光沢の味
水町綜助

日の当たる柵の上に座っている
町に何匹ものこがねむしは
踏み潰れて
鉄の車輪の
切りつける音は輪を描いている
灰とか
羽を
風が吹いたらめくり上げて
ひとつ眠って
目を覚ます頃には
雨が乾くように消え去っている
残暑に雪を思う
残暑に音もなく消える
路面は黒く
黒くそしてすこし濡れて
乾いていく呼吸を
繰り返して
生きていると欠片を飲み込んで
金属の光沢に似た
緑色の羽の苦さが
人いきれの中に
気紛れに
和え込まれていけば
朝が来るように
みずからをわすれる



自由詩 光沢の味 Copyright 水町綜助 2007-09-21 10:13:26
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