駅構内の 
床に剥がれた 
薄い矢印の上を 
僕は{ルビ往=ゆ}く 


( what's going on


階段を下りた出口の広がりに 
裸足のまんま傘を差し 
どしゃぶ ....
ましろい机の上に便箋をひろげて 
君に「はじめまして」の手紙を書いた 

カーテンのふくらむ隙間から 
{ルビ朧=おぼろ}な日が射し
視界のぼやける 



  一瞬 



 ....
√の中味の空白に 
一匹の白い馬がうつむいて 
草を食んでいる 

( 見えるでしょうか 

君が額に右手をかざした 
窓の外 
潮騒の浜辺に佇み 
幾本かの草々を食む 

あの ....
  宮殿の 
  立派な椅子に腰かけた 
  派手な衣装の王様の前を 


  独りの道化はニヤリ小躍りで通りすぎ 


  王様はすっぽんぽんのまま堂々と 
  ちっちゃい座椅子か ....
「腐った花を捨ててきて!」 

主任が言うので部下の僕は 
ぐらじおらすのうなだれた 
大きな花瓶を両手に抱え 
流しのある部屋へ入った 


  かちゃり 


背後から入って ....
人は、花としてつくられた。 

翼を広げる鳥の旋回する 
空が 
地上に立って見上げる人を 
咲かせよう 
咲かせようとしている 

花の顔をひらいて 
人は 
空を、見上げる。  ....
三日後にわたしは 
三十三年間着ていたわたしを脱いで 
風の衣を着るだろう 

その時世界の何処かに響く 
あの産声が 
聞こえて来る 

その時空から降る 
透けた掌と差しのべるこ ....
きみはきみであり 
ぼくはぼくであり 
秤に乗らない 
それぞれの花であり 

きみが蕾を開いて 
ぼくが蕾を開いて 

みつめあう互いの間に 
姿を現す 
一輪の花の幻 

 ....
自らの外側に 
何かを求め 
手をさしのべても 

世界は何一つ 
口を閉ざし 
いつまでも黙っていた 

自らの内側に 
独り降りてゆくと 
蓮の葉上に坐るひと 

ゆっくり ....
家の近所のファミレスで 
ずーっと本を読んでいた 

顔を上げるといつのまに 
店の外の世はふけて 
店内に客はぎっしり 
がやがやと賑わっていた 

テーブルの間を
小走りする 
 ....
細い路地に入ると 
食事処がぎっしり並び 
人々の賑わいから 
昭和の匂いがぷうんと漂う 

頭上の鉄柵に 
取り付けられた蛍光灯は 
細い路地を仄かに照らす 

油汚れの壁に描かれ ....
時折街を吹き抜ける 
生ぬるい風の嘲笑を背に 
雑踏に紛れた孤独な旅人は 
口を結んで今日も 
スクランブル交差点を渡る 

( 寂しさは 今にも唇から 溢れそうだ ) 

古本屋の棚 ....
旅先の友を訪ねた 
帰りの列車のシートを倒し 
ポケットに忍ばせた 
ウイスキーの小瓶を一口 

喉が焼ける一瞬、
の後に 

聞こえて来るのは 
我胸に とくん とくん と響く 
 ....
詩友がマスターをする 
「 ポエトリーカフェ 」の本棚から 
手にした詩誌を開いたら 

昔別れた 
サングラスの詩友が 
モノクロ写真の四角い枠から 
「 調子はどうだい? 」と微笑 ....
輪郭のゆがんだ 
{ルビ朧=おぼろ}月の見守る 
灰色の夜の家々 

屋根に置かれた 
{ルビ梯子=はしご}の頂に危うく腰かけ 
{ルビ襤褸=ぼろ}着を纏う煙突掃除の少年 

ほっぺた ....
酩酊の夜道で仰ぐ空の 
遥かに滲むあの星宛に 
一篇の{ルビ詩=うた}を僕は綴ろう 


( ruru ri lala
  lala ri ruru ) 


いつか星になった日  ....
「武甲書店」に立ち寄った旅人と 
キャベツの皮を剥くマスターが交わす 
カウンター越しのささやかな会話 


「 たった一言で、世界は 
  天国にも地獄にもなるよ 」 


「 あ ....
頭上に広がる空の下 
何処までも流れる川の{ルビ畔=ほとり} 
旅人はぽつんと一人 
立っていた 

雲に隠れた天使が 
ちらっと顔を出し 
碧い{ルビ硝子=がらす}の瞳で 
彼に云う ....
もし過去というものに 
{ルビ遡=さかのぼ}れるなら 
初めて母の胎を出た 
あの誕生の日に還ろう 

まぶねに寝かされた 
幼子のまんま 
理由も無く 
天に向かって泣き叫ぼう 
 ....
  出勤中の車で横切った 
  開店前のガラス越しに 
  一瞬 
  「非常口」へと駆け込む 
  緑のひとが見えた 

  長い間繰り返される凡庸な日々から 
  抜け出す「非常口」 ....
耶蘇を着ようと 
こころに決めた日 

怖ろしいほどに 
人をいとおしむ気持が
胸の奥に{ルビ疼=うず}いた 

空の色は 
只青いので 
なく 

{ルビ罅=ひび}割れた空から ....
  私がこの世に産声をあげたのは、一体何故
 であろうか?・・・十代の頃からその問は、
 胸中に芽生えた。あの頃、私の心の土壌に顔
 を出した芽は、現在三十歳を過ぎた私の心の
 土壌深くに根を ....
 今月の「ぽえとりー劇場」も筋書きの無い物語が続き 
唄歌いのゲスト・杉本拓郎君の後は「在りし日の詩人」
の面影が夜風に吹かれて訪れたようです。 

 先日僕が鎌倉文学館の「田村隆一展」に ....
いつまでも続くような 
ひとりの加速道路を 
たらたらと運転しては 
サイドミラーをびびって覗き 
High Wayに入れなかった 

もし勝負の分かれ目があるなら 
合流前の加速時に  ....
ぼくの「片思い」は勘違いでした。 
目の前のあなたに 
「なまのこころ」で向き合い 
瞳を合わせる時 

互いの胸の両端は 
よろこびの糸で 
くいっ と結ばれました。 
昼食を終えた 
車椅子のあなたを 
ベッドに寝かせ 
おむつを開けば 
あふれるほどの排泄物 

「先輩ちょっといっしょにお願いします」 

腕っぷしのいい先輩がやってきて 
拘縮し ....
べろんべろんに酔っ払い 
狸のつらでゆれる地面を千鳥足 

今夜の{ルビ塒=ねぐら}のねっとかふぇの 
個室のドアを開く 

うつむいたスタンドの頭に 
貼られたシールに書かれた
「  ....
図書館で資格の本の頁を閉じ 
色彩を失った日々を嘆いた 
長い手紙を書き終え 
疲れた腕をしろい机にのせる 

(机の下に潜むかみさま)が 
ぼくの重さを支えていた 

ふいに後ろを向 ....
酒の宴の窓の外 
宵闇に浮かんで消える 
いのちの{ルビ花電気=イルミネーション}

窓硝子に映る人々が 
杯交わす晩餐は 
遠い日に想い出される 
束の間の夢 

夜風の吹く 
 ....
道の向こうから 
傘を差す若い婦人が 
ベビーカーを押して来る 

雨に濡れないよう 
ビニールの幕に囲まれた 
幼い女の子 

傘を忘れ 
日常の雨にずぶ濡れ 
靴下も湿った僕は ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
Ranbo 〜21century〜 自由詩408/7/22 22:20
伝書鳩 自由詩5*08/7/22 21:59
白い馬 自由詩5*08/7/20 17:32
王様の宣言 自由詩208/7/20 1:13
まりあ像  自由詩308/7/18 0:01
花の人 自由詩5+08/7/13 0:36
風の衣 自由詩2008/7/8 19:19
幻の花 自由詩108/7/6 22:08
碧い眼 自由詩108/7/6 22:00
ハンバーグの誘惑 自由詩7*08/7/6 21:53
想い出横丁 自由詩408/7/2 5:44
2003 4/13 8:00 pm @ Sibuya 自由詩208/7/2 5:07
蜃気楼の街自由詩208/7/1 0:16
浜辺の樹木自由詩108/7/1 0:14
煙突掃除の少年 自由詩4*08/6/29 23:40
星の言葉自由詩408/6/29 19:46
ぽえかふぇにて 自由詩208/6/29 19:40
旅の便り 自由詩108/6/27 23:23
誕生の日 自由詩3+08/6/26 21:12
「 非常口 」自由詩2*08/6/21 22:04
空の心 自由詩4*08/6/19 19:34
砂丘の花 自由詩508/6/18 23:59
田村隆一「人が星になるまで」を読んで 〜在りし日の詩人からの ...散文(批評 ...3*08/6/18 19:29
「 隣の薔薇 」 自由詩508/6/18 10:45
いとむすび 自由詩4*08/6/17 1:36
不思議な風 自由詩408/6/16 21:43
「 ふれてください 」 自由詩708/6/16 9:52
宛名の無い手紙 自由詩408/6/15 15:01
蛍の光 自由詩308/6/14 23:21
向日葵 自由詩308/6/14 23:13

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