命のことなど問われれば
とってもエライ国会議員
「七十歳になってもまだ生きて」って 怒鳴ります
「七十歳になったら死ななあかんね」
六十九歳のお母ちゃん
淋しく笑って固まった 父の ....
父は、事業が行き詰まり大阪へ単身赴任を余儀なくされた。平成九年深夜、胸に激痛を感じた父は、携帯から救急車を呼び診断の結果、胆石の手術のため済生会病院に入院。しかし、短時間で終わるはずの手術が長時間に .... 透けすぎたナイロン袋に絹豆腐のラッピングパックの角が刺さって破れ
る。都会の余波が、障子のすすけたような町にも、ずっしりやってきた。
私の伸びる指に、深く彫刻刀で削り取られた縦長の皺とそれを映す ....
昭和という小さな家族の乗り合わせ
不思議で不可欠な力が運転していく昭和バス
十才半ば、私の春
道路工事の終わった平成通に差し掛かると
祖父の姿は消えていた
草履では歩きにくくなった、と呟いて ....
声、一つ、同じではない
同じ言葉の意味を発しても、白、黒、黄色、
声一つとして
国会の扉をノックできる音階と
名もなき島で撲殺される音階がある
声一つとして、人間の喉を黙らせる
 ....
「母」


「家庭に光を灯して共に」
煽り文句は便利なコトバ
その言葉をバーゲンセールで買った母

巨大な塔を一つ、造ってみないか、と
安請け合いした黒い声が
赤く点り、 ....
{引用=泳ぐこともできず
伝える手段もなく
ただ与えられた囲いの中で
浮遊している、
泡のようなもの
    ※
失くしてしまえば
過去にしたいと
遡っては 身を護り
忘却の波に ....
夕暮れ時の寒い裏通り
透き通るくらい引き伸ばされた薄軽い 
ビニール袋の中には食材と
もう片手には人の身を覆い隠せるほどに巻かれた 
トイレットペーパーを持ち
返事のないアパートに帰る
  ....
母のことを思う
始発のプラットフォームに立つ時は いつも母に一番近づく
故郷を離れてダウンロードした新曲が 終わらないうちに
新幹線の窓の田畑や山の緑は速度に燃やされ
灰色の街が 繰り ....
夜、池に石を投げた人がいて
石に私の名前が書いてあったと噂した

池に波紋が広がって
石を投げたのは私だと
池は被害者面して 波風立てた

 (名前が書いてあるそうじゃないか  ....
高級カタログで見た望遠カメラ
小田急線で持っている人を見かけて
少しだけ羨ましかった

ある日 望遠カメラをくれるという人が現れて
私は有頂天で貰い受けた

ピントの合わせ方も ....
          {引用=

 (君、あの鞄は君に似合うが荷物になるかもしれない。
 (なぜなら、荷物とわかるには一度持ってみなけりゃわからない。
 (鞄がお荷物とわかったならばただのクズだ ....
夜、蛇口からボトボトと鉄板をたたく音がして 怖くて締める
私の内で溢れ出る苛立ちや不安、
皿を洗った後の 油や洗剤を含んだ水は
どこまで汚され どこに流れて行ったのだろう

じゃがいもの皮は ....
片付けられない部屋に
終われない言葉が散らかって
絶句。
「。」とは、簡単に収納されてしまう私の居場所 
膝を抱えて座り込めば 隙間から立ちのぼる私の苛立ち
そこからはみ出でくる消化できない ....
魂が彼女の肉体を超えているのに
なぜ人は彼女の囲いばかり 目にして嗤うのか
動かない右手に握り拳を置いて 左手で書いた文字より黒いのは
右手がやすやすと動く人たちの、コトバ

自由と ....
天花粉の丸い小箱にはいっていたのは
祖母や母が立ち切狭で廃品回収に出す前に
切り取った釦
鼈甲仕立ての高価なものもあれば
校章入りの錆びた金釦や
普段使いのプラスチック釦
そし ....
御神輿は
おまえは今日から御神輿様だ!
言われる腕たちに
嗤われるのを知っていますが
担がれてるように
振舞うのが
お神輿様の役目です。

      ※

御神輿 ....
それは恋文でしたか
長く綴られた美しい文字でも
過去形になると
住所も名前も内容も
要らなくなってしまうのですね

中古屋で買ったシュレッダーに
「アパート」という文字を半分消されて
 ....
私をあまり怒らせないでくれないか
おとなしく愛の詩集を手にするときに
透き通る言葉を考えようとするときに
人の郵便物を盗み見る者たちよ

その手紙には父の遺言が
その手紙には母の筆跡が
 ....
母猫が事故死して母乳の味を覚えることなく、
共に産まれた兄妹が運ばれた行方も知らず、
ただ何となく頭を撫でてくれる手を信じて、
呼びかけてくれる瞳の輝きに返事して、
春はご主人様たちと ....
(狼娘のお宿は何処だ
   それは夜ともなく昼ともなく 無差別に
   数多の男と交わった女の 落とし種
   種に希望なく伸びゆく手足なく目もなく耳もなく
   思いついたことを叫ぶしかない ....
真っ黒い木々の影の中をさ迷うように
真っ赤な夕立の雲間から黒い雨粒が
車窓を叩きつけるように
走りゆくバスから
移ろいゆく黒いものたちを 目の当たりにしながら
避けることも 拭うこ ....
西日の射す部屋で
裾に黒い炭を付けたレースカーテン
輝きながら汚されていくことを思う

私は寂しい
ベッドの位置から進むことも退くこともできず
手のひらに収まる程の空気の厚みにす ....
乳の出なくなった母豚が 
子豚を育ててくれるという、 
やさしいニンゲンに預けた

彼らは 何もできない痩せた子豚を
段ボールの中で育てた

しかし 相変わらず豚は、豚
ただ ....
月曜日に来た人は とても穏やかな顔をして
私の頭を撫でてくれました
月曜日に来た人は 火曜日には火遊びの仕方を
私に教えてくれました
月曜日に来た人は 水曜日私の小言を片付けて
流 ....
声でなく君の姿が欲しい日に空の十五夜指で突き刺す

ギター弾くピアノも奏でるその指が昨日を歌う夜の顔して

約束の指切りよりも正直な顔をしてると指差すあなた

その指が何本あるか数えてない ....
父は生きる 沈黙の中に
母は語る 夢のような言葉
私は横たわる 足りない絶望を枕にして

川の字になった 冷え切った水槽の中
打ち上げられた魚を三匹
飼って眺めて笑っていたのは  ....
先祖代々の墓石の隙間を潜って 緑の節目が
石塔の地下から 企みを生やす

萎れたシキビや花筒の中で息絶えた小菊を
嘲笑うかのように石塔の狭間を一本の青竹が
墓場の敷地すら貫き
天 ....
私は中古品
でも 走れたらいい
ライトもLEDじゃなく 豆電球の橙色
それでも 三メートル先 見えたらいい

けれど五メートル先の人に
私の足は切り刻まれ もう走れなくなりました ....
{引用=コトバだけで世界をつないでいく、そんな嘘くさい指切りをして
あなたの色つきの夢の先に、私はいない。

コトバだけで生きる人は 骨の分量の重さを 世界と言い、
あなたは、夕陽を溺れ ....
為平 澪(211)
タイトル カテゴリ Point 日付
いのちのことなど自由詩10*17/8/13 22:23
父のことなど散文(批評 ...4*17/8/13 22:12
赤目の夏自由詩117/8/13 21:31
昭和バス自由詩617/6/17 19:23
声一つとして・・・自由詩017/6/15 22:02
小詩  二篇自由詩317/6/15 22:00
自由詩117/5/19 4:06
不在自由詩217/5/17 21:34
し、についての考察自由詩617/3/23 21:32
夜の石自由詩317/2/23 22:30
望遠カメラ自由詩417/2/23 22:25
くずのつる自由詩9*17/2/20 23:55
夜の水自由詩1+*17/1/20 21:36
汚名/恋人の変換自由詩716/12/18 20:09
左手からオアシス 自由詩8*16/12/13 21:43
自由詩10*16/12/9 22:26
時代/足元自由詩116/11/28 23:17
シュレッダー自由詩1116/11/22 18:41
手紙自由詩416/11/3 22:58
白猫語り自由詩7*16/11/3 22:10
ヒルコ自由詩216/10/27 21:10
疑惑自由詩4*16/10/25 21:44
鍵のかかる部屋自由詩816/10/5 16:06
東京自由詩616/9/26 14:02
月曜日の人自由詩10*16/9/19 22:26
短歌416/9/17 23:56
未来の魚自由詩7*16/9/17 22:27
竹花自由詩9*16/9/17 21:55
自転車自由詩516/9/5 22:43
生きた亡者自由詩816/7/26 20:35

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