掃除、片付け
ゴミの分別
始めるまでは厭わしく
いざ取りかかれば簡単で
終わってしまえば、
気持ちがいい
分っちゃいるけど、先延ばし
そうして、かれこれ二 ....
上手く折れない
紙飛行機が
放り込んだ屑籠の
縁から顔を覗かせている
拾い上げて
半開きの窓に向けて
今一度、飛ばしてみるが
盲の鳥のように
あさっての方向へ ....
朝、目覚めると
洗面器に張った水で
顔を洗った
さっぱりした気分で
鏡を見つめてから
ふと、視線を落とすと
洗面器の中に
星の海が
広がっていた
僕は ....
水は、万象の旅人
生き物の身体は
彼等の泊まる、仮の宿
水よ
お前が
笑いさざめくのは
春の林床に降り注ぎ
小川を結び、走るとき
お前が
咳き込み ....
書きたいけど、書けない
そんな言葉ばかり
胸の中に渦巻いてる
木枯らしに弄ばれる
枯葉の様に
するり、するり、と
指の間を抜けていく
春の陽ざしを
なみな ....
ああ、
いまいましい
言葉を捨てようとして
夕暮れ時の河原に立って
何度も、何度も投げつけた
波打つ水面に
沈みゆく太陽に
それでも、
掌を広げてみると
....
1
帰宅した私は食卓に着くと
両手でテーブルを鷲掴みにし
一匹の大蛇を吐き出した
黒々とした身体
ぬらぬらとした光沢
それは私の分身であり
一部なのだった
゛はらがへったよ ....
ストライクが入らない
言葉の投げ方を、忘れたから
キャッチャーを
キリキリ舞いさせながら
交代を告げる声を、待ち望む
変化球に入れ込みすぎて
指の関節が ....
苦しいときに泣くことは、
いっぱい、やってきた
悔しいときに怒ったり、
羨ましくて妬んだり
そんなことは
幾らでも、
やってきた
今日も、あの時、
とって ....
夢には
二種類あるみたいだ
現実から
逃げるための夢と
現実を、変えていく夢
僕は、
炬燵の中で微睡む
飼い猫のクロと一緒に
彼女はもう
十年以上も前 ....
人を
好きになるのに
理由なんてないよ
雪の結晶みたいに
君という心のかたちは
この世に、唯一つしかない
純粋とは、
澄んでいるのではなく、
自分の色に染 ....
頬杖をついたら
鼻から、鉛筆が生えてきた
ため息をついて
窓越しに雨空
眺めてる暇があったら
詩の一つでも書きなさい、と
僕の鼻毛が、
ニョキニョキと太くなって
....
愛を映す鏡に
己を見た者はいない
けれど、
もし、いたとしたら
その人は
どんな姿を
していたろう?
イエスや、仏陀の姿を
多くの人々が、想像しては
....
空に延ばされた
無数の手が
草原のように
なびいていて
その上を漂う
タンポポの種が一つ
象徴とは、多分
そのようなものだ
手の届かない
約束のような ....
あなたは昨日、
つめたかった。
やわらかい刃物で、
切られた気がした
血も流れないのに
いたくて、いたくて。
あなたは今日、
やさしかった。
その笑顔は
....
この折り紙を広げたら
思い出がひとつ
消えていく
ここは
思い出の小部屋
一日の最後に訪れて
折り紙を一つ置いていく
その日、私が
過ごした時間が
一つの ....
人には身体があって
それを包む心があって
更には世界がそれを包み込み
玉ねぎのように、
剥いても、剥いても
涙しか出てこない
私たちは
芯なのか
それとも ....
透明な空に
透明な鳥が
飛んでいる
草を蹴って
跳ねる子供が
捕まえようと
手を伸ばす
晴れた空は入口
空想の世界への入口 ....
優しい言葉を書き殴る
恨みの滲むペン先で
心を繕う紙切れで
爛れた肌は隠せない
冷たい文字を書き流す
泉に溜まった涙から
紙を流れる心の小河
運ぶ落ち葉に ....
手紙を書こう
愛する人へ向けて
触れる度に傷つけるような
そんな接し方しか
出来なくても
言葉と空間を介してなら
紙というフィルターを通してなら
少しは、あ ....
見たくもないものが
見えてしまう時
人は、目を閉ざす
そうして
彼等は裸となり
波打ち際に寝転がり
片耳を、砂に押し付けて
波の轟きに
聞き入っている
....
やーい
へたくそ
生きるのが
へたくそ
つるつるに磨かれた
硝子テーブルを這いまわる
コガネムシみたいに
もがいちゃってさ
いたずらに
ピアノ ....
豊かさで生を飾りたて
その終わりまで、しがみ付く
爪を現世に突き立てて
煌めく衣装を脱ぎ捨てれば
露わになるのは、荒れ果てた魂
電池のように使い切ったら
死出の寝床に ....
言葉は釣針
この胸の泉から
秘めた思いを、釣り上げる
言葉は銃弾
憎しみを込めて撃ち
いつか、その報いを受ける
言葉はスパンコール
貧しい心を飾りたて
目抜き ....
一
夜の水平線が
両の腕をさしのべ
その手で満月を挟み
嘆く空から引き離し
海の底に沈めた
光が闇に溶けて
波の下に燃えつき
殺風景な夜空に
取り ....
ある日
道の真ん中で
ヒョイ、と逆立ちしたら
世界も一緒に
ひっくりかえり
地面が上、空が下、
積み上げた一切合財が
元の木阿弥、振出しに戻った
海から魚が落っこちて
滝のよ ....
終わらない
冬の時代
雪は降りやまず
溶けようとはしない
隅々まで覆う雪原を
横切っていく犬の群れ
引かれる橇の
手綱を取るのは
死神か 腹黒い
サ ....
石ころのように
蹴飛ばされた
君の命が
川の流れに
ぼしゃりと飛び込み
揺らめく水の底を
ゆっくりと転がって
手の届かない
透明な棺桶の奥から
空を見上げ ....
言葉って、抱きしめられない
口づけたり、切りつけたりできない
だけど、君に会いたい
針先ほどの穴に
空が吸い込まれていく
風も太陽も巻き込んで
言葉って、食べられない
....
空は
白紙に似ている
私たちの
頭上に開かれた
広大な空間
人は そこに
想い想いの
絵を描く
でも 私は
そこに描き得る
どんな夢も
持ち合 ....
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