魂のやさしさなんてたてがみの獣の飢えにひきちぎられろ
その底のやさしさひとつひっそりと夕陽のなかの草に宿れる
きりきりと秋の深夜の草むらのなかにいっこの電池は鳴れり
留守電に君の英語のうつく ....
花一輪盗んでかえる青葉区の君の短歌をもらえぬままに
満月を携帯電話で君に告ぐ留守番電話の瀬よ青草よ
ひたすらに歩いているさデパートの隙間に月の消えてゆくまで
大妻の女子大生になるという君の写 ....
ひまわりの燃ゆる貨車からそうめんを送りぬ国際特急便で
あなたから拒まれているアメリカは鷺草のように美しく病む
今年の夏は暑かった。いつもより梅雨明けがはやかった事もあって、真夏日が40日を超える酷暑になった。ひまわりや朝顔がまぶしかった。
花は季節の風便りでもある。花はわたしたちのこころをなぐさめ、物語 ....
病院の6階ホールで聞いている元X−JAPANのトシのバラード
ひとりきて歌うバラード精神を病んだ患者の癒しになるのか
病院や施設をめぐりボランティア活動するというト ....
眠い。なんとしても眠い。
ご飯を食べると、必ず
眠くなる。どしようもない。
瞼が接着剤になる。
眠るわけにはゆかないのだ。
冷たい麦茶を飲んだ。
いくらか目が覚めた。
この ....
胸が痛い
鳩が住み込んではばたいているのだ
絞め殺してやることもできない
それは自分をほふることだからだ
スペイン広場でもないのに
鳩がぼくの内臓をついばんでいる
肺病や 肺気腫でもな ....
物片の衝突するときタナトスの涙は燃えて銀河を弾く
欝没と
クリトリスなりき
桃色の宇宙の果てを濡れてゆくもの
ふるふると痺れて
120億光 ....
秋風がク−ラ−のごとたちそめてことしの夏も花火
のようです
これからは手紙も赤くそまるでしょうトンボのように
君届くまで
ひびわれたアスファルトに咲 ....
狐のかみそりが赤く咲いていた
藪のある舗装道路だった
ぼくが轢いたのは蛇だった
チュ−ブのようないきものだった
前輪でごつん 後輪でごつん
ぼ ....
今でもサンタナを聞くと
どっと夏がやってくる
お祭りなのだ 蝉時雨のように
夏の耳を 熱くするのだ
サンタナがやってくる
胸があつくなる ....
夏雲のひろがる街よ燃えあがる道路に赤き百日紅の散る
黙々と入道雲の空にたちのうぜんかずらの橙さえる
ここからは道の跡絶えて砂の海絶望までの足跡長し
....
ぼくは産道から生まれてきたことが
いやだった 仏陀のように
キリストのようにぼくは人と違って
生まれてきたかった あまりにも
人間が生々しすぎて 羊水だ ....
聖母子像
霧のなかをわたしは母の手に
ひかれ ながれるもやの
街道を歩いていた
それは途方もないかなたへの
流離譚のようにおもわれた
母が世 ....
だれもいない台所でぼくは
ひとりおこわの田吾作弁当を
食べた SOGO地下食料品売り場で
買ってきてもらったものだ うまくも
まずくもなかった 見栄えはいいが
....
ひとりで唄って
秋桜
つらなる
惑星のなかで
孤立する意識よ
ぼくがあまりにも意識的なので
死は土星のように
都会的な愛 ....
<冬の北海道>
夏の北海道は、数10回ほど放浪している。
ヨーロッパ旅行よりは楽しい。
けれ ....
天野茂典+古川由美
風の通り道には
いい匂いのレストランがある
新鮮な野菜と
おいしい魚の塊が
ゴッホのひまわりのように
置かれている
これからどんな料理ができるの ....
立葵が咲き出すと
もう夏休みがみえてくる
風が透明になって
夏の陽射しがぼ ....
ぼくには子供がいない
そのことは太陽のようなことなのだ
ぼくには子供がいない
そのことは月のようなことなのだ
ぼくは一個のDNA ....
サキは笑った
蛸がパソコンを操り始めたからだ
赤くなって蛸はワードをうちはじめたのだ
蛸はなにが書きたいのだろ ....
ペンキ職人
天野茂典
青いペンキ
台詞のない声
遠くからやってくる海
炎の青空
どこにも出てゆかない砂
ぼくの病棟が乾燥している
シマリスとあそんでいる
ナキ ....
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