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真夜中の台所で 小さく座っている
仄暗い灯りの下で湯を沸かし続けている人
今日は私で 昔は母、だったもの、

秒針の動きが響くその中央で
テーブルに集う家族たちが夢見たものは
何であったの ....
最もよき者は攫われてしまった*
よき者の言葉は封じられ
足並みをそろえる、その旋律だけは大切にされた
皆、同じ顔をして右を向き前に倣う

             *

── 唄は、
 ....
一日中縁側で過ごす人は
陽の目を見るのが少なくなった人だ

何を話すでもなく 寄る猫を追い払うでもなく
牛乳屋を見送って 小学生の登下校に目をやりながら
物干し竿がハンガーごと錆びていくのを ....
ご主人様を探す野良、愛に渇いてしまう野良
赤い首輪も良いけれど、首根っこを強く掴んで欲しい
目を離す隙もないほど、息苦しいくらいの視線が欲しい
でも、ご主人様は優しくて、野良がご主人様を喰 ....
          {引用=

 (君、あの鞄は君に似合うが荷物になるかもしれない。
 (なぜなら、荷物とわかるには一度持ってみなけりゃわからない。
 (鞄がお荷物とわかったならばただのクズだ ....
魂が彼女の肉体を超えているのに
なぜ人は彼女の囲いばかり 目にして嗤うのか
動かない右手に握り拳を置いて 左手で書いた文字より黒いのは
右手がやすやすと動く人たちの、コトバ

自由と ....
天花粉の丸い小箱にはいっていたのは
祖母や母が立ち切狭で廃品回収に出す前に
切り取った釦
鼈甲仕立ての高価なものもあれば
校章入りの錆びた金釦や
普段使いのプラスチック釦
そし ....
御神輿は
おまえは今日から御神輿様だ!
言われる腕たちに
嗤われるのを知っていますが
担がれてるように
振舞うのが
お神輿様の役目です。

      ※

御神輿 ....
それは恋文でしたか
長く綴られた美しい文字でも
過去形になると
住所も名前も内容も
要らなくなってしまうのですね

中古屋で買ったシュレッダーに
「アパート」という文字を半分消されて
 ....
私をあまり怒らせないでくれないか
おとなしく愛の詩集を手にするときに
透き通る言葉を考えようとするときに
人の郵便物を盗み見る者たちよ

その手紙には父の遺言が
その手紙には母の筆跡が
 ....
母猫が事故死して母乳の味を覚えることなく、
共に産まれた兄妹が運ばれた行方も知らず、
ただ何となく頭を撫でてくれる手を信じて、
呼びかけてくれる瞳の輝きに返事して、
春はご主人様たちと ....
ユニットバスの水平さの隅で 
私は猫の目になる前の棒っ切れ
コンドームたちの密会を
五秒の使用と三分で決定させる 
男と女の待ち合わせ

不在の子の存在を 赤い視線で映してみせて ....
手垢にまみれたコトバたちを 洗濯機に放り投げて洗い流す
駅前で叫んでいた主義主張たちを アイスノンにして頭で溶かす
空っぽの冷蔵庫から 私が居そうな卵を見受けて目玉焼きにする
フライパンか ....
写真になった父が 昔よりよく喋るようになった
弘法大師ゆかりの寺で ボロボロのジャンバーに
白髪を風に舞わせながら 少し笑ってピースなんかして
誰もいなくなる家を前に大丈夫、だというふうに ....
手袋をした手が 器から
大量の人を掬い上げていた
その指の狭間から 夥しい人が
こぼれて落ちていった

器の底から
呻き声や悲鳴や嗚咽が聞こえても
泡がはじけるように消されて ....
 先生、私たちの昼間が消えていきます。
カレンダーに休日がひとつ、足りないのです。
青と赤の隙間に、数字のいち、が。
時計は、今、だけを、さしたがる、から、痛い。
数字が昨日と明日を覚え ....
上京して赤信号で渡ったら 叱られた
コンビニにまで 「並びなさい」の、
足型マークが付けてある

お金を払わなければ 何処にも行けない街が
嫌いになるまで 居たかったのは
この街 ....
鵜飼千代子さんの為平 澪さんおすすめリスト(17)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
くりかえしの水- 為平 澪自由詩8*21-3-6
- 為平 澪自由詩5*20-12-1
縁側- 為平 澪自由詩1018-12-5
野良- 為平 澪自由詩6*18-1-23
くずのつる- 為平 澪自由詩9*17-2-20
左手からオアシス_- 為平 澪自由詩8*16-12-13
- 為平 澪自由詩10*16-12-9
時代/足元- 為平 澪自由詩116-11-28
シュレッダー- 為平 澪自由詩1116-11-22
手紙- 為平 澪自由詩416-11-3
白猫語り- 為平 澪自由詩7*16-11-3
判定- 為平 澪自由詩1215-8-15
暮らし- 為平 澪自由詩8+15-7-7
写真- 為平 澪自由詩715-6-10
ゴッド・ハンド- 為平 澪自由詩13*15-5-19
花________陸が海に消えるまで。- 為平 澪自由詩15*15-5-8
ネズミ- 為平 澪自由詩13*14-10-14

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