいでる
注視かたずを呑む
23:05
....
「はい、次のひとー」
「こんにちわ」
「はい、今日はどうしましたか?」
「どうも最近ヒメギミみたいなんですが」
「ああ、あなたくらいの年齢だとね、よくありますね、ほんと」
「そうなん ....
a)
足りない
右の手
に
朝
本は昨日から
ゆっくりと
閉じられた
まま
b)
たくさんの階段や
もっとたくさんの
階段
のぼる足音や
もっとのぼ ....
海
は
あったが
水
は
なかった
隕石
が
宇宙
から
運んできてくれた
水
がなければ
花も
....
やわらかいからくるしいのでしょう。目をつぶれば、しょぼしびれるまぶたの裏側にそれまで見つめていた画面の裏腹が白く白く皮膚をとおりぬけるかもしれないと思いきやひろがる想像上のパレードに身を包んでも目の奥 ....
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