先を争って{ルビ水面=みなも}を目指す たくさんの 泡
ほどけたネックレスから 飛び散った
真珠のように 輝きながら
晴れた冬空の 明るさで染まった
水の中を ころころと 駆けあがっていく
....
風
冷たく また暖かく
風は吹いてくる 駆けつける
通りの角の向こうから 木立の間から
病院の屋上で 夕暮れの空に黒い影を揺らす 洗濯物から
冬の風は 静寂を厭う
その身体をよ ....
(僕)
追いかけてくるよ
時計の秒針が
片づけても 片づけても
後から 後から
新しい仕事が 湧いて出てくる
さながら蛆のように 白く まがまがしく
時間という競技トラックの 前方に ....
なにかが 出てきそうだ
僕のおなかの あたりから
いつも 予感がある
それは身じろぐ 胎児にも似て
この意識の どこか内側の さらに内側にある
見えない子宮の中で もがきながら 訴えてい ....
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