こわれたような
気がするな
ラジカセが
ラジオ、カセットが

それって何
と訊かれてだまる
カチャカチャと

弄りつづけて
うつむく
ゆるい髪の曲がり道がゆき ....
 しお きかせてくれ
 なみのまにまに
 うまれた
 しろい
 あわつぶのようなしお

 なつのうみからあがって
 かわいてゆくくろいはだに
 いくつも結晶するしお


 しお  ....
やあ、遠くまで行ったね
久しぶりだ
きみと知り合って
気づけば一年がたった
前きみがいた 地図の西の上のほう
俺の想像だとしろかべの 赤いあつい国
気温じゃなくて水の温度がだ
そこよりは ....
銀盆の月が
ばったにかじられた
あれは いなごか
欠けたところが
水分を染み出させて
水銀のようにふるふると
ひときわ輝いては
痛々しい

痛々しいものは うつくしい
なんて
十 ....
百人が頭を垂れ
ひと部屋を虫食い
穴を開けつづける
開いたところから
次々
空が透けてゆき
部屋に{ルビ草木=そうもく}の
匂いが立ちこめる
僕はその末席に
すわっている
亜熱帯
 ....
話すことがなくなったから
もう眠る
そんなふうに毎日を終える
行きたい場所がある
だから歩く
ボールペンを一本
手のひらにたて
倒れた先に歩いて
歩いては
四つ辻
また立て
倒れ ....
ぼくとぼくとぼくというのがぼくたちのことだが
そのぼくたちのなんということもない
へそで茶でも沸くような
毎日のことを
(毎日とは日と日と日と日と日と……)
前評判を置き去りにでもした形で
 ....
指でつよく弾いた煙草追い風に乗って

柵の向こうの砂利に落っこちた

よく晴れた日

めずらしく暖かい日差しのなかで

弾かれた煙草ゆらゆらとのぼる煙

柵にもたれ掛かるのは僕
 ....
道を歩く
たとえば都会の中の
南北に良く延びた
見通しの良い、ゆるい起伏のある道
道の両脇に少し、窪地のように
段差を持って民家の屋根が見え
ちょうど腰の辺りにゆれている鍵束の
しゃんし ....
冬の朝の肩口を
ふゆ
となぞり、柔らかさを与えてみる
100℃が滑り落ちていく、
白い学校から海までの坂道のなかで
袖をつかまれたまま
伸びきってしまうラーメンのような

(海はきらき ....
 たまご

 雨の日に
 雲の、目をみはる
 ながれの速さに
 あかされる
 ミルクの皮膜を
 くすりゆびに
 掛けて
 あたたかいのは
 どうして
 どのように
 熱せられた ....
 古い油紙に
 絵を描いては
 町をふらつくから
 落として
 何度も
 太陽のもとで

 水たまりに
 浮かぶそれを拾って
 濡れた絵は
 ぼやけてしまうので
 また
 晴天 ....
人波が隙っ歯に駅のホームを行く
あらためて見れば鉄箱に
みんな乗り込んで葡萄の房のような
それくらいの密度で
つぶれて貨物列車だ
果汁に似せた
澱のような

きらめいた
それぞれの
 ....
道路に落ちたセーター

片足だけのくつ

ブルーがつよすぎてこまる


町では
たくさんの
自転車が
倒れてる

BBSは
宗教戦争に負けて
家を飛び出した

おれは借 ....
黒い道路を
雨が流れて
激しい雨が
夜を始めて
光が映って
楕円に歪で


激しい
雨が
降って


鍵盤を

両手で

駄目な

両手で

ちぎれ

 ....
いつもの路地で歩を止めて
通りの向こうに目を遣れば
隙間だらけの
小さな町を
関係のない
繋がり方をしている
建物と僕と真鍮と
霊魂とドブネズミと太陽と

一つの器に雨が降る
笑顔 ....
盛りに

胸像の彼女は太陽の中に沈んで溶けた
彼は銅像のように停止して笑ってみせた
また、冷えて固まっていく季節だ
薄い皮膚から
光沢が失せて
にび色の空の
凍結する{ルビ質=たち}の ....
骨と脳の間を
細く
傷つけて
線を引いていくような
砂粒を
一粒ずつさらって
ためつ
すがめつ

引かれた線には
流して
血液
のようなものを
ただ、薄く
川筋は浅はかな
 ....
埃がとれない
枠組の窓は青色のオレンジ
壁紙を伝って
薄目をあけてなぞると
手のひらに体温が付着した
温度何℃?
八月の休暇の名残
この部屋の床が風鳴りをたてながら沈めていく時
午後四 ....
どんな町にお{ルビ囃子=はやし}が鳴り響いて
どんな町で葬列が連なってんのさ
僕は家へ帰る
青と黄色と黄緑のガラス窓が
なにかしらハンマーで叩き割られて
キリキリ、と
破片が落ちてゆく床に ....
 街に日が射して
 コンクリートの
 続く壁面が白く発光しているのを
 たよりにつたって
 あるいて
 その擦り傷のようなざらつきの
 わずかな影のさき
 壁の尽きるところの
 晴れや ....
 熱く、季節が

 とばされていくなか

 黄金に、ビルが

 白い、壁が、こんなにも

 強く、握りつぶした飛沫が、散って

 染め上げていくなら

 いま、青ざめながら
 ....
日の当たる柵の上に座っている
町に何匹ものこがねむしは
踏み潰れて
鉄の車輪の
切りつける音は輪を描いている
灰とか
羽を
風が吹いたらめくり上げて
ひとつ眠って
目を覚ます頃には
 ....
季節はずれの
つよいひかりに照らされた目抜き通りを
影を焼き付かせて
まばらに人が行き交っている
真っ直ぐ南北に延びた道には
終わりも始まりも無さそうで
くるりくるりと仕掛け時計の太陽が円 ....
 排気音が高く
 高く空へ昇って
 陸橋を走るぼくは
 町並みに連なり
 息づかいみたいに
 浮かされて
 白くあからさまな
 積乱雲を
 水平して
 開けていくにつれ
 早く
 ....
 ひ花
 世界中
 熱燈が
 爆ぜる

 きれる
 酸素は
 よく吸い込むように

 瞳孔は
 閉じて
 瞳は
 開いて

 炸薬仕込みの、
 極々軽い光が、
 散らせ ....
みどりいろに見えた空は
そりゃ当たり前みたいに青いわさ
そうやって
きかれりゃあ
そりゃあ

なんかいちまい
目に膜が
かかっとる
うすくて
透けとるのが

はがしてみやあ
 ....
 Quartz
 震えて
 終わりと
 始まりのないものを
 区切っていく
 切り刻んで
 数をあてる
 なにものとも
 名づけられない筈の
 私より薄くて
 鉄も
 昼夜をも含 ....
深夜
三時半過ぎ
とじた商店前の
歩道にはパンの固まりが落ちて
蟻が数え切れない
ボヤけた視線を落とせば
地面が動いているよう
川のように
列をなして
五つ
うねって
さまざまに ....
また、
また遡行していく

太陽が落ちない
360度の
上空を
周り続けていたような毎日
そんなころ
僕たちは
向日葵で
飽きもせず
追った

めくるめく
夏の息づかい
 ....
水町綜助(224)
タイトル カテゴリ Point 日付
taperecorder.....and radio自由詩208/2/4 17:29
自由詩8*08/1/28 17:42
遠方へ向けて自由詩6*08/1/28 17:40
望遠自由詩608/1/26 0:45
明日みる光自由詩208/1/22 16:35
散歩するように自由詩708/1/22 1:01
90’s自由詩5*08/1/15 0:35
古い写真のこと 思い出のこと 憧れのこと自由詩5*08/1/8 14:37
mahirunoyumearuki自由詩8*08/1/7 19:30
ベビースター自由詩14*07/12/7 12:32
たまご自由詩807/12/3 23:28
冬のあと自由詩907/11/29 13:56
grape自由詩607/11/27 8:17
バター。青色自由詩807/11/19 2:50
自由詩1807/10/27 2:05
俯瞰して、町の路地をなぞる自由詩707/10/21 18:03
夏が終わり、そして秋の無い冬が来る自由詩707/10/21 8:35
砂粒自由詩407/10/20 17:18
夏に見立てたいつかの終わり自由詩607/10/20 17:11
大通りに、投げる自由詩15*07/10/1 8:12
白い壁沿いを歩く日自由詩1207/9/28 11:36
五時に落ちる太陽[group]自由詩507/9/25 19:36
光沢の味自由詩607/9/21 10:13
わすれない自由詩707/9/20 12:53
海を見ている十七歳自由詩1007/9/19 15:55
落雷のち自由詩307/9/14 17:59
今日とか自由詩907/9/7 22:59
Q自由詩2407/8/27 14:09
あさがけ自由詩307/8/26 7:16
落ちない太陽から、逃げる自由詩4*07/8/22 2:32

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