闇色のコートの肩に刺さる
いくつもの銀糸の雨を
拭ってあげることもできないままで
私は冷たい夜を行く

棘のある視線を伏せて
唇だけを動かして見せたけど
今さら何を伝えたかっ ....
家に泥棒が入って 大黒柱にタイマー付きの爆弾を
何ヵ所も日時をずらして 仕掛けて逃げた

百二十年続いた掟や道徳心や慣わしまでも
少しずつ破壊していく
傾き始めた家の 頭は白蟻に食い ....
手紙という名詞一つで嘘をつき君はすべてを赦されている

真実に名前があるとするならばいつかは弾けるウルトラソウル

なぜ愛は中心に置かれて赤くなるデーターベースの中が夕焼け

種とい ....
人を、愛、する、 ということに、疲れて、しまった、人の
愛、している、というものに 縋りってみたくて 家出した

「し」はいつも隣り合わせに居たし 
高速バスに頬づえつく、くらいの、考え ....
杉の花粉が飛ぶ頃に
人も鞄をぶら下げて
何処へいくのか 東へ西へ

人混みを通過していく
訛りや方言を
マスクで覆って
笑って ハクション

新人の 媚びた上目使いに  ....
東京の地下街から 
胸を焦がすような茜空は売ってませんか

そんなことを言ったら 嗤われるだろうが
本当はみんな 自分の町に住む
夕焼け色の切符を手に入れるために
上京しては 行 ....
   ーーーーーーはじめにコトバありきーーーーー
        「ヨハネ伝黙示録 より」




神はコトバにて人間を造った、いや、正確には、人の間の者たちを
それは 私たちのこ ....
夕暮れチャイムの音を 靴底で踏む
冷めた指で掴みたかった夢は
温い毛布の中のちがう体温

斜めに闇を切り裂く車のライトに
いくつもの私の顔が 現れては消されていった

パンプス ....
歩く。歩く。。
歩いても。歩いても。。ピリオド。。。
真夜中の買い出し 捻挫した足で歩いても 恵方はない。

八方塞がりな時は天が空いている、と、
見上げた闇夜は 三日月の薄笑い。  ....
大正元年生まれの祖母は、当時中学生だった私にはとても大きくて、
昔の家の水回りを守り続けるような人でした。

けれど、セイジ、とか、シソウ、とか、ヨロン、というものには無頓着で、
毎日お ....
どす黒い青のままで
短い春を 終えることに憧れる女子高生は
制服の下に隠した 無邪気な残酷さと無気力を
折り畳んで 卒業する

ホタルの光り、といえば
見上げたマンションのベラン ....
「非常ベルが鳴らしてみたかった」と、
その男の子は 泣きながら
お巡りさんに謝っていた


毎朝電車は ラッシュを呑み込むと 靴の群れを吐き出す
腕時計の長針先より 先にスマホ
 ....
インフルエンザが流行り出すと
白いマスクが 飛ぶように売れる
ウイルスに感染しないため、
みんながみんなでしたがるマスク
唇から 漏れるイントネーション
頭も つられて 上がったり ....
田舎からダンボールで送られてきた
白菜、大根、里芋に 手紙
走り書きで 手入れが行き届かなかった、という
詫び状が 一通

私が手伝っていた畑 耕していた土地を離れて
間もない冬 ....
食器を洗っている時に 現れる私の子供
ご飯を食べたばかりなのに 私を見ながらスプーンを持って
お皿をカチャカチャ鳴らしては はしゃいでいる
私はお前に お匙でご飯を掬ってあげれらないのよ、 ....
女の人の持っている鞄が気になってしょうがなかった
遠くへ行けば行くほど 鞄を欲しがる様になっていった
ピンクのショルダー 
黒のハードな合成革に金の鎖のアクセントの物
軽量ダウン地のブ ....
うそのそとに いつわり
うそのそとに いいわけ
うそのそとに くちがあり 
くちがあれば うそをはく

嘘から覗く虚ろな社会の本音で悪口 三枚舌で赤く丸める
嘘が強かに実しやかな ....
西日の強い秋の日に 
燃え落ちた赤ピーマンの残骸に目をやりながら
駅前のツタヤと惣菜屋へ向かう

ジャーのご飯に合う惣菜を
ツタヤで十代に戻れる私を
選んだはずなのに
コンビ ....
見つめ合う 香水と煙草

出会いと出会いが通過していく、お互いの横目で
記憶を垣間見る 痕

口紅では 押し付けがましい
ネクタイでは 束縛し過ぎる

灰色の街を 太陽が落ち ....
私の身分証明書を コピーし続けるバイヤーの友人は
お金半分と 見えない敵に脅されている

アパートの向かい同士に 姿のない隣人
電気のメーターの数字の物音だけ上がる

チカチカする ....
まず、お茶碗を洗いなさい。常識を覚えるのです。
つぎに、旦那のパンツを毎日 洗いなさい。愛を育むのです。
さいごに、幸せだったと言いなさい。約束を守るのです。

はい!
せんせい。せ ....
平日午前十一時四十分発の
高速バスに乗る人は 
どこか イワクつき

一番初めに声をかけてきた おじさんは
昼間から泥酔していて
小さな透明のペットポトルの中に
日本酒を入れ ....
都会の住宅街の歩道を 年末を迎えようとする空から
心臓に刺さる零度の雨が 濡れ落ち葉にも突き刺さる

若葉だった頃 親木が大切に繁らせた「父」という葉は
厳格ではなく 風が吹けば吹くまま ....
ブランコを こいでごらん
ここに座って ゆっくりと動かしてごらん
ブランコがわたしを喚ぶので 
わたしは赤い夕焼けをスカートに隠しながら こいでゆく
赤い空に向かってだんだん 滲んでい ....
左手首に巻き付いた羅針盤が 重い
針が進むたび あなたの温度は青白く
凍える海を目指してゆく

万年筆の先を
指に刺してでも 温もりを
あなたに注いであげたいのに
あなたは  ....
片づけておいてね、って 言った
私の責任だとしても
鞄という鞄の ファスナーもホックも全部
ジッパーは下ろされ パックリと口を開けて
私を 逆さまに覗いて笑っていた

自分では見 ....
あたし、夜の街が好き
あたしの知らない街の飲み屋で
みんな あたしの噂話をしているから
 (オヤジ、靴下は脱がさないけど、下着は下まで下ろしたがるの)
スカートの中身を楽しむ ゲイシャ ....
上京して赤信号で渡ったら 叱られた
コンビニにまで 「並びなさい」の、
足型マークが付けてある

お金を払わなければ 何処にも行けない街が
嫌いになるまで 居たかったのは
この街 ....
ずぶ濡れのアパートを 飛び出して
たよりない街の たよりない自分から
駆け出して行く

「お前を産んだ途端に、
お母さんの人生は終わってしまったんだ」と、
罵る泣き声のようなもの ....
誰かが 私の家の
屋根裏部屋に上がって オナニーしている

階下には 小さな人形が
黒い大きな座椅子に 足を開げて 置いてある

その人が 上で 思春期をふるわせた声を漏らす度
 ....
為平 澪(211)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜行自由詩7*15/4/1 20:56
腐る、父の見る夢に、腐る家。自由詩5*15/3/31 15:55
名詞短歌1*15/3/25 6:03
動詞自由詩9*15/3/24 17:21
花粉症自由詩515/3/24 6:51
カラスの行方自由詩17*15/3/15 20:01
創世記自由詩9*15/3/4 18:12
靴底自由詩10*15/3/4 17:20
「鬼」。。。自由詩8*15/2/24 15:15
おとぎばなし散文(批評 ...4*15/2/24 13:10
長い赤自由詩5*15/2/24 11:57
麻痺する指先自由詩11*15/1/23 21:41
マスク自由詩8*15/1/20 21:47
腐る野菜自由詩915/1/9 19:12
向き合う鏡自由詩6*15/1/5 22:23
自由詩9*14/12/21 10:35
うそのそと自由詩714/12/8 22:08
正体自由詩12+*14/12/7 11:35
香水と煙草自由詩8*14/12/5 21:23
現代病自由詩4*14/11/30 20:54
生きてはいけない自由詩4*14/11/30 20:39
乗り合わせ自由詩6*14/11/29 22:38
濡れ落ち葉自由詩13+*14/11/26 20:33
ぶらんこ自由詩514/11/11 21:13
青い骨自由詩614/11/11 19:08
マヌケな家政婦自由詩10*14/11/4 20:29
返品不可自由詩6*14/10/28 12:32
ネズミ自由詩13*14/10/14 22:07
刺さる雨自由詩614/10/12 23:02
自由詩3*14/10/12 14:40

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