父が撮ってきた家族の写真は
いつも後ろから
母がいつも文句を言っていた
どうして正面から
皆の笑顔を撮らないのかと
でもそんな文句を言う母の顔が
妙にうれしそうなのが
いつも不思議だった ....
困った
私はどっちを選べばいいのかな?

一つが間違っているからといって
全部間違ってる訳じゃない
 逆に
一つが正しいからといって
全部が正しい訳じゃない

困った
私はどっちを ....
警察が犯人を連れて現場に来ていた
私はそれも知らずに
突然走り出し綱を引きずりながら逃げる
飼い犬を追いかけていた
もうすぐ夏になろうかという
晴れた休日の正午

追いついた山の中の広場 ....
なんて幸せで可哀想な子なんだ!タカちゃん

大人用の洋ナシのタルトには
洋酒が効いている
一口もらって『辛い!』と評した
その味覚に驚いた
ひねた舌には
たいした刺激にもならない隠し味を ....
コンビニでお昼におでんを買う
予算内に納まるように三つだけ
出汁はたっぷり
冬が近い

お腹の中からあったまりながら思う
ああ 関東炊きが食べたいな

おでんじゃない 関東炊き
ここ ....
雲は湧く
風は空から降りてくる
耳を澄まして空気の走る音を拾う

旭を背に洗濯物を干したのは半時間前
それから地下鉄に乗り降りて地上に出れば
既に日の光は隠れ
世界は一変している

 ....
殺虫剤のニオイが
指から取れない
何度洗っても

だいっッ嫌いな殺虫剤のニオイが
スプレー缶のボタンを押した指に
染み込んで 汚点ついて
取れない いつまでも

だいたい人の寝ている ....
ありがとう
でも もう要りません

こんな結果になってしまって
とても残念です
あなたは私たちを幸せにするために
働いてくれた

実際私たちは不幸ではなかった
暖かく満たされ
痛み ....
ご都合主義の神様はいないみたい

飢えや
寒さや
病や
夜や
それら混沌とした不幸から
全てを救済するために
人の手によって創られた
機械仕掛けの神様

それは確かに
類似的な ....
彼女は困ったように笑う
道化の僕は困ってしまう
声をたてて笑えばいいのに
必ず彼女は眉尻を下げて
困ったように笑う

どうしてそんなに
困った顔で笑うのかと問えば
人の心を傷つけるから ....
忘れてしまえとある人は言う
そう念ずるたびに思い出す
忘れなくてもいいとまたある人が言う
思い出すたびにずっと涙する

ずっと心は揺らぎ続けるだろう
治らない傷は抱えていくしかない
鏡を ....
本は絶対に怒らない先生
解らないのを怒らずに
読み返しさえすれば
何度も根気よく教えてくれる

だけど絶対怒らない代わり
間違っていても正してはくれない
それは生きている先生じゃないと
 ....
ことばで上手く伝えられないことを
どうやって今 君に伝えよう

はるか昔はるか彼方の国の山の上で
あの尊き御方が
弟子達に伝えたように
傍らの花に触れて微笑んで君を見ようか
君はその尊き ....
 狩りを楽しむテレビゲームの、獲物の部位を剥ぐ仕草を見て『怖い』と君は言う。
君の感覚は正しい。
君は優しい人だ。

 だけど狩人(わたし)を蔑ずんだ目で扱き下ろすのは、止めてくれないか。ホン ....
心配を 呼ばは人の 無理強いる たよりましかば たより書かまし 「芸と言うのは、所詮、太平の世にしか咲けぬ華なのか。嵐が来れば艶やかな花弁を散らし、冬が来れば枯れ行くしか術はないのか。」
「されど花の種は冬を越すがために有る物。春を迎えて芽吹く物。青嵐が来ねば稲 ....
キミは嫌いじゃないの
でもキミは
言葉を尽くしても信じないでしょう・・・
行動で示せと暗に語るキミの沈黙

嫌いなのはキミじゃないの
解って欲しい
痛いのがイヤなの
どうかそれを受け入 ....
よく考えよう
その矛先は何処を向いているの?

ちょっとおかしいよ?
なんでそっちなの?
本当に怖いモノを考えたとき
それは人ではないという事が解るはず

そりゃあ
あそこまで念入り ....
ペッシャンコの蝉が
歩道に転がっていた夏の朝
甘臭い生ゴミの袋の横に
カラリと乾いた屍一つ

カラッポの中身で七日間
うるさく喚いた命の遺したモノ
おい おまえそんな空しい姿になるため
 ....
兎よ 緑野を駆けよ
波頭を思わせる草の中を矢のように
丘の向うにある青空の方へ

我等の屍は地層の奥に
罪の証は幾星霜を経ても消えず
ああ せめて夢見る事を許されるなら
兎よ・・・

 ....
赤薔薇の 散華重ねる 涙雨

雨蛙 読経は要らぬ 世話と知れ

不如帰 鳴くは遠くに 聞いてこそ

徒花に なるを待てるか 鬼灯花

よの明に 消えてなくなれ 蛍の火
未来への神話を汚したのは
彼らではなく
そこに描かれた四つ

責められるべきは
彼らではなく
目を逸らそうする私たち

彼らの企ては成功した
私があなたにかける言葉は何もない
私があなたにして上げられることは何もない
あなたが感じている悲しみを
私が全部解ってあげられる筈もない
私があなたを慰めてあげる事はできない

 あなたは ....
赤ん坊が
眠りの前にグズるのは
出来かけの『自我』が
眠りによって
消えてしまうのではないか?と、
言葉にする能力もなくただ浮かんでくる
恐怖と不安からではないか?
そう最近思う

 ....
養殖魚の筏
ある程度広い生け簀
オーナーから与えられるエサ
エサは空から降ってくるものだと思っている

赤潮がきたけど
自分では網を破れない
逃げるという考えもない
赤潮がどういうもの ....
真冬のバラの株は
棒っきれのような枝だけで
葉の一枚もついていない
そのくせトゲだけ多くて
触れれば刺すぞと脅してくる

私はその枝を
フェンスにひっぱって
好きな形に誘引したいんだけ ....
恋の記憶は
男は『名前を付けて保存』
女は『上書き保存』
そういって殿方は
女は薄情だと責められるけど

上書きして消してしまわないと
活きてはいけないほど
あなたを全てで愛した故なの ....
日常で化粧をしなくなったのは
心に化粧をするようになったから
泣きそうな心の形をキレイに誤魔化して
ムスっとした素顔で
あなたの言葉を待っている

もうくれなくなった言葉を待っている
あなたが止まり木で休んでいる間に
燕雀がちょっとさえずるけど許してね

快適な檻をお探しのようだけど
ここら辺では貴方が翼を広げられるような檻は
ちょっとないかも
私にとっては広すぎるこの ....
骨とそこに遺すもの
あなたの生きた証
長い長い踏破の記憶
白く焼けてなお美しい曲線と
関節の摩擦の痕
泥の河を渡り
砂埃の轍を踏み
飯盒番の友を出来上がりの声と共に失い

骨とそこに ....
相差 遠波(38)
タイトル カテゴリ Point 日付
父の撮る写真自由詩10*12/2/3 14:29
思うこと自由詩7*11/12/26 10:28
ある初夏の日の身震い自由詩5*11/11/21 15:58
幸せで可哀想なタカちゃんへ自由詩5*11/11/18 10:44
関東炊き自由詩7*11/11/11 16:40
2011年11月10日自由詩7*11/11/7 14:57
殺虫剤のニオイ自由詩4*11/11/4 9:50
ありがとう。でも、自由詩3*11/10/28 9:26
デウス エクス マキナ自由詩6*11/10/19 10:37
道化の盗んだ物自由詩6*11/10/17 11:25
夜明けを待つ自由詩3*11/10/11 10:22
図書館の本棚の前で自由詩12*11/10/1 11:16
ことばで上手く伝えられないことを自由詩4*11/9/10 13:42
常識人の君へ、逸脱者の私より。散文(批評 ...2*11/8/30 12:03
ジレンマ短歌1*11/8/24 16:45
エール散文(批評 ...3*11/8/23 9:08
アイノアカシ自由詩6*11/8/17 9:10
よく考えよう自由詩3*11/8/11 10:01
蝉の泣く自由詩7*11/8/9 10:04
兎よ自由詩6*11/8/4 15:46
故人なき弔い俳句3*11/6/10 9:27
汚された壁画   ある芸術集団の企み自由詩3*11/5/30 13:33
自分勝手な鎮魂歌自由詩3*11/5/26 14:45
恐怖についての推察自由詩11*11/5/25 14:20
養殖魚自由詩1*11/5/25 13:23
真冬のバラの株は自由詩211/3/11 9:32
記“憶”形式自由詩6*11/3/1 9:48
素顔自由詩7*11/1/19 11:18
鴻鵠へ自由詩4*11/1/14 15:56
骨   斎場自由詩4*11/1/6 10:32

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