すべてのおすすめ
私の希いはただ一つ
平穏無事でいることだ
いつも寄り添い許してくれる人が一人そばにいてくれたらもっといい
生活するお金に心配がなければなおいい
世界中が平穏無事ならそれはすばらしい
居間 ....
ゆいごんじょうをかけという
まいにちまいにちゆいごんじょうをかけという
ふるほんやにいっていっさつひゃくえんのぶんこぼんをかえという
まいにちまいにちかえという
びょういんへいけという
でき ....
神戸についたその夜に
変な老婆に捕まった
彼女は白骨化した頭蓋骨のような顔をしていた
まるで髑髏だ
月から垂れた灯りは
鬱蒼とした大地に降り注いでいる
老婆は僕の行く手を塞いだ
....
ニュージーランドにいるキウィという鳥は
羽がすっかり退化してしまっていて
空を飛ぶことができない
夜行性のその鳥は
夜になると木の穴の中などから出てきて
えさを探す
もちろん飛ぶことが ....
アブシの涙を忘れない
ミスター・アブシの
ベイルート市
ハムラ通りを
エトワールから海岸通りに向かって行くと
左に折れる路地があり
道なりに坂をだらだら登って行くと
右手にケントホテ ....
君はもう去ってしまうと言うのか
遥かに飛翔して行く詩人よ
一瞬触れ得たあのきらびやか
な言葉の魔術はまさに天与
見者の君はあmりに冷ややか
今残る傍線だらけの詩書
色のついた母音ぼくの ....
姉は 目覚めて 自分が
見慣れたヒースの野原にはいないことを知った
姉の夫は彼女を顧みなかった
姉の夫は他の女と愛を誓った
姉の子供は流れ去った
姉はだから子どもたちと男たちを憎んだ
....
海のうねりのあの彼方
青空は遠のいて行く
不透明な愛別離苦
風も無い時の{ルビ泡沫=うたかた}
浮び上がる島の姿
眩しい二人の淪落
光る緑の不整脈
そこに酔い痴れてくたくた
愛 ....
そとはあかるいさあみんな
もうきたかぜはさったから
のはらにいっておどろかな
かわのほとりでうたうなら
ちいさなはなもかわいいな
めをだすこみちあるくなら
ぼくらのくんだこのかいな
....
腰のものを赤く染めて鳥が鳴く。
うぶめ、と呼ばれる鳥である。
産の穢れに死んだ女は鳥となる。
ほう、と鳴くが聞こえるか。
生まぬとしても女は女と男は言う。
うぶめの悲しみを知らぬは幸福と ....
ドアを開けて灯りをつける
ベッドのうえで
かさり と
金属製の瞼がひらく気配
一本の髪もない頭部には
銀色の鱗が移植されている
人工の瞳孔は菫色で
肌は光沢のない燻銀
たとえば ....
たくさんの僕は
筋子のように
よりそって
鱒のお腹で ねむります
生まれたての 赤ん坊のように
涙を流さずに泣けたらいいのに
最近 僕は
大声を出すことがなくなったから
口を結んだ ....
あなたのためなら 飛べる
帽子の羽さえ 飛べないような
弱々しい風で悩んだ
ぼろきれのような たましいを
やさしく 守ってくれた
あの日・・・あの時
ちゃんと、おぼえているわ
....
恋もなく
約束もなく
肌と肌の接点
産毛の重なる薄い隙間に潜む温度
これが わたしたちのすべて
心は
皮膚から最も遠いところに息づく
何かおっしゃった?
その振動もはるか届き ....
あなたは20歳(ハタチ)ですか
いいえ 36歳 主婦です
ひよこ あくびする P P P
あなたは今日、爪を切りましたか
いいえ 爪はなにかと便利なので伸ばしています
ひよこ ....
お金があるひとも ないひとだって
みんな
一斉のせ で 口をつぐむ
どうなのよ、どうなってんのよ・・・と
名前が付けられぬまま
もう何十年と 放っぽらかしで
明かりも射せない ....
耳をかたむけている
語りかける言葉が
やがて胸に落ちて
花を開く瞬間がある
少し軽くなった足は
人ごみの雑踏に消える
そこには音がある
生きている ....
なるべくしてなる
なすがままに狂い
ありのままに叫ぶ
すべては自然の旋律
調べにのった言葉は
うたかたの日々を
歌い狂い
踊り狂う
風はその姿をゆらす ....
雨音
耳を切り落としたくなるほど
嫌で堪らない
古い腐った天井から
ぽたり
ぽたりと
暗い台所を
濡らす
何かが体の底からザワメキたった
蛇口から
ぽたり
ぽ ....
男はもう何日も水を口にしておらず
這々の体で村へたどり着いた
中央の広場には煉瓦を組み合わせた立派な井戸があって
水がいっぱいに溢れていた
男が早速つるべで何度も水をくみ上げては
勢いよ ....
今日が雨でアンジョウしたわ-
ここらで降ってくレント
かぼちゃン苗がソダタンけんな-
乾いた土に
恵みの雨
乾いたほほに
恵みの雨
カラカラの雑踏しみてゆく
オフィスビルも ....
きれいな三角形の甘いスイカのてっぺん
ちょっぴり齧ってみた
・・・甘い
ちょっと固くなった食パンの角
ちょっぴり齧ってみた
・・・香ばしい
小さい時から手放せないウサギの縫 ....
もし 真実を語ることができたとしても
言葉の中に真実を見出すことはできない
その単語の羅列が、真実か虚偽であるか
そんなことはどうでもいいのだ
言葉が発現する一点を見極める
全てはそ ....
殺してくれ
殺してくれと
言わんばかりに
私に挑む小さな虫けら
油断すると
私の足元に
油断すると
蝋燭の炎に
誘われる小さな虫けら
虫けらよ
何故死に急ぐ ....
つらい人は 誰かいますか
朝がくるのが怖い人 誰かいますか
自殺したい人は 誰かいますか
お金がない人 誰かいますか
....
捨て金魚をした
近所に川がなかったので
人の多い駅前に捨ててみた
金魚だってわかってもらうために
「大学と手毬です 可愛がってください」とでっかく書いた
気になって一日に何回も駅 ....
骨となり
皮となり
奥の奥まで
きれいさっぱり
ごくり
飲み干して
光で
生まれる
影さえ
喰われて
消え行く
跡形なく
壊れて ....
僕には夢があります
毎朝電車に乗って
ある駅を通る時
反対側のホームは少し高くなっていて
そこのベンチはちょうど目の高さ
もしそこに通学途中の
かわいい女子高生が座って
少しでも足を広げ ....
太陽を心臓に収めるなら
身体は夜に属し
内部から見る風景は
表面を失う。
呼吸だけが光の所在を吐き
事物は吸収体として
見えない主を探すのか。
夢の中で
年老いた象が悲しそうな顔をしていた
どうしたのか、と聞くと
故郷のアフリカに帰りたいのだと言う
草原で捕獲され
動物園に運ばれてからの調教師との親交や
子供を出産したこと ....
1 2