ドアは開いたままにしておいた
大型の遺体処理装置が台車に引かれ入りやすくするために
小さな窓からレース越しに薄く幅を調整したLEDの光が差し込んでいた
朝だ!ピクセル形式に時間は感覚に標す。 ....
血を捨てる人もいれば血を拾う人がいる。
否定された/言葉は宝物
どちらにせよいったん保留してしまえば人間であることに違いはない。
休憩時間になれば袋からピーナッツを取り出してポリポリと囓 ....
純水とは何も生み出さず何も破壊しない。 by 多児眞晴
含有量0,1パーセントしか含まれてはいない精液のことを精子と呼べるのだろうか。 みんな死んでいる。
これを愛の力強さで甦らせてみ ....
鼻が詰まる季節にはガソリンに気をつけなさい
「こ、この腕、ぃ一本、ぉおいくらでしょうか」?
宣伝(CM)の前には障害のある子にそう言わせている
これが世間的には欲望の話題の対象に ....
生まれたときは黒曜石のかけら
溶け出した粘綿のように
光の粒が眩しかった
唐突に
知覚らは認識の文字を学び
記憶を辿ればただの生き物と叫ぶ
そこはかとなく 溜まる ....
「千羽鶴」 作詞 横山 鼎 作曲 大島ミチル
式の終わりに際して地元の少女たちによって合唱される。悲惨で哀しい出来事を表現したこの歌は決して哀しみだけを閉じ込めて表現されてはいない。それが ....
ようこそ 52億年の誕生を迎える今日という日の門出を祝します。
パスをお待ちのあなた宛にここから先はシアノバクテリアがお供いたします。
緑藻一面晴れ渡る空 海岸線は紫色の塗 ....
)サラ ? 目が覚めたのね。
エシャロットとベーコンのスープを口にしたのは床に寝ついてから二日目の朝だった。
叔母のエミーは料理をテーブルに置くと狭いベットのわきをすり抜けてカーテンを引 ....
音もなく頑丈な扉を開き、入ってきたのは見覚えのあるような皺だらけの中年男性だった。
署長自らが直々に連れて来たので位の高い人物なのだろう。署長は軽く会釈を済ませるとわたしを指さしてすぐに出て行っ ....
最初に狙ったのは豚野郎でした。次に手を汚したのは芋野郎です。鍋に蓋をしてお釜で煮込めば消えました。お粥はいいなあ。茶粥には甘藷の薩摩芋。甘い芥川塩!コンニャク芋ではござりませぬ。蝗の佃煮。味噌 ....
みさめがふりつづけばつちはながされて
わたしがうまれた
由来から植物は埋もれ酵素も分解されて
腐食の生きものたちがはみ出してくる ....
テレビのボリュームを下げる頃には晩酌の酔いもすっかり覚めている。
眠気を通り越してしまう 小腹も空いてきたよ、なんて
と思って近い台所をあさるのだ。 (すがやかほれば ....
細くて固い冷たい手術台の上で仰向けになる。「さあ、数秒後には深い眠りにつきますからね」。 そう麻酔医から促されると全身麻酔を受ける患者が看護師に言い放った。 ‥このまま眼が覚めなければ幸いなのかな ....
共同という文字が言葉で解釈されれば如何に脆いものなのか。この汚物に溢れた便所や流し台の散乱ぶりを見れば大凡見当はつくのであろう。ひとたび配水管の流れが止まればもうこの有様なのである。 by 多 ....
物産展の下見に行くとよく似た女性を見かけた。地元のブースだったので声をかけようと思って近づいたら人違いだったので挨拶だけにした。 by 多児真晴
‥‥女もね、結婚したら見方は変わるのよ。少 ....
1945‥あ、変更シティ‥ これから珍問答をするから少しの間我慢してくれ‥‥と男は言った。 卍
(B)なんできみは空ばかり見つめてるんだ?
(A)僕は空を見つめてはいるが空は意識して ....
小市民である人々が規律を破るのは致し方ないことである。全体に及ぼす規律の影響よりも、あくまでも個人の利得を優先させたいのである。そのような過ちを繰り返すことによって処罰もまた厳格化されるのであろう ....
‥今日は久しぶりにオーディナリー*な気分よ。 それにしては一丁まえにオメカシして‥彼女は軽く微笑みながら真向かいに腰を掛けた。1メートルと少しくらいかな。ズレかけたマスクを鼻先まで戻して僕が言うと ....
虚無は底を打つ。殴りつけ罵倒しながらわたしはこの地を去って行く。蒐集家、乱暴な男。銭は底をつき廃墟に見送られ一人見知らぬ場所で客死するのだ。 etc.by 胡蝶(多児真晴)
使われない物 ....
‥‥とは
まるで忘れられた安置所のようではないか
、重い気圧の層に押しつぶされそうだ。
外はなまぬるい雨が降り続く、暗渠の下
服を脱ぎ捨て飛び出してやろうかと思う、ひとり、
、わたし ....
軒下の燕が巣に籠もる
予め決められたとおりに事は運ばれる
近くで眺める遠い風景には歩も進まない
変わるという不安には耐えているという不粋な雲行き
そろそろ飛び立てよ
上空から ....
渓流を下ると川幅は急流に狭くなる
浅瀬から水を撥ねた石には硬骨の節がある
隠れ鰻のように蛇行を繰り返し
河原に辿り着いたのは強固な意思に違いない
嘆く陰翳の底暗さの中に一点の灯りを見出した ....
長い年月の物語から詩を興してみようとは思わない。小説家になった小木は番組の放送作家の仕事もこなしている。ドキュメンタリーとか科学とか、自然環境の番組だって資料集めを考えるとたいへんだろうな。たい ....
何を問われても表情に表さないこと。「‥‥忘れました。」 それが肝心。
「記者会見‥‥ あのう、今日から法律が施行されますよ。」
おまえは黙ってろ。口を閉じてろ。まっすぐ前を見つめ ....
いやだ。いやだ。いやだ。
梅雨はいやだ。 汗がいやだ。蒸し暑いからいやだ。 鬱陶しい髪もいやだしベタつく肌もいやだ。
枕もいやだね。 ベッドもいやだ。 畳は相当いやだ。まとわり ....
だらだらと続く小雨には細胞のいくつかをくれてやればいい。
二万年の月日を生き延びてきた若者が星の消えた真夜中にそう呟いた。
何をしてきたのやら といつものように振り返るのがその日の終わり ....
波のうねりが変わり、感染から感染へと有機物の個体も変わる。超派生的な若さ。裏返る戦士たち。突起物が無い。それはまた新たな生成への第一歩だとも言われる時代。
グレーに染まる艶やかな長髪は蛇行の帯び ....
祭り当日
「へい!お嬢さんおおきに、またね~」
「よ!お客さんお客さん、これ、どうです?安くしとくよ~」
?「ん、‥なんだ、タコか‥‥ いくらだ? 」
?「えっ タ、タコじ ....
二つ卵に割れて流れるに身を任せる
十日前の新月だった
流れは巌に砕けあたりの身をちりばめる
風の囁きをきいた
蓮の葉につか ....
水色の浴槽に桜の薫りを浮かべて、
、出かけなければならないがべつに焦ることもない
漏だからコロナだからと理由ならいくらでもつくる
磨り硝子の扉には白い染みが瀧に流れ、
、ま ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21
0.29sec.